Airbnbは、ゲストが予約した際にその人のオンライン上の「人格」をチェックし、物件を破壊するリスクを予測する技術を開発した。Airbnb が開発した素行調査技術は、昨年米国で認可された後、欧州特許庁が公開した特許で明らかになった。
「特性アナライザー(trait analyser)」は、ネットを精査してゲストの「信頼性と互換性」や「行動・人格特性」を評価し、物件を借りる適性を予測できるよう Airbnb が構築したソフトウエア。これまで、ゲストに物件を荒らされたというホストが一部でいることから、新技術導入の一端にもなったとみられる。
特許によれば、Airbnbは自社のソフトウエアでSNSを含む各種サイトを精査し、通常の信用調査や身元調査、同社が「第3者データベースの保護」と称するものに照らして、対象者の「誠実さと率直さ」などの特徴を探り出す。「神経症的傾向や犯罪への関与」「ナルシシズム、精神病質」などは「信頼できないと見なされる」という。
この技術は人工知能を活用し、SNSの偽プロフィールへの「関連」が判明したり、虚偽の詳細情報を提供したりしたユーザーを特定。また、ユーザーに関連するキーワードや画像、動画が薬物やアルコール、ヘイトサイトやヘイト団体、セックス労働に関連する場合、また、「ポルノに関係している」人や「ネガティブな言葉のコンテンツ」を書いた人の適性が低くなるという。
また、犯罪に関する記事など、その人物に関する可能性のあるニュース記事も精査し、犯罪の深刻さを「量る」。特許によれば、ブログやニュースサイトへの投稿も「人物図」の形成に考慮される。
これら統合されたデータは、対象者がオフラインで他者に対してどう行動するかを分析し、「社会的つながり」や雇用、教育履歴などの相互参照指標を出したうえで、ホストとゲストの「互換性」を算出する。
英メディアの Evening Standard によると、Airbnbは、この特許は素行調査のスタートアップ企業、Trooly(トローリー)買収後の継続業務だとしているが、その用途についてはコメントを避けた。同社サイトには、「全予約は確定前にリスク評価を受ける。予測分析と機械学習を用いて多数のシグナルを即座に評価し、疑わしい行動を事前に発見、調査する」と書かれている。
ロンドンのテック起業家、Jess Butcher(ジェス・ブッチャー)氏はこの技術が「個人のデジタルフットプリント」の利用に対する懸念を引き起こしたと発言。また、サリー大学のサイバーセキュリティ専門家、Alan Woodward(アラン・ウッドワード)教授は「通常なら人間が判断を下す判断を機械学習に頼っている」と述べている。