シンガポールに初めて旅行する方にとって、移動手段は気になるポイントですよね。MRT(地下鉄)やバスなど公共交通機関が発達しているシンガポールですが、実はタクシーも日本より安く気軽に利用できてとても便利なんです。
さらに、近年は配車アプリのGrab(グラブ)を使えば、スマホアプリから行き先の伝達や支払いもスムーズに手配できるため、非常に便利です。
本記事では、シンガポールのタクシーの料金体系や乗り方、Grabの使い方、そして安全に利用するための注意点まで、初めての方にも分かりやすくご紹介します。
目次
シンガポールのタクシー料金・チップは?
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シンガポールのタクシーは日本に比べて料金が安めです。初乗り運賃は約4.1〜5シンガポールドル(約470〜580円)ほどで、車種やタクシー会社により若干異なります。
初乗り距離(おおよそ1km)を超えると、約400mごとにS$0.25前後(約20~30円)のメーター加算があります。日本のタクシー初乗り料金(東京23区で500円程度)と比べても割安で、乗った分だけメーターで課金されるシステムなので明朗会計です。
基本的なタクシー料金
料金区分 | 料金・適用時間 |
---|---|
初乗り運賃 | $4.40~$4.80(約440円~480円) |
加算運賃 | 1km~10kmまで: 400m毎に26セント(約26円) 10km以上: 350m毎に26セント(約26円) 待機料金: 45秒毎に26セント(約26円) |
平日ピーク時間 | 通常料金 + 25% ・前6時~午前9時29分(祝日除く) ・午後5時~午後11時59分(祝日含む) |
週末ピーク時間 | 通常料金 + 25% ・午前10時~午後1時59分(祝日含む) ・午後5時~午後11時59分(祝日含む) |
深夜料金 | 通常料金 + 50% ・毎日:深夜0時~午前5時59分 |
乗車場所追加料金 | シティエリア: $3.00(約300円) チャンギ空港: $8.00(約800円) マリーナベイサンズ: $3.00(約300円) ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ: $3.00(約300円) ※時間帯による |
追加料金と割増料金
シンガポールのタクシーには、乗車する場所や時間帯によって追加料金(サーチャージ)が発生する点に注意しましょう。主な追加料金・割増料金は以下の通りです。
場所による追加料金
チャンギ空港やマリーナベイサンズなど特定の場所のタクシー乗り場から乗車する場合、S$3〜S$8の追加料金がかかります。市内中心部(シティエリア)やガーデンズ・バイ・ザ・ベイ、リゾート・ワールド・セントーサなど観光スポットでも同様です。
時間帯による割増料金
平日朝の通勤時間帯(6:00〜9:30)や夕方以降(17:00〜23:59)はメーター料金の25%増、深夜(0:00〜5:59)は50%増の割増料金が上乗せされます。週末・祝日も夕方以降は25%増しになると考えておきましょう(※早朝・深夜は全日50%増)。
また、市内中心部の道路には渋滞緩和のための有料ゲート(ERP)が設置されています。タクシーがこれらを通過すると時間帯に応じて所定の料金が自動で加算されます。
こうした追加料金は走行中のメーター表示には含まれず、降車時にまとめて加算される仕組みです。そのため、停車直後に表示額が跳ね上がって驚くことがありますが、不当なボッタクリではなく正規の追加料金なので慌てないでください。
詳細は領収書に内訳が記載されるので、気になる場合はレシートをもらって確認すると安心です。
支払い方法(チップは不要)
基本的にチップは不要です。メーターに表示された料金+追加料金だけ支払えばOKなので分かりやすいですね。特に料金交渉なども必要なく、降車時に提示額をそのまま支払うだけです。
タクシー料金の支払いには現金のほか、クレジットカードや交通系ICカードのEZ-Linkが利用できる車両もあります。ただしカード払い非対応のタクシーや、特定のカードブランドが使えない場合もあるため注意が必要です。
確実に支払うためには現金(シンガポールドル)を用意しておくと安心でしょう。特にS$50紙幣やS$100紙幣など高額紙幣はお釣りがない場合が多く、乗車を断られることもあります。小額紙幣(S$10やS$20以下)を持っておくとスムーズに支払えて安心です。
シンガポールのタクシーの種類
街中で見かけるタクシーの車体カラーは青・黄色・赤など様々ありますが、いずれもメーター制でサービス内容に大きな差はありません。ただし黒塗りの高級タクシー(通称:黒タクシー)だけは例外で、メルセデスベンツやリムジンタイプの車両を使用しているため料金が他より割高(およそ通常タクシーの1.5倍)に設定されています。
