特区民泊を活用、手術に付き添う親に低価格民泊

東京都・大田区は住宅を旅行者に有料で貸し出す「民泊」について、子供の手術のために長期間病院付近に泊まりこむが親が安く利用できるようにしようと、関係機関との間で協定を結ぶ方針を発表した。

今回協定を結ぶこととなっている大田区の大学病院によると、小児向けの肝臓移植手術を行える病院は全国でも少なく、遠方から治療を求めて幼い患者と親がやってくることは少なくない。

肝臓移植の手術では、検査や経過観察などで2ヶ月以上の入院が必要なる場合が多い。そういった場合は子供の付き添いでくる親などは期間中、病院近くの宿泊施設に滞在することになるが、病院周辺に長期滞在が可能な宿泊施設は少ない。中には滞在費を抑えるために漫画喫茶で寝泊まりする人もいるとのこと。

そこで「民泊」の国家戦略特別区域に認定されている大田区は、今回新たな取り組みとして、月内にも区内の大学病院と民泊運営会社との間で協定を結ぶ方針を発表。付き添いとして病院近くに滞在する親などが、低価格で民泊を利用できるようにするとのことだ。

肝臓移植手術を行っている医師で、大森病院肝センターの宍戸清一郎教授は「患者の精神面や経済面での負担を取り除けることは患者にとってもメリットが大きいと思うので、うまく民泊の施設を活用して言ってもらいたい」と、今回の協定について話している。

大田区の松原忠義区長は「アットホームな雰囲気で長期間滞在できる仕組みとして、民泊を有効活用するとともに、『大田区の民泊は安全で安心だ』というイメージを定着させたい」と話している。

2020年の東京オリンピックにかけて増加すると言われている訪日外国人の宿泊先として注目されている「民泊」。騒音問題や治安の悪化リスクなど、現段階ではクリアにすべき課題が多いのも事実だ。しかし今後増加が予想される空き家の有効な活用手段としても同時に注目されている。

大田区はこれまでも、増加が止まらない空き家を活用する取り組みをいくつか行ってきた。今回の取り組みについては、公共性が非常に高く、これまで民泊利用に消極的だった物件の所有者からも協力を得られるのではないかと期待が高まっているようだ。

大田区の空き家は増加し続け、現在は6万件を超えていると言われている。これを受けて大田区は、2年前から空き家対策に乗り出している。空き家を活用したい所有者と民泊に利用したい業者の間を取り持ち仲介をを行ってきたが、利用が決まったのはわずか6件だ。

「民泊」が空き家対策や訪日外国人の受け皿として日本経済の救世主となるのか、多方面から注目が高まっている。