沖縄県那覇市は5月2日、民泊条例案を臨時市議会に提案した。県の民泊条例よりも規制を強化する内容で、議会の審議を経て5月9日にも可決される見通しだ。
市の民泊条例案では、県の民泊条例に加えて規制の範囲を①文教地区②第1種住居地域―に拡大。第1種住居地域では、家主や管理者の非常駐施設で規制を強化している。
【那覇市の民泊条例案】※()内は県の民泊条例。休日や連休は除く
・住居専用地域:日曜正午~金曜正午まで制限(月曜0時~金曜正午まで制限)
・第1種住居地域:家主居住型は制限なし。家主不在型は日曜正午~金曜正午まで制限
・文教地区=学校の敷地周囲100m以内も含む:学校の休業日を除いて制限
市の条例が適用される地域は住居専用地域が首里・真和志・小禄地区など、第1種住居地域が若狭・久米・牧志・松尾などとなっている。
6月15日に施行される住宅宿泊事業法(民泊新法)では、年間の営業日数の上限が180日となる。市の条例案では住居専用地域、第1種住居地域で約110日、文教地区(学校の敷地周囲100m以内も含む)が約120日と短縮される。
規制強化は民泊によるトラブル防止、住環境の健全化のため
民泊をめぐっては、早朝・深夜の騒音やごみ出しなどの生活ルールの不徹底で、住民とトラブルを起こすケースも少なくない。
那覇市は旅館業法などの必要な許可を得ていない民泊施設も多いとみられ、全国屈指の観光地だけに民泊新法施行後のトラブル防止の観点から、条例による規制を強化した形だ。さらに、那覇市特有の事情もあり、人口密度の高さや人口が地域によって偏っている状況なども加味している。
那覇市以外の自治体による民泊条例をみても、那覇市と同様に住民の健全な生活環境の維持を目的に、文教地区や学校周辺で規制を強化している自治体も少なくない。
民泊新法の施行が間近に迫り、多くの民泊事業者による参入が見込まれるが、その一方で条例で民泊を規制する自治体も増えている。