新幹線の乗り方は、在来線とは少し違うため、戸惑ってしまうもの。利用頻度が多くなければ、乗り方がわからなくなってしまう方も多いのではないでしょうか。
本記事では、初心者向けに新幹線のチケットの購入方法や乗り方から、応用編としてSuicaやスマートEXなどチケットレスで新幹線に乗る方法までを詳しく解説していきます。
新幹線の切符には2つの種類
新幹線に乗車する際は、「乗車券」と「特急券」の2種類の切符が必要になります。
乗車券は通常の在来線を利用する時と同じもので、出発駅から最終目的地まで乗るときに必要です。一方、特急券は新幹線や特急に乗車するために必要な切符で、新幹線や特急の乗車区間のみで必要になります。
通常、乗車券と特急券はそれぞれ1枚ずつ発行されるため、新幹線に乗る際には、乗車券と特急券を2枚重ねて改札を通す必要があります。なお、場合によっては、乗車券と特急券が1枚になっているものもあります。
特急券では自由席と指定席を選べる
特急券には「指定席」と「自由席」の2種類があり、乗客のニーズに応じて選択できます。
指定席特急券では、乗車する新幹線の時間と座席を事前に指定できます(=確実に座れます)。一方、自由席特急券は時間や座席の指定ができませんが、指定席特急券と比べると価格が比較的安いのが特徴です。
通常、列車ごとに「指定席」と「自由席」の両方がありますが、例えば、GW・お盆・年末年始期間中、東海道・山陽新幹線「のぞみ号」の自由席はなくなり、全席指定席となっています。
年末年始の繁忙期については、自由席をとりやめ全席指定席とする動きが増えているため、自由席をご希望の方は、ご注意ください。
新幹線の切符の買い方
新幹線の切符は、複数の方法で購入できます。主な購入場所には、駅の「みどりの窓口」、自動発券機、「えきねっと」などのインターネットサービス、そして旅行代理店があります。
初めて新幹線を利用する方には、直接相談しながら購入できる「みどりの窓口」がおすすめです。切符購入時には、乗車日時、乗車区間、利用人数、指定席か自由席かを伝える必要があるため、事前に決めておくとスムーズに購入手続きを進められます。
「みどりの窓口」は実際に駅に行かなければいけないため、インターネットでの予約も便利です。インターネット予約の場合には、チケットレスでお持ちのスマートフォンだけで新幹線に乗ることもできます。
🔶 みどりの窓口
🔶 自動発券機
🔶 インターネット予約
🔶 旅行代理店
ネットできっぷを購入する場合
![](https://airstair.jp/wp-content/uploads/2024/07/ekinet.png)
えきねっとより
ネットでの購入は便利ですが、エリアごとに予約サイトが異なるため、乗車予定の新幹線あわせて予約サイトを使い分ける必要があります。新幹線のネット予約で特に便利なのが、チケットレスサービスです。
チケットレスサービスでは、事前登録をしておけば、紙の切符の受け取りなく、モバイルSuicaを自動改札機にタッチするだけで新幹線に乗車できます。発券時間を気にせず利用できるため、便利です。
サービス名 | 管轄エリア・路線 | 特徴 |
---|---|---|
えきねっと (新幹線eチケット) | JR東日本・JR北海道管轄の新幹線 (東北・北海道・上越・北陸など) | • 会員登録無料 • スマホやPCから予約可能 • 交通系ICカードで乗車可能 • 割引やポイントサービスあり |
エクスプレス予約 (EX予約) | JR東海・JR西日本管轄 (東海道・山陽新幹線) | • 年会費1,100円(税込) • 会員限定で運賃・料金が常に割引 • EX-ICカードでチケットレス乗車可能 • 頻繁利用者向け |
スマートEX | JR東海・JR西日本管轄 (東海道・山陽新幹線) | • 年会費無料(クレジットカード登録必要) • 交通系ICカードで乗車可能 • 予約変更手数料が無料 • 18歳以上が利用可能 |
e5689 | JR西日本・JR四国管轄 (山陽新幹線の一部と在来線特急) | • 会員登録無料 • JR西日本エリアの予約可能 • 指定席券売機で切符受取 • 山陽新幹線はスマートEX推奨 |
JR九州インターネット列車予約 | JR九州管轄 (九州新幹線 等) | • 会員登録無料 • 九州新幹線・在来線特急の予約可能 • JR九州管内の券売機で切符受取 • 西九州新幹線も対応 |
予約サイトできっぷを購入する場合
![](https://airstair.jp/wp-content/uploads/2024/07/akaifusen.jpg)
赤い風船 – 日本旅行
