大手銀行のみずほ銀行が民泊市場の拡大を見据え、民泊サイトの世界最大手・Airbnb(エアービーアンドビー)と業務提携することが7月17日、分かった。国内の銀行がAirbnbと業務提携するのは初めて。NHKが同日、報じた。
NHKの報道によると、みずほ銀行が民泊による市場の活性化を見据えているという。インバウンド(訪日外国人)が急増している現状に加え、2018年1月をめどに住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行される。さらに、2020年には東京五輪・パラリンピックも開催され、インバウンドが右肩上がりで成長する要素がある。業務提携で明らかになっている内容は次の通り。
・社宅などの空き家利用を検討している企業をAirbnbに紹介
・スマホのアプリによる宿泊代金の決済システムの共同開発
みずほ銀行は全国主要都市などに支店などの拠点を持っているのがメリット。銀行業務の中で、全国の企業と構築したネットワーク網ある。事業融資の際、企業の財務をより健全化させるため、余剰不動産などの処理を進めるのも銀行業務の一環だ。金融機関は、こうした企業の所有不動産データを把握している。
不動産を有効使用したい企業と民泊で利用したいAirbnbの思惑が一致すれば、スムーズに民泊事業へ移行できるメリットがある。みずほ銀行としても、顧客の企業の財務が健全化すれば、新たな事業融資を行えるなどのメリットがある。これに加え、みずほ銀行では今後、民泊分野への積極的な事業融資も検討している。
市場も活性化しており、「STAY JAPAN」を運営する百戦錬磨が特区民泊型の「民泊1棟マンション」を7月20日から稼働させる。シノケングループでは、所有物件の空き家をリフォームし、民泊として活用する「リノベ×民泊」を今秋にも福岡市で立ち上げる予定。将来的には全国でリフォーム民泊の物件を増やす構想を描いている。IT大手の楽天は6月、LIFULLと共同で新会社を設立し、民泊事業に参入すると発表している。
今後も民泊事業への異業種の参入、業務提携などが相次ぐとみられる。政府の成長戦略の一環として、インバウンドのさらなる増加を掲げ、民泊の規制緩和が今後も加速するとみられるからだ。
民泊を運営すると、設備投資、リフォーム、増改築などの新たなビジネスが生まれ、企業に融資することによって、銀行に新しい収益構造が構築できる。大手銀行のみずほ銀行が、Airbnbと業務提携することによって、民泊業界のさらなる活性化へ弾みがつきそうだ。
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