出版流通大手の日販がホテル事業に参入

出版流通大手の日本出版販売(日販)が、箱根強羅温泉にブックホテル「箱根本箱」を来春オープンすることを発表した。

「箱根本箱」は、中強羅駅から徒歩4分のところ。もともと同社の保養所であったところを全面的にリノベーションして開業するホテルで、施設内には書店、レストラン&カフェ、コワーキングスペースも併設される予定となる。

客室は全部で19室。うち18室に温泉露天風呂も楽しめる。また、ホテル内には、選書のスペシャリストが厳選して選んだ蔵書約2万冊が配架され、新刊と共に、古書も加えられる予定だ。

書籍の選書はすべて、日販のブックディレクション事業に特化した新ブランド「YOURS BOOK STORE」が行う。「YOURS BOOK STORE」は、選書だけでなく、ブックホテル開業のほか、書店のリノベーション、移動式書店、野外読書活動支援など多岐にわたって事業展開している。

ファーストリテイリングの社員向けの企業図書館の企画・運営も「YOURS BOOK STORE」が手がけた。場所や空間、既成の概念にとらわれず、本のある空間づくりをプロデュースすることで、「人と本をつないでいく」ことを目指している。

また、「箱根本箱」の施設全体は、自遊人がプロデュースした。自遊人は、東京から新潟の南魚沼に本拠地を移して事業を展開している会社で、雑誌の編集から食品の製造と販売、企画などを手がけている。「伝える」をテーマに、さまざまなモノやコトを創出、提供している。また、自遊人は新潟で、古民家をリノベーションした「里山十条」という温泉旅館をプロデュースし、運営も行っている。

今回、自遊人のクリエイティブディレクター岩佐十良氏が全体の全体リノベーションの監修と各施設のディレクションも担い、オープン後の施設運営も自遊人に委託されている。

日本出版販売では、近年の「本離れ」によって、人の創造力が衰退し、文化を次世代に引き継ぐことができなくなってしまうことを懸念した。そうした危機感が強まる中、今までにない本と人との出会い、関わり方について検討を重ね、「箱根本箱」で本との新しい関わりを持つことによって育まれる豊かなライフスタイルを提案する。

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