飛行機での旅行の際、液体物の持ち込みについては、国内線と国際線で大きくことなります。国内線ではほとんど制限はありませんが、国際線では厳格なルールが定められています。

液体物に関するルールを知らない準備すると、当日、空港の保安検査場でせっかく準備したものを没収される可能性があるほか、追加の検査などで保安検査の通過に時間がかかってしまう場合があります。

本特集では、ペットボトル飲料などの液体物や食べ物は機内に持ち込みはできるのかについて、詳しく解説していきます。

 

液体・飲食物の機内持ち込みはできる?

飛行機への液体・飲食物の持ち込みは、航空会社や座席クラス、国内線あるいは国際線かによってルールが異なります。特に赤ちゃん連れの場合は、離乳食に関する特別な規定があり、例外的に持ち込みが許可されています。

まず、基本的にはおにぎり、弁当、お菓子などの食べ物類は、問題なく機内持ち込みが可能です。ただ、国際線の一部のLCC(格安航空会社)では飲食物の機内持ち込みができない場合があります。

注意が必要なのが液体物です。国内線では、お茶などのペットボトル飲料は機内持ち込み可能で、アルコール飲料も航空会社によっては機内持ち込み可能です。

一方で、国際線では500mlのペットボトルのジュース、お茶、ミネラルウォーターは、制限対象となるため、保安検査で没収されます。ただし、保安検査後に、免税店等の店舗で購入したペットボトルなどは機内へ持ち込むことはできます。

 

国内線での液体の機内持ち込み

飲み物

ノンアルコール飲料であれば、機内持ち込みについては制限はありません。

コーヒーショップなどで提供されるこぼれやすいコップに入った暖かい飲み物については、機内に持ち込む場合、こぼれてやけどする可能性もあるため、持ち込まないほうが賢明です。

なお、ジェットスターでは冷たい飲み物の機内持ち込みはできますが、温かい飲み物は持ち込みできません。ただし、ペットボトルなど蓋がしまる容器に入ったものであれば持ち込みは可能です。

 

アルコール飲料

アルコール飲料を機内に持ち込みできるかはアルコール度数によって異なります。

アルコール度数24%以下であればは、量の制限なく機内に持ち込むことができますが、アルコール度数24%から70%以下であれば持ち込み可能な量は、5リットルまでに制限されます。

アルコール度数70%を超えるアルコール飲料は、機内への持ち込みも、預入れもできません。なお、ジェットスターでは、アルコール飲料の機内持ち込みはできますが、機内で飲むことはできません。

一般的なビールのアルコール度数は5%程度で、ワインは12%、日本酒は22%ほどです。ブランデーやウイスキー(37~50%)、焼酎(20~25%)あたりになると持ち込み可能量に制限があるため、注意が必要です。

 

化粧品・香水など

化粧品・香水・医薬品は、機内持ち込みと預け入れともにできます。

化粧品・香水・医薬品は、1容器あたり0.5kgまたは0.5リットル以下で、一人あたりに持ちこみ可能な量は、2kgまたは2リットルまでに制限されます。

この制限に含まれるのは、化粧水や日焼け止めローションといったスキンケア製品、シャンプーなどのヘアケア用品、さらには除菌スプレーやコンタクトレンズ洗浄液、香水なども対象となります。

 

国際線での液体の機内持ち込み

国際線では、国内線と比べると液体の持ち込みが厳しく制限されています。

国際線を利用する場合、100ml(g)を超える容器に入ったあらゆる液体物は、原則として、機内への持ち込みが禁止されています。液体物には、歯磨き、ヘアジェルなどジェル上のものやスプレーも含まれます。

そのため、機内に持ち込む場合は、100ml(g)以下の容器に分けて容量1リットル以下のジッパー付き透明プラスチック袋に入れる必要があります。

また、機内で使わないのであれば、スーツケースに入れてチェックインカウンターで手荷物として預け入れましょう。預け入れ手荷物については、500mlのペットボトルでも問題なく持ち込みができます。

 

飲み物

国内線とは異なり、100ml(g)を超える容器に入ったあらゆる液体物は機内への持ち込みが禁止されています。

そのため、ミネラルウォーターやお茶、などのペットボトル飲料はもちろん、アルコール飲料なども機内に持ち込みはできません。また、ゼリー状のドリンクや飲むヨーグルトも液体物のため持ち込みはできません。