黒タクシーの初乗り運賃は約S$5からと高めで、メーター加算額も大きいので、特別な理由がなければ通常のタクシーを利用すると良いでしょう。タクシー乗り場で自分の順番に黒タクシーが来てしまった場合でも、無理に乗る必要はなく「次の車を待ちます」と係員やドライバーにはっきり伝えて問題ありません。
後ろの人に順番を譲り、普通の色のタクシーを待っても大丈夫です。シンガポールのタクシーは基本的に安全で悪質な客引きやボッタクリもなく安心して利用できますので、自分のペースで使いやすいタクシーを選びましょう。
普通タクシー (スタンダードタクシー)
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最も一般的なタクシーで、街中や郊外まで幅広く走っています。基本的にどこでも乗車できますが、都心部(CBDエリア)では道路上で手を挙げて捕まえることは制限されており、指定のタクシースタンド(乗り場)から乗車する必要があります。
普通タクシーの料金は、メーター制で走行距離と時間に応じた料金です。初乗り運賃はタクシー会社や車種によって若干異なりますが約S$4.1〜5.0(約400~500円)に設定されています。
以降は1km以降400mごとに約S$0.25前後が加算され、渋滞などで低速走行時は45秒ごとに同額が加わります。時間帯による割増料金もあり、平日朝夕のピーク時間帯はメーター料金の25%増、深夜(深夜0時~早朝6時)は50%増が自動的に上乗せされます。
支払い方法は現金が主流ですが、多くのタクシーでクレジットカードや電子決済(交通系ICカードやPayNow/PayLah!など)が利用可能です。※一部車両では利用できない支払方法あり
プレミアムタクシー (高級車タクシー)
サービスの違い: プレミアムタクシーは高級車種を使ったVIP向けのタクシーです。車体カラーは黒やシルバー系が中心で、一目で高級タクシーと分かる外観をしています。
車両はメルセデス・ベンツやBMW、大型ワゴン車(7人乗りのマキシキャブ等)などが使われており、車内は広く上質で乗り心地も快適です。通常の流し営業もしていますが台数は多くなく、主に空港や高級ホテルの乗り場、予約配車などで利用されます。
プレミアムタクシーもメーター制で仕組み自体は通常タクシーと同じですが、基本運賃が割高に設定されています。初乗り料金は約S$5.0〜5.5と高めで、以降の距離料金も400mごとに約S$0.33(または350mごとに同額)と通常タクシーの約1.5倍の水準です。
個人タクシー (配車アプリ)
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個人タクシーとは、GrabやGojekなど配車アプリを通じて手配する自家用車のタクシーサービスです。街中で直接拾うことはできず、「Grab」といったスマートフォンの配車アプリから現在地に車を呼び出して利用します。
アプリでピックアップ地点と目的地を指定するだけで近くのドライバーとマッチングし、自分の元まで迎えに来てくれます。車は一般の乗用車(トヨタやホンダなど)を営業用に使っているケースが多く、車種・グレードはドライバーによって様々です。
多くは5人乗りセダンやSUVですが、中には7人乗りの大型車(アプリでオプション選択)もあり、ニーズに応じて選べます。緑の「Grab」など各社のステッカーを貼っている車もありますが、基本的に普通のナンバープレートの自家用車です。
車体上部の空車ランプは無く、到着した車のナンバーや車種をアプリで確認して乗車します。配車アプリには乗客によるドライバー評価制度があり、星の数で信頼度が表示されます。評価の高いドライバーが多く比較的安心して利用できるのも特徴です。
シンガポールのタクシーの乗り方とコツ
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タクシーの捕まえ方
シンガポールでタクシーに乗る方法は大きく分けて2通りあります。【1】タクシー乗り場(タクシースタンド)から乗る方法と、【2】流しのタクシーを直接つかまえる方法です。
市内の主要なホテルやショッピングモール、病院の入口付近にはタクシー乗り場が設置されており、列に並んで順番が来たら乗車できます。タクシー乗り場には係員がいることも多く、案内に従えば迷うことはありません。
周囲にタクシー乗り場が見当たらない場合は、道路沿いで手を上げて流しのタクシーを拾うこともできます。その際、停車禁止の場所(バス停付近や交差点近くなど)ではタクシーも停まれないので、少し場所をずらして手を挙げるようにしましょう。
走っているタクシーの屋根上の表示にも注目です。屋根の表示ランプが緑色で「TAXI」となっていれば空車で乗車可能、赤色で「HIRED(予約済み)」や「Busy」「On Call」等と表示されている場合は既に乗車中か配車中のため乗れません。
日本の「空車」「賃走」の表示と同じ感覚で、緑ランプを目印に捕まえましょう。
乗車時のマナーとコツ
タクシーが止まったら、自分でドアを開けて乗り込みます。日本のタクシーのような自動ドアではないのでご注意ください。乗車したら目的地をドライバーに伝えます。