旅行予約サイトや旅行代理店では、宿泊と鉄道を自由に組み合わせてオリジナルなツアーを作れるダイナミックパッケージやパッケージツアーを販売しています。
楽天トラベルでは、JR新幹線・特急と宿泊施設を組み合わせて予約できる「JR楽パック赤い風船」を提供。じゃらんでも「赤い風船JRじゃらんパック」にて新幹線・特急と宿泊をセットで予約できます。
楽天トラベルやじゃらんでは独自のキャンペーンを定期的実施しているため、これらのキャンペーン開催期間中に、旅行サイト経由で新幹線+宿泊セットの予約を行うとよりお得になります。
みどりの窓口できっぷを購入する場合
初めて新幹線に乗る方や切符の買い方に不安がある方には、駅の「みどりの窓口」(JRの有人切符売り場)で購入する方法がおすすめです。窓口では駅員さんに必要事項を伝えるだけで、希望に合った新幹線の切符を発券してもらえます。
「〇月〇日〇時発の○○行き指定席〇枚」といった具体的な言い方ができなくても大丈夫です。窓口で相談しながら買える安心感があるので、初心者の方には最も確実な方法でしょう。
ただし、大きな駅(例:東京駅、品川駅、新大阪駅など)では窓口が混雑して長い列になることもあります。時間に余裕がない場合は、券売機の利用も検討しましょう。
みどりの窓口のある駅(JR東日本)
・乗車日時(何月何日の何時頃に乗りたいか)
・乗車区間(どの駅からどの駅まで乗るか)
・利用人数
・席種(自由席か指定席か)および席の種類(普通車かグリーン車か)
・指定席の場合は希望の座席位置(例:「窓側希望」など)
・列車名(例:「のぞみ○号」「はやぶさ○号」など)
・片道か往復か(往復なら割引あり)
自動券売機できっぷを購入する場合
主要なJRの駅には、新幹線の切符を購入できる指定席券売機(タッチパネル式の自動券売機)があります。
こちらを使えば、申込用紙に記入したり窓口で口頭で伝えたりせずに、自分で画面を操作して在来線の切符を買う感覚で新幹線の切符を購入できます。指定席券売機という名称ですが、自由席特急券も購入可能で、操作に沿って進めれば乗車券と特急券をまとめて買うことができます。
券売機で購入する際も、基本的に窓口購入時と同じ情報(乗車日・区間・人数・列車名・自由席/指定席の別・座席位置の希望など)を入力します。
画面の案内に従えば難しくありませんが、後ろに人が並んでいると焦ってしまうこともあります。事前にどの列車に乗るか・座席はどこが良いかイメージしておくとスムーズです。
指定席券売機のある駅(JR東日本)
新幹線にチケットレスで乗る方法
えきねっとでは、全国の新幹線や特急列車の予約がインターネットでできますが、チケットレスサービスに対応しているのは、東北・北海道・秋田・山形・上越・北陸新幹線です。
また、東海道・山陽・九州新幹線でチケットレスサービスを利用する場合、スマートEXまたはEX予約でお手続きください。九州・西九州新幹線では、JR九州インターネット列車予約でも予約できます。
チケットレス対応の予約サイト
路線名 | 予約サイト(チケットレス対応) |
北海道新幹線 | えきねっと |
東北新幹線 | えきねっと |
秋田新幹線 | えきねっと |
山形新幹線 | えきねっと |
上越新幹線 | えきねっと |
東海道新幹線 | スマートEX EX予約 e5689 |
北陸新幹線 | えきねっと e5689 |
山陽新幹線 | スマートEX EX予約 e5689 |
九州新幹線 | JR九州 スマートEX EX予約 e5689 |
西九州新幹線 | JR九州 e5689 |
自由席を気軽に乗れる「タッチでGo!新幹線」
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タッチでGo!新幹線より
タッチでGo!新幹線は、お持ちのSuicaでJR東日本の新幹線(自由席)に乗車できるサービスです。事前予約も不要で、Suicaを改札にピピっとするだけで気軽に乗れるサービスです。
Suicaをはじめとした10種類の交通系ICカードで利用でき、JREポイントも貯まります。初回利用時のみモバイルSuicaアプリや自動券売機等での利用開始登録が必要です。
利用可能区間
・東北新幹線 東京~盛岡間、盛岡~新青森間
・秋田新幹線 盛岡~秋田間
・山形新幹線 福島~新庄間
・上越新幹線 東京~新潟間、東京~ガーラ湯沢間
・北陸新幹線 東京~上越妙高間
新幹線eチケットサービス
![](https://airstair.jp/wp-content/uploads/2024/07/shinkansen-eservice.png)
新幹線eチケットサービスより
新幹線eチケットサービスとは、きっぷを受取ることなく、新幹線eチケットに紐づけた交通系ICカード・モバイルSuicaなどを自動改札機にタッチするだけで、新幹線に乗車できるサービスです。
