ロストバゲージとは、空港で預けた荷物が目的地で受け取れずに行方不明になることを言います。

確率は低いですが、行きの飛行機でロストバゲージに遭うと大切な荷物を失ってしまうだけではなく、その後の旅にも大きな影響が出てしまいます。

運次第とも言われるロストバゲージですが、対策を事前に行っておくことで、可能な限りその可能性を減らすことはできます。

本記事では、ロストバゲージが起こる原因やロストバゲージに遭わないための対策、万が一ロストバゲージに遭ってしまった場合の対応策などについて詳しく解説していきます。

 

ロストバゲージとは

ロストバゲージとは、空港で預けた荷物が目的地で受け取れずに行方不明になることです。

飛行機を伴う旅行、特に海外旅行では、数日から数週間程度の旅行に出る場合も少なくなく、スーツケースなどの荷物を手荷物カウンターで預けるのが一般的です。

通常であれば、これらの荷物は乗客と同じ便で運ばれて、目的地の手荷物受取所のベルトコンベヤーに流れるスーツケースの中からご自身のものを受け取り空港をあとにするだけです。

しかし、ご自身の荷物がロストバゲージに遭うと、到着地の手荷物受取所で自分の荷物を見つけることができません。このような状況に遭遇した場合、速やかに空港スタッフか航空会社に連絡を取りましょう。

航空会社はロストバゲージに対して損害賠償の責任を負いますが、荷物の到着が遅れただけの「ディレイドバゲージ」とは区別されます。ディレイドバゲージの場合、遅れて受け取れる可能性があります。

 

ロストバゲージが発生する確率とは

ロストバゲージは、搭乗時に荷物をチェックインカウンターで預けたり、乗り継ぎがあったりする海外旅行で起こりやすいトラブルです。

では、ロストバゲージに遭う確率とはどれくらいなのでしょうか。

ロストバゲージが発生する確率

国際航空情報通信機構(SITA)が発表した「Baggage IT Insights 2023」レポートによると、2022年に紛失や遅延などにより正しく届かなかった手荷物の総数は世界で約2,600万個に上りました。

約2,600万個という数字は非常に大きいですが、これは乗客1,000人あたり7.6個の割合となるため、ロストバゲージの発生確率としては0.76%となります。

手荷物管理のIT化により10年以上にわたりロストバゲージとなる手荷物の数は減少していましたが、旅行需要の急回復で、2022年にはグローバルでの発生率が急増しており、2021年と比べて74.7%の増加となっています。

 

ロストバゲージの荷物は見つかる?

ロストバゲージは、荷物の積み込みが遅れたり、タグの発行ミス、乗り継ぎ時の積み込みミスなど人為的なミスで発生する場合が多いトラブルとなるため、時間が解決する場合があります。

ただし、荷物が見つかるまでには一定の時間を要します。多くの場合、ロストバゲージの解決には最低でも1~3日程度かかることが一般的です。

この期間、特に海外旅行中の場合、必要な荷物なしがいきないない状態で数日程度、過ごさなければならない状況となるため、旅行者にとっては大きなストレスになります。

紛失当日に見つかる確率は低いため、最低限必要なものは現地調達でしのぐしかありません。なお、航空会社によっては、ロストバゲージの申告でトラベルキットをもらえる場合があります。

 

ロストバゲージが発生する原因

最も一般的なロストバゲージの原因は、荷物に付けられる行先が書かれたタグに関連するトラブルです。

行先や搭乗便情報が記載されたタグが間違って付けられたり、途中で外れたりすると、ロストバゲージになる可能性があります。近年、自動手荷物預け機も増えているため、旅行者自身も細心の注意を払う必要があります。

また、乗り継ぎ時の荷物の積み込み遅延、乗り継ぎ時に積み込みのミスなどの人為的なミスでロストバゲージが発生することもあります。

場合によっては、目的地の空港には問題なく到着していたものの、手荷物受取所にて別の乗客が荷物を取り違えて持って行ってしまうこともあります。

タグの発行ミス

空港でのチェックインカウンターで荷物を預ける際に、スーツケースなどの荷物には行先などが記載されたタグが付けられます。

このタグは荷物の仕分けに不可欠ですが、時としてミスが発生することがあります。例えば、タグの行先情報が間違って記載されると、荷物が全く別の便に積み込まれてしまう可能性があります。

