シンガポールは世界でもトップクラスに治安が良い国として知られています。経済平和研究所が発表する「世界平和度指数(Global Peace Index)2024」では163か国中5位(アジアでは1位)にランクインしており、その安全性の高さがデータでも証明されています。
また街中には多数の防犯カメラが設置され、警察のパトロールも頻繁に行われているため、主要な観光地や市街地では安心して過ごすことができます。実際、シンガポールの殺人事件発生率は人口10万人あたり0.12件と非常に低く、日本の0.23件よりも低い水準です。
法律違反に対する厳しい罰則も相まって、凶悪犯罪が起きにくい環境が保たれています。
目次
シンガポールの治安の良さについて
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外務省の海外安全ホームページにおいても、シンガポールの国内で危険レベルが設定されているエリアはどこにもありません。「治安が悪いから行ってはいけない」という地域がシンガポールにはありません。
実際、日没後でも女性が一人でタクシーやMRT(地下鉄)・バスに乗れるほど安全な国として知られており、初めての海外旅行先にシンガポールを選ぶ人も多いです。常識の範囲内で行動していれば危険な目に遭う可能性は極めて低く、普段通りの注意を心がけていれば安心して観光を楽しめるでしょう。
とはいえ、いくら治安の良いシンガポールでも海外であることに変わりはありません。日本とは環境や文化が異なるため、油断は禁物です。軽犯罪に巻き込まれないよう最新の治安情報を確認しつつ、基本的な防犯対策は怠らないようにしましょう。
それでも注意が必要な場所
犯罪発生率が低いシンガポールですが、それでも注意を払うべき場所や時間帯があります。観光客が多く集まるエリアではスリや詐欺などの軽犯罪が発生することがあり、特に混雑時や夜間は警戒が必要です。以下に、旅行中に気をつけたい代表的なエリアと注意ポイントを紹介します。
リトルインディア
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インド系文化の色濃いエスニックタウンで、美味しいインド料理やマーケットが楽しめる人気スポットです。しかし週末や祝日は地元住民や観光客で非常に混雑し、スリや置き引き被害が発生しやすくなります。
また夜になると雰囲気が一変し、人通りが少なくなるため注意が必要です。女性の一人歩きは危険とも言われるので、観光は日没までに済ませておくのが無難でしょう。
チャイナタウン
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中華系の寺院や赤い提灯が並ぶ独特の雰囲気で、飲食店や土産物屋が密集し日中から多くの観光客で賑わうエリアです。基本的には安全ですが、夜間は人混みに紛れてスリや置き引きが発生しやすくなります。
またバーやクラブが集まる一角では観光客相手の客引きや法外な料金請求(いわゆる「ぼったくり」)の報告もあるため注意が必要です。財布やスマホなど貴重品の管理を徹底し、必要以上の現金を持ち歩かないようにしましょう。
ゲイラン地区
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シンガポール東部に位置するエリアで、昼間は屋台村(ホーカーセンター)や歴史あるショップハウスが並びローカルな雰囲気を味わえます。一方、ゲイランはシンガポールで唯一の公認歓楽街でもあり、夜間は雰囲気が大きく変わるため要注意です。
特に女性の夜間の一人歩きは避けたほうがよく、夜に訪れる際はタクシーや配車アプリ(Grabなど)を利用するのが安全です。昼と夜で表情が異なる地域なので、夜遅くに興味本位で歩き回るのは控えましょう。
クラークキーなどの繁華街
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マリーナベイやクラークキー、ボートキーといった川沿いの繁華街は夜遅くまで観光客で賑わい、多くのバーやクラブが営業しています。基本的に人通りも多く安全ですが、観光客を狙った高額請求トラブルが一部で報告されています。
怪しげな客引きにはついて行かず、店に入る前に料金システムを確認するようにしましょう。また、お酒を飲むときは飲み過ぎに注意し、貴重品は肌身離さず管理してください。酔って気が緩んだ隙にスリ被害に遭う可能性もゼロではないので、繁華街でも基本的な警戒は怠らないようにしましょう。
シンガポールで被害に遭わないための注意点
最後に、旅行に不慣れな方でもシンガポールで安心して過ごすための安全対策を紹介します。貴重品の管理から現地ルールの把握、万一の連絡先まで、基本を押さえて安全な旅を楽しみましょう。
貴重品管理を徹底する
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海外旅行では日本以上に貴重品管理に気を配る必要があります。以下のポイントを参考にしてください。
持ち歩く現金や貴重品は最小限に
多額の現金やすべてのクレジットカードを持ち歩かないようにし、パスポートと現金を同じ場所(バッグやポケットなど)に入れないようにしましょう。万一バッグを盗まれても全てを失わないよう分散させておくことが大切です。
財布・スマホの保管場所に注意
財布やスマートフォンはズボンの後ろポケットやバッグの外側ポケットなど盗られやすい場所に入れないようにしましょう。リュックサックを利用する場合は、必要に応じて胸の前に抱えるなどして常に目の届く位置で管理します。
荷物から目を離さない
人混みや観光地、空港、ホテルのロビーなどでは荷物を置きっぱなしにしないでください。日本ではカフェで席取りのためにバッグだけ置いて離席するといった光景も見られますが、海外では厳禁です。テーブルの上にスマホを無造作に置いておく行為も避け、常に手元に持つよう意識しましょう。
周囲に警戒を怠らない
移動中や観光中も常に周囲の様子に目を配り、不審な人物が近づいてこないか注意します。見知らぬ人に気軽について行ったり、話しかけられてすぐ信用したりしないようにしましょう。