シンガポールの公用語は英語なので基本的に英語で伝えますが、観光客に慣れた運転手が多く、ホテル名や観光地名を伝えれば大抵理解してくれます。不安な場合は、スマホのGoogleマップで行き先を表示した画面や住所を書いたメモを見せてもOKです。
車内では全員シートベルト着用が義務付けられているので、発車前に必ずシートベルトを締めましょう。前席だけでなく後部座席も着用が法律で義務付けられており、違反すると罰金S$120が科せられる場合があります。
運転手によっては乗客に注意しないこともありますが、自分と同行者の安全のためにも忘れずに着用してください。
大きな荷物がある場合
スーツケースなど大きな荷物がある場合は、遠慮せず運転手に伝えてトランク(後部収納)に積みましょう。多くのドライバーはトランクを開けて荷物の上げ下ろしを手伝ってくれます。
特に女性やお年寄りでも安心して利用できるよう助けてくれる場合がほとんどです。もし運転手が荷物に気付かない場合は、自分からお願いすれば快く対応してくれるでしょう。
重い荷物を運んでもらった際には前述のように少額のチップを渡してもよいですが、基本的にはチップなしでもまったく問題ありません。
車内での過ごし方
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シンガポールのタクシー車内は基本的に禁煙・禁酒で、飲食も禁止です。日本ではタクシー内で飲み物を飲んだりすることもありますが、シンガポールでは公共の乗り物での飲食は禁止されており、タクシーも同様です。
ペットボトルの水を一口飲む程度で注意されることは稀ですが、基本的に飲み食いは控えましょう。
降車と支払い
目的地に到着したら、メーターに表示された料金を支払います。現金支払いの場合はお釣りをもらい、クレジットカード払いの場合は端末で決済を行います(カード利用不可と言われた場合に備えてやはり現金は持っておきましょう)。
タクシーでは降車時に領収書(レシート)を発行してもらえます。料金明細だけでなく車両番号やタクシー会社の連絡先も記載されているので、万が一荷物の忘れ物があった場合に連絡しやすくなります。領収書は念のため受け取っておくと安心です。
支払いと荷物の受け取りが済んだら、自分でドアを開けて降車し、ドライバーにお礼を伝えて終了です。
空港からタクシーに乗る場合
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チャンギ国際空港から市内へ移動する際もタクシーは便利です。空港の各ターミナルには到着ロビーを出たところに公式のタクシー乗り場があります。係員がいて案内してくれるので、それに従って列に並び、順番が来たら乗車します。
空港発の場合は先述のように空港利用の追加料金(通常時間帯でS$3、夕方ピーク時はS$5〜8)がかかります。深夜料金も合わさる時間だと割高になりますが、それでも市内中心部までの合計料金はおよそS$30〜45程度を見ておくと良いでしょう。
所要時間は市内中心部まで30分前後で、荷物が多い時や深夜帯でも安心して移動できます。参考までに、オーチャード付近の市街地から空港までタクシーを利用した場合は通常S$20〜40程度が目安です(時間帯によります)。
空港からGrabを利用することもできますが、到着直後は現地SIMの購入やWi-Fi環境の準備が必要になるため、初めての場合はまずタクシーでホテルまで移動→落ち着いてからGrabを設定という流れがおすすめです。
シンガポールのタクシー乗車時の注意点
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メーターと表示ランプの確認
シンガポールのタクシーは必ずメーターを使うのが基本です。乗車したらメーターがしっかり動き始めているか確認しましょう(大抵はドライバーが発車と同時にONにします)。
また、流しのタクシーを拾う際は屋根の表示ランプを確認し、緑の「TAXI」表示の車に乗るようにしてください。赤表示の車に手を挙げても止まってくれません。
追加料金に注意して予算管理:前述の通り時間帯や乗車場所によって追加料金が発生します。深夜帯はメーター料金の1.5倍になることや、空港・中心部からは数ドル上乗せされることを忘れずに。
特に降車時にメーター表示額が急に上がっても驚かないようにしましょう。「おかしいな?」と思っても大抵は正規の加算です。心配な場合は領収書をもらって内訳をチェックすれば安心です。
タクシー車内でのマナー
繰り返しになりますが、シンガポールのタクシーでは、全員シートベルト着用が法律で義務付けられています。短距離でも油断せず、乗ったら必ずシートベルトを締めましょう。安全運転で快適に移動するための基本的マナーです。
また、タクシーでもGrabでも車内での飲食は禁止と心得ましょう。特に匂いの強い食べ物や飲み物をこぼすリスクがあるものは絶対NGです。どうしても飲食が必要な場合は降車してからにしてください。
