旅行の準備中に、「ヘアスプレーやボディ消臭スプレーなどのスプレー缶は、飛行機に持ち込んでも大丈夫?」と疑問を抱いたことはありませんか?
スプレー缶はガスを圧縮して封入しているため、航空機では安全の観点からさまざまな制限がかけられています。国内線と国際線ではルールが違う場合も多いので、出発前に必ず確認しておくことが大切です。
本記事では、飛行機に持ち込みする際の注意点から、持ち込み・預け入れが禁止されるスプレーの種類までを詳しく解説していきます。
目次
スプレー缶の持ち込みは原則NGだが例外あり
スプレー缶は圧力容器に可燃性ガスや不燃性ガスを閉じ込めているため、航空機にとってリスクが大きい製品とみなされます。したがって、原則として機内に持ち込むことも、手荷物として預け入れることもNGです。
しかし、利用者の生活必需品にあたる製品には、いくつか例外が設けられています。国内線・国際線ともに「化粧品や医療用品」に分類されるものは、容量やガスの種類によっては持ち込みできる可能性があります。
スプレー缶の持ち込み可否について調べないままだと、空港でスーツケースに荷物を入れなければならなくなったり、飛行機への持ち込み一切不可のスプレー缶であれば、その場で没収となってしまいます。
旅行に持っていきたいスプレー缶が飛行機へ持ち込みできるかどうかについては、荷造りの時点で調べておきましょう。
国内線と国際線ではルールが違う?
スプレー缶の飛行機持ち込みに関するルールは、国内線と国際線で微妙に異なる点があります。
といっても、まったく別物というわけではなく、基本的には同じように扱われています。スプレー缶は「液体物」として扱われるため、液体持ち込みのルールも適用される点が国内線と違う点です。
スプレー缶を「液体物」として扱うというのは2006年に発生したロンドン旅客機爆破テロ未遂事件を受けて制定されました。スプレー缶だけでなく、ジェル状やペースト状の物品などもまとめて「液体」とみなし、厳重にチェックされるようになっています。
スプレー缶は4種類に分類できる
スプレー缶には以下4種類があり、これは各航空会社でも大枠は共通しています。
この4カテゴリーに当てはまらないスプレー缶は、原則として飛行機に乗せることができません(持ち込み・預け入れともにNG)。
・化粧品スプレー:ヘアスプレー、制汗スプレー
・医療品スプレー:殺菌・消毒スプレー
・スポーツスプレー:冷却スプレー
・日用品スプレー
飛行機への持ち込み可能or不可を解説
機内持ち込み・預け入れ可能なスプレー缶
国内線・国際線ともに、スプレー缶のうち化粧品類や医薬品(医薬部外品を含む)、スポーツ用品・日用品スプレーにあたるものは、基本的に持ち込みや預け入れが許可されています。
例えば、化粧品のスプレーとは、ヘアスプレー、制汗スプレーなどを指し、医薬品のスプレーとは、殺菌・消毒スプレー、冷却スプレーなどです。
また、キャップなしで噴射口がむき出しの状態だと、予期せぬ作動が起こりうるため、「安全性を確保するためのキャップ保護」が必須となります。
・ヘアスプレー
・制汗スプレー
・洗顔フォーム
・育毛剤スプレー
・鎮痛・消炎スプレー
・UVカットスプレー(日焼け止め)
・シェービングフォーム
・フレグランス
・シワ取りスプレー
・除菌スプレー
・消臭スプレー
・虫除けスプレー
預け入れのみ可能なスプレー缶
次に、日常的に使うスプレーで、「高温に注意」と書かれており、かつ不燃性のガス(CO2や窒素など)を充填している製品は、預け入れ専用となる場合が多いです。
預け入れのみ可能なスプレー缶としては、靴や衣類の防水スプレー、スポーツ時に使う冷却スプレー、ホイップクリームのスプレー缶などが例に挙げられます。
原則として搭乗者の手元(機内)には置けないため、受託荷物にきちんと封をして入れましょう。このときも一本あたり0.5kg(0.5リットル)以下、合計2kg(2リットル)以下という数量制限が生じる点には注意してください。
・靴や衣類の防水スプレー
・カーペットクリーナー
・ガラスクリーナー
・スプレーのり
・塗料スプレー
機内持ち込み・預け入れできないスプレー缶
国内線・国際線ともに、ガスや溶剤が引火性・毒性をもつスプレー缶は、機内持ち込み・預け入れのいずれも禁止されます。
カセットコンロ用のボンベやエアダスターの一部製品などが典型例です。こういったものは火災や爆発のリスクが高いので、そもそも飛行機への搭載自体が認められていません。
防錆潤滑油スプレー、ラッカースプレー、殺虫剤の一部なども該当します。化粧品・医療品類以外のスプレー缶のうち「火気と高温に注意」などの表示があれば、航空機による輸送はできません。
・潤滑油スプレー
