2008年8月にAirbnbが創業してから2016年でちょうど8年。2013年に日本語サービスを開始したAirbnbに代表される「民泊」は、観光業界や不動産業界だけでなく、各方面から注目されるほど大きく成長を遂げた。

そんな中、SPIKEペイメントは「SPIKEデータ for 民泊」が保有するデータを用いて、Airbnb発祥の地であるアメリカ以外の都市におけるAirbnbの登録物件数ランキングを発表した。

※観光客数は、Euromonitor International社が2016年に発表した2014年の実績を記載。[1] ※登録物件数は、2016年6月時点の実績。

 

第10位 ドイツ・ベルリン 15,247件

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ベルリン : 観光客数 467万人 世界観光都市ランキング 35位

ドイツでは最近、メルケル首相の政策のもと、1年間で約110万人の難民や移民を受け入れており、その滞在先として民泊を利用するという動きもみせていた。 [2] しかしベルリンでは、民泊の普及が家賃高騰の要因になったとし、2016年5月より民泊を禁止とする法律が施行されている。[3]

ちなみにAirbnbは、2011年5月、ドイツ・ハンブルクに本社を置く競合Accoleo社を買収。これがAirbnbにとって最初の同業買収であり、海外展開を進めるきっかけになったと言われている。[4]

第9位 オランダ・アムステルダム 15,328件

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アムステルダム : 観光客数 571万人 世界観光都市ランキング 27位

オランダはこれまで、条件付き(最大宿泊人数4名・観光税の支払い義務あり・年間60日以下の営業)で住宅の短期貸借を合法化しており、民泊容認の姿勢をみせていたが、2016年に入ってからは、ルールを守らなかったとして約170件の登録物件を削除するなど、取り締まりを強化している。[5]

第8位 オーストラリア・シドニー 15,925件

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シドニー : 観光客数 315万人 世界観光都市ランキング 57位

第10位のベルリンや第9位のアムステルダムには劣る観光客数でありながら、Airbnbの登録物件数では、わずかながら上回ったのがシドニーだ。オーストラリアは、一部の州ではパーティー利用のための民泊は禁止されているが、それ以外については特に規制がないため、民泊を運営しやすい国であるといえる。[5]

第7位 インドネシア・バリ 16,050件

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バリ : 観光客数 357万人 世界観光都市ランキング 50位

香港・バンコク・マカオなど、世界観光都市ランキング上位に登場している多数のアジア都市を押さえ、人気ビーチリゾートのバリが第7位に。民泊のイメージはあまりないが、アジアでは唯一のランクインとなった。

第6位 デンマーク・コペンハーゲン 19,669件

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コペンハーゲン : 世界観光都市ランキング 100位以下

なんと世界観光都市ランキング100位以下のコペンハーゲンが第6位に登場。2016年8月にAirbnbより発表された最新データによると、民泊がコペンハーゲンに及ぼす経済効果は約316億円に上るという。

もともと、Airbnbが進んでいる近隣のヨーロッパ諸国からの観光客が過半数を占める観光地であることもあり、上位にランクインした。[6]

第5位 スペイン・バルセロナ 19,724件

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バルセロナ : 観光客数 597万人 世界観光都市ランキング 26位

スペインは早くも2014年に、同国の観光業界団体エクセルトゥールにより、民泊を利用した宿泊者数がホテルを利用した宿泊者数を上回ったことが発表されていた。[7] 今回ランクインしたバルセロナでも、民泊物件は全体の15%を占めており、民泊都市としての存在感を示している。

ところが2016年6月に、違法な民泊事業者に対する罰金額を従来の20倍に引き上げることを発表。民泊に対する取り締まりを強化する方針へシフトしているため、今後の伸びは失速が予想される。[8]

第4位 イタリア・ローマ 20,927件

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ローマ : 観光客数 878万人 世界観光都市ランキング 14位

言わずと知れた観光大国イタリアからは首都ローマがランクイン。イタリアは、第11位にミラノ、22位にフィレンツェなど、多数の観光都市が上位に入っており、国単位で言えば最も民泊が進んでる国の1つと言える。

第3位 ブラジル・リオデジャネイロ 28,247件

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リオデジャネイロ : 観光客数 244万人 世界観光都市ランキング 80位