ただし、赤ちゃん用の離乳食(液体状)や飲み物は、赤ちゃんと一緒に搭乗する場合に限り、「必要な量」だけ例外的に持ち込みが許可されています。

なお、保安検査後に、免税店等の店舗で購入したペットボトルなどは機内へ持ち込むことはできます。

 

化粧品・香水などの液体物

化粧品・香水などの液体物は、機内持ち込みと預け入れともにできます。ただし、機内持ち込みの場合は、個別に100ml(g)以下の容器に入れパッケージにする必要があります。

国際線で液体物を機内に持ち込む場合は、1容器あたり0.5kgまたは0.5リットル以下で、一人あたりに持ちこみ可能な量は、2kgまたは2リットルまでに制限されます。

機内に持ち込む場合は、100ml(g)以下の容器に小分けして入れ、それらを容量1リットル以下(縦横20cm以下)のジッパー付き透明プラスチック袋にまとめてください。

この液体物が入ったプラスチック袋の持ち込みは、お客様ひとりにつき1点のみ可能です。透明ではなかったり、容器がパンパンで密封できない場合は、一部を廃棄する必要があります。

 

歯磨き粉などジェル状のもの

基本的には、固形でない、ジェル状、クリーム状のものは液体物となるため、100ml(g)以下の容器に分けて容量1リットル以下のジッパー付き透明プラスチック袋に入れる必要があります。

保湿クリームや軟膏、液状のファンデーション、美容スプレー、ヘアワックス、ヘアジェル、日焼けローション、ボーディーローションなどもすべて液体物となります。

機内で使う必要がないものは、極力機内持ち込みにせず、スーツケースに入れて、チェックインカウンターで手荷物として預け入れましょう。

この他にも多くの液体物があるため、 詳細については国土交通省「量的制限の対象となる液体物のリスト(PDF)」をご確認ください。

 

ゼリーなどの食べ物

機内への食べ物の持ち込みは基本的に許可されていますが、ゼリーやプリン、ヨーグルトやスムージーなどは液体物に分類されるため、ペットボトル飲料などの液体物と同じ扱いになります。

同様に、レトルト食品やジャム、マーガリンも液体物になるため、機内持ち込みには適しません。これらの食品を旅行中に楽しみたい場合は、必ず預け入れ手荷物に入れるようにしましょう。

一方で、パンやクッキー、チョコレートなどの固形物は通常問題なく持ち込めます。ただし、国や航空会社によって規則が異なる場合があるので、事前に確認することをおすすめします。

 

飲食物の持ち込む上での注意ポイント

加熱式の弁当

紐を引っ張り化学反応を起こすことで温かい食事を楽しめる加熱式弁当ですが、機内への持ち込みはできません。また、預入手荷物での飲み込みもできない点に注意が必要です。

加熱の仕組みに使用されている「生石灰」が、航空法で定められた危険物に該当するためです。

加熱式弁当は空港の保安検査場を通過できないため、既に購入してしまった場合は、空港内で食べるか、やむを得ず処分する必要があります。

 

一部のLCC(格安航空会社)

国際線の一部のLCC(格安航空会社)では、飲食物の機内持ち込みができない場合があります。

例えば、キャセイパシフィック航空のLLCである香港エキスプレスでは、ご自身で購入した食べ物や飲み物は機内に持ち込むことができず、有料の機内サービスを利用するように促しています。

また、エアアジアでも、チョコレートやビスケットなど腐らない食物は機内に手荷物として持ち込みできますが、ご自身で購入した食べ物や飲み物は機内に持ち込むことはできません。

 

温かい飲み物

コーヒーショップなどで提供されるこぼれやすいコップに入った暖かい飲み物については、機内に持ち込む場合、こぼれてやけどする可能性もあるため、持ち込まないほうが賢明です。

なお、ジェットスターでは冷たい飲み物の機内持ち込みはできますが、温かい飲み物は持ち込みできません。ただし、ペットボトルなど蓋がしまる容器に入ったものであれば持ち込みは可能です。

 

アルコール飲料

アルコール飲料を機内に持ち込みできるかはアルコール度数によって異なります。

アルコール度数24%以下であればは、量の制限なく機内に持ち込むことができますが、アルコール度数24%から70%以下であれば5Lまでに制限されます。

アルコール度数70%を超えるアルコール飲料は、機内への持ち込みも、預入れもできません。なお、ジェットスターでは、アルコール飲料の機内持ち込みはできますが、機内で飲むことはできません。

