シンガポール旅行を計画する際には、現地の祝日を把握しておくことがとても大切です。シンガポールは多民族・多宗教国家であり、それぞれの宗教や文化に根ざした祝日が多く制定されています。
年間の祝日数は日本より少ない11日間ですが(日本は16日)、そのうち毎年日付が固定されているのは4日のみで、他の7日は旧暦や宗教暦に基づいて毎年日付が変わる点が特徴です。
例えば独立記念日(ナショナルデー、8月9日)など4つの祝日は毎年同じ日付ですが、春節(旧正月)やハリラヤなど多くの祝日は年ごとに日にちが動き、シンガポール政府は毎年4月頃に翌年の祝日カレンダーを公式発表します。
以下、最新の2025年版シンガポール祝日一覧と各祝日の由来・特徴、および旅行者向けのポイントを詳しく解説します。
シンガポールの祝日一覧(2025年)
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2025年におけるシンガポールの祝日は以下の通りです。旅行先の祝日を知っておくことで、混雑を避けることができるほか、逆に花火や航空ショーなど普段行われないイベントに参加することもできます。
シンガポールの祝日の中で特に重要となるのがナショナルデー(8月9日)です。国家的な祝賀行事が行われ、パレードや航空ショー(添付の写真のイメージです)、花火などが開催されます。
シンガポールの祝日は宗教や民族の伝統に根ざしたものが多く含まれます。それぞれの祝日について、その由来や特徴、そして旅行者向けの注意点やイベント情報を次の章から詳しく解説しています。
日付(2025年) | 祝日名(日本語) | 祝日名(英語) |
---|---|---|
1月1日(水) | 元旦 | New Year’s Day |
1月29日(水) | 春節 1日目 | Lunar New Year Day 1 |
1月30日(木) | 春節 2日目 | Lunar New Year Day 2 |
3月31日(月) | ハリラヤ・プアサ(断食明け大祭) | Hari Raya Puasa |
4月18日(金) | グッドフライデー(聖金曜日) | Good Friday |
5月1日(木) | レイバーデー(メーデー) | Labour Day |
5月12日(月) | ベサックデー(仏陀の誕生日) | Vesak Day |
6月7日(土) | ハリラヤ・ハジ(犠牲祭) | Hari Raya Haji |
8月9日(土) | ナショナルデー(建国記念日) | National Day |
10月20日(月) | ディーパバリ(光の祭典) | Deepavali |
12月25日(木) | クリスマス | Christmas |
※ハリラヤ・プアサとハリラヤ・ハジの日付はイスラム暦(月の観測)によって前後する可能性があります。
各祝日の特徴と由来、祝日中のイベント
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元旦 (New Year’s Day) – 1月1日
新年の始まりを祝う元日です。ただしシンガポールでは、中国暦の新年である春節(旧正月)の方を盛大に祝う習慣が根付いているため、1月1日の元旦そのものは「休日」のひとつではあるものの、数は少なめです。
とはいえ、カウントダウンイベントはあり、12月31日の大晦日には、マリーナベイエリアやクラークキーなどで新年カウントダウンイベントが開催され、花火が打ち上げられるなど大いに盛り上がります。
一方で、日本のような年末年始の長期休暇の文化はなく、一般的に1月2日から仕事始めとなるため、元旦当日は比較的落ち着いた雰囲気です。旅行者にとっては、大晦日の花火鑑賞がハイライトですが、元旦当日は多くの商業施設が平常通り営業しているため観光しやすいでしょう。
春節(旧正月) – 1月29日・30日
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旧暦(太陰暦)にもとづく新年で、中国系住民にとって一年で最も重要な祝祭日です。毎年日付が変わりますが、2025年は1月29日と30日の2日間が祝日となっています。シンガポール国民の約7割を占める華人(中華系)のコミュニティでは、この時期に盛大な年越し行事を行います。