近年、警察官や政府職員を装って旅行者に声をかけ、クレジットカード情報や個人情報を聞き出そうとする詐欺も報告されています。公的機関の職員だと名乗られても、その場で個人情報を提供するのは避け、一度立ち止まって疑う姿勢も大事です。
現地の法律・マナーについて
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シンガポールでは安全で快適な社会を維持するため法律やルールが厳格に定められており、違反すると高額な罰金や厳しい処罰を受けることがあります。旅行初心者でも押さえておきたい代表的なルールは次のとおりです。
ポイ捨て・公共の場での喫煙禁止
シンガポールはゴミのポイ捨てや公共の場での喫煙が法律で禁止されており、違反すると高額な罰金が科せられます。喫煙は指定の喫煙所でのみ行い、ゴミは必ずゴミ箱へ捨てましょう。美しい街を清潔に保つための重要なマナーです。
シンガポールでポイ捨てした場合の罰金は、初回2,000Sドル(約22万円)、2回目4,000Sドル(約44万円)、3回目以降は10,000Sドル(約110万円)の罰金となります。
チューインガムの持ち込み禁止
日本ではお馴染みのガムですが、シンガポールではチューインガムの持ち込みや販売自体が法律で禁止されています。うっかりカバンにガムを入れたまま入国しないよう注意してください(医療目的のガムを除き持ち込み不可)。
もし持ち込んだ場合、違反すると最大10,000Sドル(約110万円)もの罰金が課せられてしまう可能性もあるため、十分に注意しましょう。
公共交通機関内での飲食禁止
MRT(地下鉄)やバス車内での飲食も禁止です。こちらも発見されると最大500シンガポールドルの罰金(約4万円)が科される場合があります。暑いからといって電車内で水を飲むことも禁止されていますので、駅構内や車内では飲食を控えましょう。
上記のような現地ルールを事前に把握し、現地では必ず順守することが大切です。シンガポールの法律・マナーを守ることで、自分自身が罰金などのトラブルに遭わないだけでなく、周囲の人々にも不快な思いをさせずに済みます。安全で楽しい旅のために、「知らなかった」では済まされないルールにも目を通しておきましょう。
タクシー・移動手段利用時の注意
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シンガポールでは Grab(グラブ) や Gojek(ゴジェック) といった配車アプリが広く使われています。日本でGrabといった配車アプリは利用できませんが、シンガポールでは利用可能です。
初めてでもアプリを使えば事前に料金目安が表示され、支払いもキャッシュレスでできるため安心です。深夜や郊外でタクシーが捕まらない場合もアプリなら手配しやすく便利です。料金のぼったくり防止にもなるので積極的に活用しましょう。
また、シンガポールのタクシーは基本的には流しの車でもメーター制で安心ですが、観光地や空港周辺では非公式の白タクや客引きタクシーに注意しましょう。必ずタクシースタンドに並ぶか、ホテルで呼んでもらったタクシーに乗車してください。
早朝・深夜は不必要に出歩かない
シンガポールは夜間でも比較的治安が良いですが、深夜に人気の少ない場所を一人で歩くのは避けましょう。
特に女性の一人歩きはどんな国でも危険を伴う可能性があるため、遅い時間はタクシーを利用する、繁華街でも裏道に入らないなど心がけてください。万一強盗に遭遇しそうになった場合は決して抵抗せず、身の安全を優先して下さい。
また、クラークキーなどのナイトスポットで夜遅くまで遊ぶ場合、お酒は飲み過ぎず正しい判断力を保ちましょう。見知らぬ人に突然誘われてもついて行かない、知らない人から飲み物を勧められても安易に受け取らないことも大切です。
深夜までクラブにいた場合は、友人と一緒に帰るか、安全が確保できる交通手段を使いましょう。
緊急時の連絡先情報
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万が一トラブルや事件・事故に巻き込まれた場合に備えて、緊急連絡先を把握しておきましょう。シンガポール滞在中に困ったときに連絡すべき主な窓口は以下のとおりです。
シンガポール国内での緊急連絡先
犯罪被害やトラブルに遭遇したらすぐに警察へ連絡しましょう。警察の電話番号は、☎ 999です。海外となるため英語での状況説明が必要です(ホテルや周囲の人に助けを求めてもOKです)。
怪我や急病、火事の際は、救急車・消防:☎ 995 です。ただし緊急性が低い場合、オペレーター判断で救急相談(非緊急)番号の1777にかけ直すよう指示されることもあります。
その場合はタクシーや配車アプリで病院に向かうほうが早いケースもあります。
在シンガポール日本国大使館
パスポートの紛失や重大な事件・事故に巻き込まれた際は日本大使館に連絡し指示を仰ぎます。
大使館の所在地は 16 Nassim Road, Singapore で、受付時間は平日8:30-12:00および13:30-16:00です。営業時間外でも緊急電話は繋がる場合がありますので、深刻な状況では遠慮せず電話しましょう。
在シンガポール日本国大使館:☎ (+65) 6235-8855。
このほか、海外旅行保険に加入している場合は保険会社の緊急連絡先もスマートフォンに登録しておくと安心です。病気やケガ、荷物の盗難などの際、保険会社に連絡すれば日本語でのサポートやキャッシュレス治療の案内が受けられることもあります。
まとめ
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シンガポールは治安の良い国ですが、万一に備えて上記連絡先をメモして携帯しておくと心強いでしょう。
旅行前には外務省の海外安全ホームページで最新の安全情報を確認し、たびレジ(渡航先情報提供サービス)に登録しておくと緊急情報を受け取れるのでおすすめです。準備を万全にして、安心・安全なシンガポール旅行を楽しんでください。