また、荷物がベルトコンベヤーで運ばれる際には、タグが荷物から外れてしまう場合もあります。タグが外れると、荷物の行先を特定することが困難になり、結果としてロストバゲージにつながります。

 

ディレイドバゲージ

ディレイドバゲージとは、荷物の積み込み遅延のことを言います。これは、ロストバゲージの一因ですが、多くの場合は「ディレイドバゲージ」として扱われます。

ディレイドバゲージの場合は、目的地到着から数日後に荷物が遅れて届く場合が多いものの、最終的には持ち主のもとに戻る可能性があります。

完全に荷物を紛失したわけではないため、ロストバゲージとは区別して扱われます。

 

乗り継ぎ時の積み込みミス

飛行機の乗り継ぎ時には、荷物を降ろして乗り継ぎ先の飛行機に再度積み込む必要がありますが、その際に、積み込みミスが発生したり、荷物の積み込みだけが間に合わない場合があります。

また、飛行機の遅延などにより、乗り継ぎ時間の余裕がなくなると、乗客はなんとか乗り継ぎができたとしても荷物だけ積み込みできず、ロストバゲージとなってしまう場合もあります。

 

乗客が誤って持って行ってしまう

手荷物は、目的地の空港には問題なく到着していたものの、手荷物受取所にて別の乗客が取り違えて持って行ってしまう場合もあります。

このミスは、故意に持っていく場合もありますが、自分のものだと勘違いして取り違えてしまう場合もあります。

黒や白などの単色のスーツケースのような目立たないものだと似ていて取り違えられる場合もあるため、ネームタグや目印となるものをつけるだけでも効果を発揮します。

 

ロストバゲージに遭わないための対策

AirTag(エアタグ)を付ける

AirTag(エアタグ)とは、Appleの紛失防止タグです。500円玉ほどのサイズで、持ち物の現在位置や最後に確認された場所を簡単にスマホで表示できるデバイスです。

AirTag(エアタグ)は、Appleの紛失防止タグですが、カード型や正方形タイプのものなどさまざまなスマートトラッカーが販売されており、これらをスーツケースに入れておけば、位置情報を簡単に特定できます。

万が一、ロストバゲージに遭った場合でも、スーツケースの位置がどこにあるのか、スマホでリアルタイムに確認できるので、安心材料の一つになると言えるでしょう。

 

荷物にネームタグをつける

空港で預けるスーツケースといった荷物には、必ず連絡先入りのネームタグを付けましょう。

航空会社が無料で配布するタグは壊れやすいため、耐久性のある市販のネームタグの使用がおすすめです。

また、ネームタグは単なる持ち主の識別だけでなく、他の旅行者の荷物と区別するための目印としても機能します。これにより、ベルトコンベアでの取り違えリスクを減らすことができるのです。

また、ネームタグには渡航先でも連絡可能な電話番号を記入しておきましょう。電話番号ではなくても、メールアドレスやWhatsAppといったメッセージングアプリのIDを記載するのも手です。

 

過去のタグは外す

過去の旅行で使用したタグがスーツケースについていると、人為的ミスを誘発してしまう危険性があります。

特に最新の空港では、スーツケースといった手荷物を自動手荷物預け機で乗客ご自身が行う場合も増えています。旅行の際には、必ず過去のタグが付いていないかを確認し、古いタグは必ず全て取り除くようにしましょう。

このような対応を行うことで、ロストバゲージの可能性を防ぐことができます。

 

高価なものは入れない

ロストバゲージに遭う確率は低いものの、いつ遭ってしまうかはわかりません。

ANAやJALなどでは、国内線では国内旅客運送約款、国際線では国際旅客運送約款で荷物の紛失の破損や紛失の賠償額について規定しています。

賠償金額は、国内線では1人あたり総額150,000円まで、国際線では、1人あたり約19万円(1,288SDR)※までとなっており、万が一高価なものを運ぶ場合は、「従価料金」という制度を利用することで賠償額を引き上げることができます。

