日本を訪れる外国人観光客向けの案内所や地方の観光資源などを整備するための財源調達策として、出国する際に旅行者から税金や手数料を徴収する制度の導入を念頭に置き、観光庁は9月に有識者を招いて検討委員会を開く意向を固めた。
観光事業は、地方創生や国際競争力の向上などを狙う政府の成長戦略の中軸。2020年までに年間の訪日外客数を4,000万人に増やす目標を掲げている。日本政府観光局によると、2016年の訪日外客数は前年比21.8パーセント増の2,403万9千人で、過去最高。2017年も訪日外客数は1月から7月までの期間で1,643万8800人に上り、順調な伸びを示している。
年間の訪日外客数を4000万人に達成させるに伴い、現在、インフラ整備や地方の観光資源の保全や活用などを加速させることが求められている。観光庁はそのための財源として平成30年度の税制改正で新税創設を要求する考えで、9月に財源の調達方法などについて話し合う検討委員会を開くという。
空港などでの徴税案、旅行者からの反発の声も懸念
財源を調達する具体的な方法として挙がっているのは、空港などで日本人を含む旅行者から出国する際に税として徴収する、または、出国手続きにかかる費用を手数料として徴収する、という案。検討委員会には有識者などが参加し、両案を中心に制度の中身を検討する予定だという。
ただし、旅行者からの税の徴収、手数料を負担させる方策には異論が出る可能性は少なくない。このため、観光庁は新たな財源調達策が現在好調な観光に悪影響を及ぼさないよう配慮し、具体案をまとめる方向。それを受け、11月以降に政府や与党が調整を始める見通しだ。