全国的に民泊を解禁する住宅宿泊事業法(民泊新法)の来年6月施行を前に、自治体で独自に営業日数や地域などで規制をかける準備を行う動きが全国的に加速してきた。民泊新法では年間180日を上限に住宅地でも民泊の営業を認める一方で、自治体ごとに営業日数や地域について独自の規制をかけることを認めるためだ。

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民泊条例の検討状況まとめ(12/10更新)

本ページでは新宿区や世田谷区、大田区などの各自治体ごとに進む民泊条例の検討状況をまとめる。

都道府県自治体進捗状況と検討中の規制ルール
東京都新宿区・住居専用地域(※1)では月曜正午~金曜正午まで民泊営業を禁止
新宿区民泊問題対応検討会議を5回開催
東京都世田谷区・住居専用地域(※1)では月曜正午~土曜正午まで民泊営業を禁止
世田谷区住宅宿泊事業検討委員会を開催
東京都大田区・ホテル、旅館の建築が可能な用途地域でのみ営業を認める
・住宅専用地域での民泊営業はできない
東京都千代田区千代田区民泊サービスのあり方検討会を開催
東京都台東区・台東区住宅宿泊事業検討会を開催
東京都中野区意見交換会の実施
神奈川県横浜市・低層住宅地域(※2)では月曜正午~金曜正午まで民泊営業を禁止
パブリックコメントを実施中
長野県軽井沢町・町内全域、通年での規制を要望へ
・11月27日に民泊の在り方を考える検討会
京都府京都市・住居専用地域では閑散期の1~2月のみ営業を認める
・家主居住型と一部の京町家は制限の対象外
京都市にふさわしい民泊の在り方検討会議を開催
北海道・例年道路渋滞等が発生すると想定される時期の営業制限を検討
・住居専用地域で平日営業の制限を検討
住宅宿泊事業法に基づく条例に関する有識者会議を開催

(※1) 都市計画法第 8 条第 1 項第 1 号にいう第 1 種低層住居専用地域、第 2 種低層 住居専用地域、第 1 種中高層住居専用地域及び第 2 種中高層住居専用地域

(※2) 都市計画法第8条第1項第1号にいう、第 1 種低層住居専用地域、第 2 種低層住居専用地域

 

新宿区:住宅専用地域では平日中心に民泊営業を制限(約156日)

住宅宿泊事業法の施行をにらみ2016年10月から新宿区民泊問題対応検討会議を開催するなど早くから民泊のルール化を進めてきた新宿区。民泊物件のデータ分析を手掛けるメトロエンジン株式会社によると東京23区の中で最多となる約4,200件(2017年11月末現在)の民泊施設がある。

民泊の件数の多さから法施行後の影響が大きい新宿区では、「新宿区ルール」として住宅宿泊事業の適正な運営に関する条例の骨子案を固めてきた。

パブリックコメントを経て公開された最新の骨子案では、住居専用地域(※1)においては民泊の営業ができるのは金曜日正午以降から月曜日正午までに制限される(平日でも祝日の場合は、祝日の正午から翌日正午まで民泊の営業が可能)。

(※1)都市計画法第 8 条第 1 項第 1 号にいう第 1 種低層住居専用地域、第 2 種低層 住居専用地域、第 1 種中高層住居専用地域及び第 2 種中高層住居専用地域

 

世田谷区:住宅専用地域では平日中心に民泊の営業を制限

住居専用地域が大半を占める世田谷区では2017年6月から世田谷区住宅宿泊事業検討委員会を開催。世田谷区の落ち着いた生活環境を守ることを前提として国内外の観光旅客の宿泊ニーズに的確に対応できるようなルール作りが進められてきた。

世田谷区の条例骨子案では住居専用地域(※1)においては民泊の営業ができるのは土曜日正午以降から月曜日正午までに制限される(平日でも祝日の場合は、祝日の正午から翌日正午まで民泊の営業が可能)。

11月に骨子案についてパブリックコメントを実施し区民から意見の募集を行い、来年2月に区議会に条例案を提案予定。

(※1)都市計画法第 8 条第 1 項第 1 号にいう第 1 種低層住居専用地域、第 2 種低層 住居専用地域、第 1 種中高層住居専用地域及び第 2 種中高層住居専用地域

 

大田区:住居専用地域での民泊営業は不可(ゼロ日)

国家戦略特区を活用した民泊である特区民泊で民泊を早くから推進してきた大田区では、住居専用地域での民泊営業は一切不可能にする方針。民泊の営業ができるのはホテル、旅館の建築が可能な用途地域のみとなる。

“住宅”宿泊事業法の最大のメリットであるはずの”住宅”地での民泊営業を可能にするという利点は大田区ではまったく活かせないことになる。住居専用地域での民泊を一切認めない条例案は他の自治体では見られず大田区の民泊条例案は厳しい内容となっている。

なお、国交省は民泊の営業任数の上限をゼロ日として事実上事業を不可能にすることは、住宅宿泊事業に係る規制、振興の両面を有する本法の目的を逸脱するものとなることから適切ではないとされている。

 

横浜市:平日中心に民泊の営業を制限

横浜市の条例骨子案では低層住居専用地域(※1)においては民泊の営業ができるのは金曜日正午以降から月曜日正午までに制限される(平日でも祝日の場合は、祝日の正午から翌日正午まで民泊の営業が可能)。

骨子案について12月19日までパブリックコメントを実施し市民から意見の募集を行い、2月に市議会に条例案を提出し来年3月の施行を目指す。

 

軽井沢町:町内全域、通年での規制を要望へ(ゼロ日)

民泊が昨今話題になっていることを受けて2016年3月に「民泊施設等の取扱基準」としたお知らせを掲載。民泊施設は町内全域で認めない方針を明らかにしている。

住宅宿泊事業法の施行を前に県が行った市町村への聞き取り調査の中でも町内全域、通年で民泊の規制を要望しているといい、民泊新法施行後も民泊の営業は認めない方針。

 

京都市:閑散期の1~2月に限定して認める(約60日)

京都市にふさわしい民泊の在り方検討会議を今年9月から開催し京都にふさわしい民泊のルール作りを進めてきた京都市では、生活環境の悪化防止を目的として住居専用地域については、1~2月に限定(年間約60日)して営業を認める方針

1~2月とした理由としては、民泊通報・相談窓口における通報件数が少ない月で、生活環境の悪化に与える影響は少ないと考えられるため。

 

北海道:住居専用地域で平日を除く60日以内に制限

住宅宿泊事業法に基づく条例に関する有識者会議を今年の8月から開催しルール作りの準備を進めてきた北海道では、不在型民泊で住宅宿泊事業に制限をかける。(ふれあい民泊と呼んでいる家主居住型民泊では営業日数や地域などで規制はかけない方針。)

不在型民泊では、民泊の営業を制限できる区域を(1)住居専用地域(2)ホテルなどがない小中学校周辺おおむね 100 メートル以内(3)別荘地(4)例年道路渋滞などが発生すると予想されるエリアなどに分類。

住居専用地域は土日・祝日の約60日以内、学校周辺は学校が休みの日のみの年間約110日、一時的に道路渋滞などが発生するエリアではその期間外での営業を認める。