賠償制度はあるといっても手続きには上限があるため、必要ないのであれば、預け入れするスーツケースには、ブランドバッグやパソコンなど極力高価なものは入れないようにしましょう。

※モントリオール条約の場合

 

荷物の写真を撮っておく

旅行時のロストバゲージ対策として、スーツケースなど荷物の写真を撮っておくことも効果的です。

紛失した場合は、空港カウンターや航空会社係員にロストバゲージが行ったことを申告する必要がありますが、その際に、スーツケースのブランドや色、形状などを伝える必要があります。

海外の空港ですと英語や現地の言語で荷物の特徴を伝えなければならなくなるため、そういったときにスーツケースの写真を見せることで、紛失時の対応をスムーズにすることができます。

写真は、スーツケースの外見だけでなく、中身も含めて撮影することで、より詳細な情報を提供できます。

 

ロストバゲージが発生した場合の対処方法

航空会社・空港スタッフに連絡

預けたはずの荷物が出てこなかった場合は、まず「Baggage Claim」と記載された専用カウンターを探して、ロストバゲージに遭ったことを報告しましょう。

報告の際には、搭乗券と荷物を預けるときに受け取った引換証(クレームタグ)が必須となります。これらは荷物の追跡の際の情報源となるため、フライト中は紛失しないよう細心の注意を払いましょう。

専用カウンターが見つからない場合は、近くの空港係員に声をかけ、適切な窓口へ案内してもらいましょう。

 

紛失証明書を提出する

空港カウンターでは、手荷物紛失証明書などの申請書を作成して提出します。

手荷物事故報告書には、氏名や滞在先の住所、到着空港、出発空港、搭乗便名やクレームタグナンバー、紛失した荷物の特徴(色やブランド名)などを英語で記入します。

海外旅行傷害保険の補償を請求する際に、申請書の控えが必要になることがあるため、提出する際には控えを受け取るのを忘れないようにしましょう。

航空会社によっては、ロストバゲージ専用の申請フォームから、必要事項を入力することでも申請できる場合があります。

 

生活必需品を購入する

ロストバゲージに遭ってしまった場合は、数時間後に荷物が届けられるといったことはあまりなく、一般的には5日以内には見つかることが多いと言われています。そのため、まずは、生活必需品を購入しましょう。

多くの海外旅行保険では、ロストバゲージにより生活必需品を購入しなければならなくなった場合、その購入費用を補償対象としています。また、クレジットカードに付帯する航空機遅延保険でもカバーできる場合があります。

補償を受けるためには、購入した商品の領収書を必ず保管しておきましょう。これらの証拠書類は、後日の保険請求時に必要になります。また、購入前に保険会社に連絡し、補償範囲や限度額を確認するのもおすすめです。

 

荷物を受け取る

滞在中に、荷物が見つかった場合は、紛失証明書に記載したときの住所に配送されることになります。

荷物は、翌日の便や翌々日の便で近くの空港に届けられて、税関チェック後に滞在先の住所に送られます。5日程度はかかる場合もあるため、注意しておきましょう。

捜索の結果、荷物が無事見つかれば、航空会社の補償を受けられるのは、荷物が届くまでに購入した生活必需品の購入金額についてです。詳細は航空会社や保険会社に確認しましょう。

ロストバゲージが発覚してから1か月程度しても見つからない場合は、航空会社に賠償を請求する流れになります。

 

ロストバゲージ対策は万全に

ロストバゲージに遭遇する可能性は高くはありませんが、もし遭ってしまえば、せっかくの海外旅行が台無しになってしまうリスクがあると言っても過言ではありません。

しかし、ロストバゲージに遭わないための適切な対策を行っておくことで、このリスクを可能な限り減らすことはできます。また、万が一の事態にあっても冷静に対応できるでしょう。

また、最新の技術でもあるスマートトラッカーをスーツケースに仕込んでおくのもとても有効です。荷物がなくなってもおおよその位置がわかるので、大きな安心感に繋がると言えるでしょう。

 



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