 

保安検査場の場所に注意

通常、国際線で飛行機に乗るまでの流れは、チェックイン手続きのあと保安検査を行い、税関申告・出国審査の順番になりますが、一部海外の空港では、搭乗口直前で保安検査を行う場合があります。

この場合、保安検査までに購入した500mlのペットボトル飲料は、赤ちゃん・乳幼児用のものでなければ、没収されることになるため注意しましょう。

 

例外として持ち込める液体

 

赤ちゃん・乳幼児用の飲食について

赤ちゃんや乳幼児を連れている場合、離乳食に関しては特別なルールがあります。

ただし、赤ちゃん用の離乳食(液体状)や飲み物は、赤ちゃんと一緒に搭乗する場合に限り、例外的に持ち込みが許可されています。ただし、その量は「必要な量」のみとなるため注意が必要です。

必要な量がどれくらいなのかについて明確なルールはありませんが、誰がみても明らかに多すぎる量を持ち込むなど極端ではなければ、特に問題なく持ち込むことができます。

離乳食を機内に持ち込む際は、お子様と一緒に検査場に行き、離乳食を他の手荷物とは別に検査員に提示しましょう。

 

免税店で購入した飲み物

出国手続き後に免税店で購入した飲料は、500mlのペットボトルでも機内持ち込みが可能です。これは通常の液体物制限である100ml(g)以下というルールの対象外となります。

というのも、液体物が入っているかのどうかのチェックは保安検査で行うことであるため、出国手続きまで終わったあとでは、一般的には検査はないためです。

ただ、シンガポールのチャンギ国際空港など一部の海外の空港では、保安検査を搭乗口の直前で行う場合があります。この場合は、免税店で購入したペットボトルであっても没収されてしまうため注意が必要です。

同様に、免税店で購入した化粧品や香水なども、容量に関わらず機内に持ち込めます。

 

医薬品

機内に持ち込む医薬品は、保安検査時に「医薬品」として申告することで、通常の液体物の制限を超えて機内に持ち込みすることができます。ただし、フライト中に使用する分量に限られます。

目薬やコンタクトレンズ用保存液、咳止めシロップも医薬品として扱われ、機内で必要となる量に限って100ml以上の容器でも持ち込みが可能です。いずれも、検査員に「医薬品」と申告してください。

医薬品であっても不必要なものは機内持ち込みはできません。場合によっては、持ち込みが必要となった証拠として処方箋のコピーや診断書の提示を求められる場合があります。

 

クレンジングシートなど

クレンジングやメイク落としのオイルやジェルなどは、液体物の扱いとなるため厳しいルールが適用されますが、クレンジングシートといったシートタイプの商品であれば、機内持ち込みが可能です。

オイルやジェルは、液体物ですが、紙のシートに美容液が含まれている分については液体物扱いにはならないためです。液体物ではないため、検査員への特別な申告も必要ありません。

保湿パックや美容パックなどもシートタイプであれば、機内持ち込みが可能になります。国際線などで旅行に行く際は、オイルやジェルタイプではなくシートタイプにするというのも手です。

 

液体物はバレる?昨今の検査事情とは

ここまで液体物に関するルールを説明してきましたが、実際のところ気になるのは、化粧品などの液体物を100ml以下の容器に移して透明のプラスチック袋に入れないと、どうなるのかではないでしょうか。

いきなり別室送りにはなりませんが、保管検査で大幅に時間をロスする可能性もあります。特に海外では、言語の壁もあり事態がややこしくなる場合もあるため、液体物はルール通り小分けして持ち込むようにしましょう。

なお、ヨーロッパではコンピューター断層撮影(CT)スキャナー「C3」が続々と導入されており、手荷物検査の最先端技術として注目されています。

C3スキャナーでは、従来手荷物検査で液体物をプラスチック袋にまとめる作業やパソコンなどの電子機器をバッグから取り出す作業が不要になり、手荷物検査時間を大幅に削減できるという特徴があります。

世界的にみてもごく一部の空港のみでの導入となっているため、直ちに、液体物に関するルールが緩和されるものではありませんが、将来的には、手荷物検査の行列をなくす存在となる可能性もあると言えるでしょう。

 

 



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