1月に入ると街中が少しずつお正月ムードになり、縁起物のお菓子や飾りがスーパーやマーケットに並び、幸運を象徴する赤色のデコレーションで町が彩られます。特にチャイナタウンでは無数の提灯やランタンが飾り付けられ、美しい光景を楽しむことができます。大晦日にあたる旧暦の年越し前夜にはチャイナタウンでカウントダウンイベントが行われたり、花火が打ち上がる年もあります。
春節期間中は華人系の店やレストランの多くが休業するため、観光客は事前に営業時間を確認するなど注意が必要です。逆に大型ショッピングモールや一部の観光施設は営業していますが、営業時間が短縮される場合があります。
また、この時期は家族行事を優先する人が多いため街中は通常時より静かになりますが、年越し前や祝日明けには多くの人出で賑わいます。
ハリ・ラヤ・プアサ (Hari Raya Puasa) – 3月31日
イスラム教の断食月(ラマダン)明けを祝う祭日です。ラマダン月に一ヶ月間の日中断食を行ったイスラム教徒にとって、この断食明けの日は魂を清めた喜びを分かち合う大切な日となります。
「ハリ・ラヤ・プアサ」はマレー語で「断食明け大祭」という意味で、日本では開斎節などと訳されることもあります。毎年日付はイスラム暦により変動します(2025年は3月31日)。
この時期の風物詩として有名なのが、イスラム教徒が多く暮らすゲイラン地区で開催される「ゲイラン・セライ・バザール」です。ラマダン月の間、夕方から夜にかけて開かれる大規模な屋台市で、地元グルメの屋台やイスラムファッション、雑貨、ゲーム屋台から絨毯まで様々な店が軒を連ねます。
断食期間中は日中の飲食を控えていた人々も、日没後になるとバザールで食事を楽しみ、夜遅くまで買い物や食べ歩きを満喫します。通り一帯はきらびやかなイルミネーションで彩られ、その幻想的な光景は訪れた人々を魅了するでしょう。
祝日当日の朝は多くのイスラム教徒が礼拝に行くためモスク周辺が混雑しますが、前夜まで開催されるバザールは旅行者にも人気のスポットです。夜間に訪れる際は混雑に注意しつつ、多文化都市シンガポールならではの賑わいを味わうことができます。
グッドフライデー (Good Friday) – 4月18日
キリスト教(特にカトリックやプロテスタント)における聖なる金曜日で、イエス・キリストが磔刑に処された「受難日」を追悼する日です。復活祭(イースター)直前の金曜日にあたり、シンガポールでは多宗教国家ならではにこの日を大切に過ごすクリスチャンも多くいます。毎年日付は春分月の計算によって変わります。
祝日中のイベント:教会では礼拝やミサが行われ、信徒たちは厳粛に祈りを捧げます。観光客向けの大規模イベントは特にありませんが、この週末はキリスト教徒の間でイースター(復活祭)も祝われるため、教会や一部の学校では関連行事が続きます。
グッドフライデー自体は静かに祈りを捧げる日であるため、観光施設などは通常営業している所も多いです。ただし連休になるため、金曜夜から日曜日にかけて市内のショッピングセンターやレストランが家族連れで賑わう傾向があります。
レイバーデー (Labour Day) – 5月1日
毎年5月1日はメーデー(労働者の日)として世界的に労働者の貢献を称える祝日です。シンガポールでも「レイバーデー(Labour Day)」として公式の祝日になっています。
特別な伝統行事はありませんが、労働組合などが記念式典を行ったり、政治家の演説が行われることがあります。多くの会社や学校が休みとなり、市民はこの日を利用して休息を取ったり家族と過ごします。
祝日が木曜の場合は翌日金曜を休みにして4連休にする人もおり、この時期は近場への旅行需要が高まります。観光客にとっては商業施設や公共交通機関は通常どおり利用でき、地元の人々で賑わう公園や観光地に触れる機会となるでしょう。
ベサックデー (Vesak Day) – 5月12日
仏教徒にとって重要なお釈迦様の誕生日を祝う日です。仏陀(ゴータマ・シッダールタ)の誕生・悟り・入滅の3つの出来事を記念する日とされ、毎年旧暦に基づき日付が変動します(2025年は5月12日)。日本では4月8日の「花祭り(灌仏会)」にあたる行事ですが、シンガポールではこの日が国民の祝日です。
祝日中のイベント:シンガポール各地の仏教寺院では、ローソク行列(提灯行列)や仏像への水かけ(灌仏)など伝統的な仏教行事が執り行われます。信仰心の篤い仏教徒たちは早朝から寺院に集い、祈りを捧げたり僧侶の説法に耳を傾けます。夜には僧侶や信者が提灯を手に練り歩く光景も見られ、厳かながらも心温まる雰囲気に包まれます。