本サービスでは単に便利になるだけではなく、指定席が一律200円オフになるだけではなく、特急券が最大30%割引になる「えきねっとトクだ値」などでよりお得に新幹線を利用できます。
まずえきねっとで無料会員登録を済ませたあとに、新幹線eチケットの申込を行ってください。申込完了後、乗車人数分のICカードを紐づけることで、いつものSuicaで改札を通過できるようになります。
モバイルSuicaのICコード確認方法
新幹線にチケットレスで乗車する場合は、ご希望の新幹線をJRのネット予約サービスで予約確定後に、乗車人数分のICカードを紐づける手続きを行ってください。
紐づけの際には、乗車する方一人ひとりのICカード番号が必要になります。SuicaやPASMOなどの場合、番号は裏面右下に記載があります。モバイルSuicaの場合は、以下の手順にて確認してください。
![](https://airstair.jp/wp-content/uploads/2024/07/suica-flow.png)
えきねっと「ICカードと座席の紐づけについて」
新幹線の乗り方(改札の通り方や乗車の流れ)
![](https://airstair.jp/wp-content/uploads/2024/07/shutterstock_758251399.jpg)
【Step.1】新幹線のりばを探す
在来線の駅から新幹線に乗る場合、まず在来線の改札を出て(乗継の場合は専用通路を通って)新幹線乗り換え口へ向かいます。
在来線と新幹線では改札口が異なるので、「新幹線」と書かれた案内表示に従って新幹線改札を探してください。新幹線駅構内から乗る場合は最初から新幹線入口に行きます。
東京駅や新大阪駅のような大きな駅では新幹線改札が複数ありますので、自分の乗る列車が発車する方面に近い改札から入るとホームまでスムーズです。初めてで勝手がわからないうちは少し早めに駅に到着しておくと安心でしょう。
新幹線の駅は広く構内も複雑なことが多いので、迷ったりして乗り遅れないよう最低でも発車時刻の30分前、心配なら1時間前には駅に着いておくのがおすすめです。早めに着きすぎても、改札内には待合室や売店、お弁当屋さんなどがありますから、時間を潰すのもさほど苦ではありません。
【Step.2】新幹線のりばを通る
切符の通し方
乗車券と特急券の2枚の切符を重ねて自動改札機に通します(紙の切符の場合)。2枚まとめて投入すれば、ゲートが開いて出てきますので、2枚とも忘れずに受け取ってください。
ICカードで乗車する場合は、改札機のIC読み取り部にタッチします。スマホアプリで表示するQRコードなどでは基本的に入れませんので注意(新幹線駅窓口で発券されたIC専用券など一部例外を除き、ICカードに情報を登録してタッチか、紙の切符を通すかになります)。
ホームへの行き方
改札を入ったら、自分が乗る新幹線の発車ホームを電光掲示板で確認しましょう。「○番線発」と表示されているので、列車名と時刻を照らし合わせて間違いないかチェックします。
さらに、ホームに着いたら号車の位置も確認しておきます。ホームの柱などに「◯号車→」の表示がありますので、自分の指定席の号車や、自由席に乗る場合は自由席車両の位置にあらかじめ行って並ぶのがポイントです。新幹線のホームはとても長いため、反対方向に延々歩く羽目にならないようにしましょう。
【Step.3】新幹線ホームで待つ
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ホームに出たら、自分の乗車する車両の乗車口付近に移動します。指定席の場合は座席が確保されていますから、発車までに乗れれば問題ありません。一方、自由席の場合は早い者勝ちなので、できるだけ早めにホームに着いて乗車口の列に並ぶことをおすすめします。
始発駅(その列車の出発駅)の場合、発車時刻の5分ほど前になるとドアが開いて乗車できます。それより前は清掃中の場合が多いので、列車先頭にできた列に沿って待ちましょう。
途中駅から乗る場合は、列車は発車のほんの数分前〜ほぼ時刻通りにホームに到着するので、列が乱れないように並び、ドアが開いたらスムーズに乗車します。自由席は並んでいても座れない可能性がありますが、諦めず先頭の人から順に席を確保しましょう(満席の場合はデッキなどに立つことになります)。
【Step.4】車内での過ごし方
新幹線に乗り込んだら、自分の席(指定席なら券面に記載の号車・席番)に座ります。後ろから他の乗客も乗り込んできますので、特に通路側や後続の方に配慮しましょう。落ち着いてから頭上の荷物棚にバッグやコートを載せます。大型スーツケースの場合は棚に載らないので、後述する方法で適切な場所に置きます。
