東京都台東区は、国が進める旅館業法の規制緩和の動きとは逆行する形で、2016年3月に民泊を事実行不可能にする条例案を可決。2016年7月には台東区の物件を民泊サイトを通じて貸し出してを行っていた2社とその役員6名が書類送検された。
無許可民泊への対策を進める台東区で実際に無許可民泊の物件数が減ったのか、「メトロデータ」にて台東区の民泊物件数を調査した。
4月は減少も5月は一転増加へ
東京都台東区の民泊物件は、2015年からほぼ右肩上がりで推移してきていたが、2016年4月を境に物件数の増加に歯止めがかかった。
2016年4月の旅館業法施行令の改正の影響や規制強化の条例改正の影響で様子見ムードが強まったようだが、翌月5月には一転して増加しており、規制強化による影響はほとんど受けていない。
台東区の民泊物件推移
台東区の民泊物件は以下のグラフの通り、2016年4月をピークに物件数の増加に歯止めがかかったが、5月には元に戻し過去最高の物件数となっている。
東京エリアの民泊物件推移
東京エリアの民泊物件は以下のグラフの通り、台東区同様4月をピークに物件は減少。5月、6月の2ヶ月連続で物件数が減少している。
民泊対策を強化する台東区
訪日外国人が急増する背景を受けて、国は民泊の拡大を目指し2016年4月には旅館業法施行令を改正し延床面積の規定やフロント要件を緩和するなど規制緩和を進めている。この流れに逆行する形で民泊を事実上不可能にする条例案を可決したのが東京都台東区だ。
東京都台東区議会は、3月29日に「営業時間内は従業員を常駐させる」、「玄関帳場その他これに類する設備を有する」ことなどの条件を追加で課す区の旅館業法施行条例改正案を議員提案し、全会一致で可決。これにより、台東区で簡易宿所の許可をとって行う民泊は事実上、困難になった。
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台東区で民泊をしていた企業が書類送検
個人宅の空き部屋に旅行者を泊める「民泊」を旅館業法の許可を取得せずに営業したとして、旅館業法違反の疑いでP社(東京都港区)と子会社(同)の2社と、両社の役員ら男女6人が書類送検された。この事件の影響で、今後台東区における民泊物件数の増加に歯止めがかかるのかが注目される。