長野県が民泊の日数を制限 条例案の提出を検討

長野県は、2018年6月をに施行される住宅宿泊事業法(民泊新法)に向け、民泊の営業日数を制限する条例案の提出を検討していると信濃毎日新聞などが11月13日に報じた。2018年2月の県議会定例会に条例案を提出する方向で調整しているという。

従来有償で人を泊める場合旅館業法などの許可を取得する必要があるが、民泊新法ではインターネットから届出を行うことで民泊の営業を行うことができるようになるが、年間の営業日数の上限は180日に制限される。

また、この180日という日数については自治体によりさらに規制を行うことができることから一部の自治体では長野県同様に民泊の条例案の検討を始める動きも出ていた。

長野県では既に各市町村の宿泊事業者らの意見を集約しており、今後各市町村のエリアの状況を考慮し、個別調査を進めて精査していく。この結果を基に年間の営業日数の制限など、議会に提出する条例案の具体的な内容を取りまとめていく方針だ。

県内の各自治体では、民泊新法に対して慎重な姿勢を見せている。その理由は大別して①既存の宿泊事業者の保護②地域住民の健全な住環境の保護-という2点があるからだ。特にスキー場やリゾート地に加え、歴史的建造物を数多く抱えている地域事情がある。

特に北安曇郡の白馬村、小谷(おたり)村では、1998年冬季五輪のスキー競技の会場になっており、大きなスキー場が集約されているエリア。大規模なホテルから個人経営のペンションなどの宿泊施設も数多く、民泊施設に対する反対の声も大きい。

リゾート地では、別荘地として有名な軽井沢町が住民の生活環境を守るため、町内で一切の民泊を営めないとし、独自に規制をしている。善光寺(長野市)や松本城(松本市)など、歴史遺産がある自治体でも民泊によって、住環境悪化の懸念を抱いている。

民泊新法をさらに規制する条例制定に向けて、長野県以外の多くの自治体でも適用する可能性が出ている。北海道の高橋はるみ知事は、札幌市での条例による規制強化が必要との方針を明らかにしたばかり。京都市の門川大作市長も条例制定を目指し、独自の規制に向けて動いている。民泊新法の施行までに、民泊条例による規制強化を狙う自治体の動きも加速していきそうだ。



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