民泊仲介サイト世界大手のAirbnb(エアービーアンドビー)はこのほど、日本語向けウェブサイトの刷新を行いホテルの露出の強化を始めたことがわかった。
Airbnbは、2018年初めに年間のゲスト数10億人突破を目指す新しいロードマップを公表するとともに、「デザイナーズホテル」というホテル向けのカテゴリを新設しホテルの獲得を強化。
国内では、初めてホテル系の組合団体である別府市旅館ホテル組合連合会と提携。Airbnbへの適応を促す基本的なトレーニングを提供するほか、Airbnbへの掲載を促す取り組みをスタート。
また、10月には楽天グループ会社のクリップスが展開する「ねっぱん!サイトコントローラー」との連携を開始しており、ホテルや旅館などで従来から利用されているサイトコントローラーとのシステム面での連携も強化していた。
Airbnbはこれまで、ホテルなどの宿泊施設の掲載強化に向けた動きが多かったが、新たに行われたウェブページの刷新で、ホテルの露出を明確に強化し始めたようだ。
AirbnbやOTAとの在庫管理ツールも続々登場
Airbnbがホテルの掲載を強化するとともに、その周辺ビジネスも活況としている。特に改めて注目を集まっているのが「サイトコントローラー」業界だ。
サイトコントローラーとは、客室の在庫管理を行うことでダブルブッキングを防ぐともに複数の予約サイトでのアプローチを可能にするサービス。
宿泊施設としては多くのオンライン旅行サイト(OTA)に掲載することで露出を増やしたいと考えるが、掲載先を増やせば増やすほど、在庫の管理が煩雑になってしまうデメリットがあった。
客室在庫をリアルタイムに管理できるサイトコントローラーを利用することでホテルなどの宿泊施設は、楽天トラベルやBooking.com(ブッキングドットコム)やExpedia(エクスペディア)などのOTAに掲載している。
このサイトコントローラー業界では、Airbnbの急速な成長とともに、Airbnbを新たな接続先として追加する業界大手サイトコントローラーや民泊に特化したベンチャーが手掛けるサイトコントローラーが登場してきている。
クリップスの「ねっぱん!サイトコントローラー」に加えて、同じく業界大手の手間いらずもAirbnbと連携。さらにホテルテックベンチャーのメトロエンジンが提供する民泊ホストに特化したサイトコントローラー「民泊ダッシュボード」がそれだ。
Airbnb、プロホスト向けサービスを拡充
Airbnbは、他にも大規模に物件管理を行うプロホスト向けのサービス強化にも動いている。Airbnbはもともと空き部屋を貸し出したい個人と部屋を探す個人とをマッチングするCtoCサービスであったことから、管理ツールが大規模な運用に追いつかない問題があった。
このような課題解決のため、Airbnbはホスト向けのダッシュボードを刷新し、リスティングの情報を一括更新できる機能を追加したほか、料金と予約可能状況のルール設定を変更しやすくしたり、膨大な予約管理を行えるようにリニューアル。
また世界全体でサイトコントローラーや宿泊管理システム(PMS)を展開する企業をシステム連携パートナーとして迎え入れる取り組みも行っている。システム連携パートナーとしてAirbnbが公表しているツール数はすでに100社を超える。
Airbnbのルーツは、個人と個人とをつなぐCtoCマッチングサービスにあったが、システム連携パートナーやプロホスト向けサービスの拡充で、法人顧客にも注力する考えようだ。