支払いは小額現金が安心
タクシーでは高額紙幣のお釣りがない場合があります。配車アプリのGrabなどでは、キャッシュレス決済が可能ですが、タクシー利用時のためにS$10~20程度の紙幣を何枚か用意しておきましょう。
また、クレジットカードは使える車両もありますが確実ではないため、基本は現金で払うつもりでいる方が安全です。
清算後にタクシーから降りる際はシートや座席ポケットに忘れ物がないかチェックしましょう。特にスマホや財布を置き忘れないよう注意です。
タクシーでは領収書をもらっておくと車両ナンバーが記載されているため、万一忘れ物に気付いた時にタクシー会社へ連絡しやすくなります。Grabの場合も、履歴からドライバーに連絡できます。
配車アプリGrab(グラブ)の使い方
シンガポールでは、スマートフォンで車を呼べる配車サービスも広く普及しています。その中でもGrab(グラブ)は最もメジャーなアプリで、現地在住者にとっても必需品と言われるほど利用率が高いサービスです。
Grabを使えば、現在地まで車が迎えに来てくれて目的地まで送ってくれるので、土地勘がなくても移動がスムーズになります。ここでは、Grabアプリの準備から乗車までの基本的な使い方を紹介します。
【Step.1】Grabアプリの準備(ダウンロード・登録)
日本にいるうちにスマホのアプリストア(App StoreやGoogle Play)で「Grab」を検索し、アプリをダウンロードしておきましょう。アプリは無料で、対応言語は英語ですが操作はシンプルです。
シンガポール到着後でもダウンロードできますが、通信環境を考えると渡航前にインストールしておくのがおすすめです。
【Step.2】アカウント登録
アプリを開いたらアカウント登録を行います。基本的には電話番号を使って認証・登録します(SMSで認証コードが届きます)。メールアドレスの登録や氏名の入力も必要です。表示言語は英語ですが、指示に従って進めれば難しくありません。
アカウント登録ができたら、Grabアプリ内で支払い方法を設定しましょう。おすすめはクレジットカードの登録です。カード情報を登録しておけば乗車料金はすべてアプリ内で自動決済されるので、降車時に現金の受け渡しが不要でとてもスムーズです。
デビットカードや一部のプリペイドカードも利用可能です。また、Grabは現金支払いにも対応していますが、初めての旅行ではお釣りや現地通貨の用意など手間が増えるため、カード払い設定を強くおすすめします。
【Step.3】Grabで車を呼ぶ方法
Grabアプリを起動し、トップ画面で「Transport」(交通)もしくは車のアイコンをタップします。これで車の配車予約が始められます。
次に、自分の乗車場所(Pick-up location)をアプリ上で指定します。通常はGPSにより現在地が自動入力されますが、ホテルやショッピングモールの場合はエントランスなど細かい位置を指定できます。候補一覧から選ぶか、地図上でピンを動かして正確な場所を選択しましょう。
続いて目的地(Drop-off location)を入力します。主要なホテル名や観光地名で検索可能です。候補から選択すると地図上にルートが表示され、概算の距離と所要時間が確認できます。
乗車地点と降車地点を入力すると、利用できる車のオプション一覧と料金の目安が画面に表示されます。ここで希望のサービスを選びます。一番スタンダードで安価なのは「JustGrab」です。
Grab(グラブ)以外の配車アプリ
Grab以外にも、シンガポールではGojek(ゴジェック)という配車アプリも人気が出てきています。インドネシア発のサービスで、Grabと似た機能を備えており、同じ距離でもGrabより安い料金が提示されることがあるので、現地では両方のアプリで料金を比較して安い方を使う人もいます。
プロモーション割引も豊富に行われているので、余裕があればチェックしてみても良いでしょう(ただし車種オプションが少なかったり、Grabより待ち時間が長い場合もあるようです)。
また、シンガポール最大手のタクシー会社ComfortDelGroが提供する公式のタクシー配車アプリ(CDG Zig)もあります。こちらは同社所属のタクシーのみを呼べる安心感がありますが、予約時にS$2.3〜S$18ほどの配車手数料(ブッキングフィー)がかかる点に留意してください。
短期旅行で手軽に利用する範囲では、まずはGrab一つインストールしておけば十分対応できます。
まとめ
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シンガポールのタクシーとGrabの利用ガイドでした。シンガポールのタクシーは日本に比べとても安く、そして気軽に利用できます。
公共交通機関では行きにくい場所や荷物が多い時、ちょっと疲れた時など、ぜひタクシーやGrabを上手に活用してみてください。便利な移動手段を味方につけて、シンガポール旅行を快適に満喫しましょう!