寺院での行事は一般の観光客でも見学可能なことが多いので、仏教文化に触れる良い機会となります。ただし寺院周辺は混雑するためマナーを守り静かに見学しましょう。また、この日は菜食主義を実践する人も多いため、ベジタリアン料理の屋台や特別メニューが出る飲食店もあります。
ハリ・ラヤ・ハジ (Hari Raya Haji) – 6月7日
イスラム教徒の犠牲祭(イード・アル=アドハー)にあたる祝日です。預言者アブラハム(イブラヒム)が神への信仰を試された故事にちなみ、神への献身を象徴する行為として家畜を犠牲(クルバン)に捧げる習慣に由来します。日付はイスラム暦で毎年変動し、メッカ巡礼(ハッジ)の時期に合わせて行われます。
信仰深いムスリム(イスラム教徒)たちは早朝からモスク(イスラム教の礼拝堂)に集い、特別礼拝を捧げます。その後、許可を得た場所でヒツジやヤギなどの生け贄(供犠)を捧げる儀式が執り行われます。
この儀式で得られた肉は家族や近隣、貧しい人々と分かち合われ、慈善の精神が体現されます。またイスラム教徒同士がお互いの家を訪問し合い、食事を共にして喜びを分かち合う習慣もあります。
観光客が生け贄の儀式を見る機会は限られますが、礼拝後のモスク周辺では伝統衣装に身を包んだ人々を見ることができます。この日はムスリムの友人宅に招かれてご馳走をいただく文化もありますが、招待がない場合は無理に踏み込まないようにしましょう。代わりに、アラブストリート周辺などイスラム文化が色濃いエリアを散策し、祭日の雰囲気を感じてみるのも良いでしょう。
ナショナルデー (National Day) – 8月9日
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シンガポールの独立記念日にあたる祝日で、1965年8月9日にシンガポールがマレーシアから正式に分離独立したことを記念しています。国民にとって愛国心を再確認する大切な日であり、国を挙げて祝賀ムードに包まれます。
毎年8月9日の夕方には、シンガポール全土で盛大な祝賀イベントが開催されます。最大の目玉はナショナルデー・パレード(NDP: National Day Parade)で、会場となるマリーナベイ周辺では観閲式や鼓笛隊による行進、大掛かりなパフォーマンスが繰り広げられます。
パレードでは軍楽隊や儀仗兵の行進に加え、民族舞踊や学校のマーチングバンドなど多彩な出し物が登場し、観客を沸かせます。また、夜にはライブバンド演奏やダンスパフォーマンスが行われ、盛大な花火がシンガポールの夜空を彩ります。この模様は全国放送のテレビで生中継され、シンガポール国民にとって欠かせない一夜となっています。
ナショナルデー当日は市内中心部(特にマリーナベイ周辺)が大変混雑します。パレード観覧には事前抽選の無料チケットが必要ですが、チケットがなくても周辺から花火や航空機のフライパスを見ることができます。
交通規制も敷かれ、パレード開催中は周辺道路で通行止めやバス路線の変更が行われるため、移動には地下鉄(MRT)を利用するか時間に余裕を持つようにするとよいでしょう。
ディーパバリ (Deepavali/Diwali) – 10月20日
ヒンドゥー教の光の祭典と呼ばれる祝日です。ヒンズー暦に基づき毎年日付が変わります(2025年は10月20日)。悪に対する善、闇に対する光の勝利を祝う行事で、インド系コミュニティにとって最も大切な祭日の一つです。
シンガポールではインド系住民が多く集まるリトルインディア地区で、ディーパバリの約1ヶ月前から華やかなライトアップが始まります。通りには無数の光のアーチが設置され、そのきらめく光景は訪れる人々を圧倒します。また、リトルインディア内には特設テントが張られ、インドの伝統菓子や料理の屋台、サリーや雑貨などを販売するバザール(夜市)が開催されます。
祝日当日はヒンズー教徒たちが寺院に集まりプージャー(礼拝)を行い、家々ではランプやキャンドルを灯して豊穣や幸運を祈ります。旅行アドバイス:ディーパバリ期間中のリトルインディアは終日賑わい、多くの観光客も訪れます。
夕刻以降は特に混雑するため、ゆっくり鑑賞したい場合は平日の早めの時間帯に訪れるのがおすすめです。光のアーチが点灯する様子は写真映えも抜群なので、カメラを忘れずに持参しましょう。
クリスマス (Christmas) – 12月25日