2016年のオリンピックの開催地となったことで大きな賑わいをみせたリオ。2014年に開催されたFIFAワールドカップでも、宿泊施設不足に民泊が大きく貢献した。さらに元サッカーブラジル代表のロナウジーニョ選手も、開期中に自宅を1日15,000ドルで貸し出すなど、大きく話題になった。[9]

観光客数では80位と、ランクインした他の都市と比べてダントツで少ないものの、Airbnbの物件数ランキングではベスト3入り!オリンピック効果が大きいようだ。

実際に、Airbnbの発表によると、オリンピック期間中の2016年8月5日~8月21日に6万6,000人を超える人が利用したとという。[10]

・貸し手の収益 約25億円
・周辺経済効果 約76億円
・平均宿泊日数 6泊
・平均宿泊料 3人部屋で1泊あたり約1万6,500円
・平均支出額 1人あたり約1万3,600円/日

この動きは、2020年に向けて東京が世界的な民泊都市になる可能性を示唆しているともみてとれる。

第2位 イギリス・ロンドン 50,802件

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ロンドン : 観光客数 1738万人 世界観光都市ランキング 2位

「博物館・美術館・劇場・スポーツ競技場などの観光スポットが充実している」「ヨーロッパの都市の中で最も緑地が多い」「犯罪率が低い」など好条件が揃うロンドンは、世界屈指の観光都市。[11] 観光客数に比例して民泊物件数も多いことは納得できる。

さらにAirbnbは、ロンドンオリンピック開催目前の2012年7月に、ロンドンに本社を置く競合Crash Padder社を買収。[12] これもロンドンにおける登録物件数が急伸した要因となったようだ。

第1位 フランス・パリ 59,401件

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パリ : 観光客数 1498万人 世界観光都市ランキング 25位

Airbnbの物件数で第1位に輝いたのはフランスのパリだった。都市単位の観光客数では第2位のロンドンに劣るパリであるが、実は業界では有名な民泊先進都市なのだ。

しかし、民泊が盛り上がる反面、「ホテル業界を廃業に追いやり雇用を奪う」「家賃高騰を招く」「脱税を生む」といった多くの弊害を生じていることも明らかになっている。2016年3月には、フランスのホテル&レストラン関連業界団体が来日し、匿名性排除や安全対策の義務化を訴えるなど、民泊市場拡大に対して警鐘を鳴らす動きも見られた。[13]

〜 番外編 〜

第13位 日本・東京 12,195件

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東京 : 観光客数 599万人 世界観光都市ランキング 25位

第5位のバルセロナや第9位のアムステルダムより少し上回るくらいの観光客数を記録しながらも、民泊部件数ではランク外に。現在は民泊新法をはじめとする規制緩和の動きが注目されており、その行方次第で国内市場は大きく左右されると言える。

《関連記事》
世界一の民泊都市はどこ? 物件数の世界ランキングを発表〈前編〉(SPIKEデータ)
世界一の民泊都市はどこ? 物件数の世界ランキングを発表〈後編〉(SPIKEデータ)

 

参考文献
[1] Euromonitor International「TOP 100 CITY DESTINATIONS RANKING
[2] NHK おはよう日本「ドイツ 難民問題でメルケル首相に逆風
[3] 現代ビジネス「なぜベルリンは断固「民泊」禁止に踏み切ったか〜全面解禁に向かう日本に”民泊先進国”は警鐘を鳴らしている
[4] TechCrunch「Airbnb buys German clone Accoleo, opens first European office in Hamburg
[5] 国道交通省「諸外国における規制等の事例について
[6] Airbnb Action「SHARING DATA ON THE AIRBNB COMMUNITY IN COPENHAGEN
[7] AFPBB News「宿泊施設賃貸仲介サービス、提供数でホテル抜く スペイン

[8] NNA ASIA「バルセロナ、違法民泊への罰金を60万ユーロに
[9] Los Angeles Times「Airbnb uses FIFA World Cup to bring sharing economy to Brazil
[10] CNN Money「Airbnb hosts cash in big on the Olympics
[11] VISITLONDON.COM「Boris Johnson – Mayor of London
[12] TechCrunch「Airbnb Acquires UK-based Crashpadder As Part Of International Growth Push
[13] HARBOR BUSINESS Online「民泊の不都合な真実。フランス宿泊業界関係者が緊急来日で悲痛な訴え

 



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