・塗料スプレー
・防塵用のスプレー
・スポーツ道具のメンテナンススプレー
・スキー、スノーボード用WAXスプレー
・ラッカースプレー
・殺虫スプレー
スプレー缶持ち込み時の注意点
「機内に持ち込める」「預け荷物ならOK」とされる場合でも、スプレー缶の噴射弁を保護するキャップがあることが条件となります。
キャップがない場合、バッグやスーツケースの中で他の荷物に押されて、意図せずスプレーのボタンが押され、漏れたり噴霧してしまう可能性があるためです。
市販のスプレー缶には、ほとんどの場合キャップが付属していますが、もしキャップをなくしてしまったなら、別途保護用のカバーを用意するか、諦めるしかありません。
検査場でキャップなしと判断されれば没収対象になってしまうので、事前にチェックしておきましょう。
国際線では保安検査の「前」と「後」でルールが変わる
国際線では、機内に持ち込む液体物に対して非常に厳格な制限があります。スプレー缶も中身は「液体」扱いとなるため、保安検査を通過する際に以下のルールが適用されます。
・1容器あたり100ml(100g)以下であること
・すべて1リットル以下のジッパー付き透明袋に入れること
・透明袋は一人1つのみ使用可能
保安検査を通過してから到達する搭乗待合エリアは、いわゆる「クリーンエリア」と呼ばれます。
ここで購入した飲料や化粧品などは安全性が確認されているとみなされるため、100mLを超える容量でも機内に持ち込むことが可能です。同様にスプレー缶も、大きめのサイズのものでも販売されていれば、そのまま持ち込みできます。
ただし、海外で乗り継ぎをする場合、乗り継ぎ先の空港で再度保安検査を受けるケースが多く、その際も「100mL以下」「透明袋に収納」というルールが適用されます。
飛行機に持ち込み可能なスプレー缶の容量
【国内線】機内持ち込みは500ミリリットル以内
国内線で飛行機への持ち込みが認められているスプレー缶の容量は、1個ごとの容器が0.5kg(または0.5リットル)以下、かつ利用者1人につき合計2kg(2リットル)以下までです。
この上限は機内持ち込みと受託手荷物の両方に共通するので、合計量を超えないようにしましょう。
・1個ごとの容器が0.5kg(または0.5リットル)以下
・利用者1人につき合計2kg(2リットル)以下まで
【国際線】スプレーは「液体」ルールが適用
国際線では、スプレー缶は液体物として扱われます。そのため、液体持ち込みのルールが適用される点に注意が必要です。
液体物を機内に持ち込む場合は、容器1つあたり100ml以下が原則です。これはスプレー缶であっても同様で、100mlを超えると機内持ち込み不可となるため、預け入れ手荷物に回すか、旅行先で購入するなどの対処が必要になります。
もう一つの大きなルールが、「1リットル以下の透明プラスチック袋にまとめて入れる」という点です。口がジッパーなどでしっかり閉じられる袋で、縦横20cm程度が目安となります。
この袋に入れられる液体物(スプレー、ジェル、クリームなど)全体の合計容量が1リットルを超えない範囲であれば、機内に持ち込むことが可能です。ただし、1人1袋までという制限も覚えておいてください。
・容器ごと100ml(g)以下であること
・すべて1リットル以下のジッパー付き透明袋に入れること
・透明袋は一人1つのみ
預け入れ荷物の場合の持ち込みルール
預け入れ荷物に関しては、国内線も国際線も同じ基準が適用されます。
化粧品や医薬品、日用品、スポーツ用品のスプレー缶はいずれも「1容器当たり 0.5kgまたは0.5リットル以下」であることが条件です。そのうえで、複数本を持って行く場合は、合計が合計2kgまたは2リットルまでです。
なお、この2kgはスプレー缶だけでなく、化粧水や乳液、ヘアケア製品などの液体物すべてを含めた合計量です。パッキングの際に、各アイテムの内容量をよく確認し、数量制限内に収まるように調整しましょう。
・1個ごとの容器が0.5kg(または0.5リットル)以下
・利用者1人につき合計2kg(2リットル)以下まで
スプレー缶はバレる?昨今の検査事情とは
ここまでスプレー缶に関する国内線・国際線のルールを説明してきましたが、実際のところ気になるのは、国際線にて、スプレー缶などの液体物を透明のプラスチック袋に入れずに、機内持ち込みしようとするとどうなるかではないでしょうか。
いきなり別室送りにはなりませんが、保管検査で発見されて、没収される可能性があるほか、説明などで時間をロスする可能性もあります。
特に海外では、言語の壁もあり事態がややこしくなる場合もあるため、スプレー缶などの液体物を機内持ち込みする場合は、ルール通り小分けして持ち込むようにしましょう。