座席周りの設備としては、窓側席の足元に電源コンセントがある車両が多いですが、これは車両形式によって異なります(全席コンセント付きの新型車両もあれば、一部席だけの車両もあります)。
また現在、多くの新幹線で無料Wi-Fiサービスが順次導入されています。車内に「Free Wi-Fi」ステッカーが貼ってある車両では、登録手続き等をすればフリーのWi-Fiを利用できます。
通信量制限や接続時間制限がある場合もありますが、スマホのデータ節約に活用すると良いでしょう。なお、新幹線では車内販売(ワゴンによる飲食物販売)が運行している列車もありますが、駅弁や飲み物を買って乗るのも旅の楽しみです。
【Step.5】新幹線を降りる
目的の停車駅が近づいてきたら、車内アナウンスで到着を知らせてくれます。降りる準備をしましょう。リクライニングシートを元に戻し、テーブルを畳み、座席周りのゴミや忘れ物がないか確認します。
降車後にすぐ動けるよう、早めに身支度してデッキ(出入口付近)に移動しておくとスムーズです。ゴミがあればデッキのゴミ箱へ捨てておきましょう。駅に着いたらドアが開きますので、乗り遅れた荷物がないか確認しつつ下車します。
降車駅で新幹線改札を出る際も、乗車時と同じく2枚の切符を一緒に改札機に通します。自動改札の場合、ここでは特急券(新幹線料金券)は回収され、手元には乗車券だけ戻ってくるのが通常です。
在来線へ乗り換える場合は、新幹線の出口改札ではなく「のりかえ改札」へ進み、同じように2枚通します。すると乗車券だけ戻ってくるので、それを持って在来線ホームへ行きます。最終的に目的地の在来線駅で改札を出る時に、その乗車券を通せば旅程完了です。
新幹線の便利なサービス(Wi-Fi、電源など)
新幹線の車内には、長距離移動を快適にするためのサービスや設備が充実しています。ここでは代表的なものを紹介します。
新幹線の無料Wi-Fiサービス
現在、多くの新幹線車両で無料の公衆無線LAN(Wi-Fi)が提供されています。例えばJR東日本管内の新幹線では「JR-EAST FREE Wi-Fi」、JR東海/西日本管内の東海道・山陽新幹線では「Shinkansen Free Wi-Fi」といった名称で利用可能です。利用できる車両には車内にステッカーが貼ってありますので確認してください。
接続方法は路線によって異なりますが、SSIDに接続し、ウェブブラウザでメールアドレス登録や利用規約同意等のポータル手続きを経て利用開始する形が一般的です。一定時間(例えば3時間)経過すると再接続が必要な場合があります。
トンネル区間や山間部では回線が不安定になることもありますので、過度な期待は禁物ですが、SNSや調べ物程度なら概ね問題なく使えるでしょう。特に海外からの旅行者やテレワーク中のビジネス利用者にとってはありがたいサービスです。
新幹線車内の電源コンセント
スマートフォンやノートPCを充電したいとき、新幹線の座席にコンセントがあると便利です。しかし全ての座席に備わっているとは限らない点に注意しましょう。
東海道・山陽新幹線のN700系車両では全席にコンセントがありますが、少し前の700系だと窓側と最前列・最後列のみ、といった具合に車両形式で異なります。東北新幹線のE5/E6系や北陸新幹線E7/W7系では全席コンセント付きですが、古いE2系などでは一部席のみです。
確実にコンセントを使いたい場合は、「コンセント付きの車両ですか?」と事前に駅員に確認するのが確実でしょう。また、モバイルバッテリーを携帯しておけば万一コンセントが無くても安心です。ちなみにグリーン車は基本全席コンセント付きです。
新幹線の多目的トイレ
新幹線の編成には通常のトイレ(洋式・和式)に加え、車椅子対応の広い多目的トイレが設置されています。おむつ替え台が付いていたりベビーケアにも使えるため、赤ちゃん連れの方も安心です。
場所は号車によりますが、例えばN700系では8号車と12号車付近に多目的トイレがあります。授乳が必要な際は乗務員さんに声をかければ多目的室を一時使用させてもらえることもあります。
車内販売/自販機
東海道・山陽新幹線の「のぞみ」などではワゴンによる車内販売があり、お弁当・飲み物・スナック・車内限定グッズなどを購入できます。声をかければ停車駅で降りずとも飲食物を手に入れられて便利です。ただし近年は徐々に縮小傾向となっているため、注意が必要です。
例えば、JR東日本の新幹線では車内販売が原則なくなり、代わりに一部列車で車内販売機(自販機コーナー)が設置されています(E5系「はやぶさ」のみなど)。事前に駅で飲食物を買い込んで乗るのが確実と言えるでしょう。