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イエス・キリストの誕生を祝うキリスト教の祭日で、シンガポールでは毎年12月25日が祝日となります。国民の一部はキリスト教徒(カトリック、プロテスタントなど)であり、宗教の垣根を超えて広く親しまれている行事です。
11月中旬頃から、市内随一のショッピング街であるオーチャードロードを中心に華麗なクリスマス・デコレーションとイルミネーションがスタートします。
各ショッピングモールが競うように巨大ツリーやライトアップを施し、街全体がきらびやかな雰囲気に包まれます。特に夜は「クリスマス・ライトアップ」と称してオーチャードロード沿いが光のトンネルのようになり、多くの人々が写真撮影に訪れる人気スポットとなります。
また、マリーナベイやガーデンズ・バイ・ザ・ベイなどでも季節限定のイベントやマーケット(例:クリスマス・マーケット、コンサート)が開催され、観光客も楽しめる催しが豊富です。クリスマス当日は祝日ですが、大半の商業施設や観光地は営業しています。
ただし教会では深夜のミサ(ミッドナイト・ミサ)や礼拝が行われるため、宗教行事の場では厳粛さを尊重しましょう。クリスマス前後の週末は買い物客で混み合うため、ゆっくり観光したい場合は午前中の早い時間帯に行動すると比較的スムーズです。
旅行者向け:祝日に快適に過ごすためのポイント
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事前に祝日カレンダーを確認:渡航前に旅行期間中のシンガポールの祝日を確認し、スケジュールを立てましょう。
特に祝日が日曜日に当たる場合、翌月曜日が振替休日となり多くの施設が休業します。公式の翌年の祝日発表は毎年4月頃に行われるため、早めにチェックしておくと安心です。
事前に祝日カレンダーを確認
渡航前に旅行期間中のシンガポールの祝日を確認し、スケジュールを立てましょう。特に祝日が日曜日に当たる場合、翌月曜日が振替休日となり多くの施設が休業します。
公式の翌年の祝日発表は毎年4月頃に行われるため、早めにチェックしておくと安心です。
祝日前のイベントも楽しむ
宗教系の祝日の多くは当日だけでなく前夜祭や準備期間のイベントが見どころです。
例えば旧正月前のチャイナタウン年貨市や、ラマダン月間中のゲイラン・セライ・バザール、ディーパバリ前のリトルインディアのライトアップなどは旅行者にも人気の催しです。祝日当日だけでなく、その前後に行われるお祭りも積極的に体験してみましょう。
営業時間・休業情報に注意
祝日は官公庁や学校・銀行が休みになる一方で、商業施設や観光スポットは営業を続ける場合も多いです。ただし店舗によっては短縮営業や休業となることもあります。
特に春節(旧正月)の初日・2日目は華人系の商店やローカル食堂が軒並み閉まるため、食事場所をホテル内レストランや大規模ショッピングモール内の店に切り替えるなど工夫が必要です。訪問予定の施設がある場合は公式サイト等で祝日の営業時間を事前に確認しておきましょう。
主要イベント時の混雑対策
大きな祝日イベント(ナショナルデーのパレードやカウントダウン花火、ディーパバリやクリスマスのライトアップなど)は非常に混雑します。良い場所で鑑賞したい場合は開始時間の数時間前には現地に到着する、公共交通機関の最寄駅を把握しておく、飲み物を持参する等の準備をおすすめします。
特にナショナルデー当日は交通規制でバス路線の変更や大渋滞が発生するため、移動はMRT(地下鉄)の利用が賢明です。イベント会場ではスリなどにも注意し、貴重品管理を徹底してください。
航空券・宿泊は早めに予約
シンガポールの祝日が絡む期間(特に前後の週末が連休になる場合)、周辺国からの旅行者やシンガポール国内の旅行需要が高まります。
航空券やホテル代が平時より高騰したり満席(満室)になりやすいため、旅行日程が祝日に重なると分かった時点で早めに予約を確保しましょう。格安航空会社(LCC)も祝日近辺は料金が上がる傾向にあるため要注意です。
近隣国への小旅行も検討
長い連休を利用して近隣東南アジア諸国への旅行に出かけるのも一案です。タイ、マレーシア、インドネシア、ベトナム、カンボジア等へはシンガポールから短時間で行けるため、現地発着のツアーや航空券を活用して足を伸ばす人もいます。
ただし祝日直前直後は航空券が取りにくくなるため計画と予約は入念に行いましょう。シンガポール発着の旅行商品は早期予約割引を提供している場合もあるので見逃さずチェックしてください。