10月26日のNHK「クローズアップ現代」でも特集されるなど最近なにかと注目を浴びることの多い「民泊」。
その「民泊」がついに2015年10月27日大阪府議会で全国初となる「民泊条例」として可決成立しました。
最近では、東京都大田区で民泊を解禁見通しであることがあることが発表され注目されていましたが、大阪府が全国初となります。
条例が制定されるとどうなるの?
従来、民泊は旅館業法の範疇になるのかならないのかというところが不明瞭でした。
旅館業法では、「(1)宿泊料を受けて、(2)人を宿泊させる(3)営業」のことを「旅館業」と定義しています。
「(1)宿泊料を受けて、(2)人を宿泊させる」という観点では、Airbnbは、ゲストから宿泊料を受けて、寝具を提供してゲストを宿泊させることから該当せざるをえないでしょう。
しかし、Airbnbの場合、個人が個人宅を貸し出していることもあり、ただちに(3)営業活動に該当するかというと非常にグレーでした。
福岡県では民泊は旅館業法の範疇という見解を示し、金沢市では無許可営業をしているとして調査及び所在地が特定できる物件に関しては指導が行われる一方で、国は国家戦略特区を設け、特定の条件下において民泊を旅館業法の適用除外とするとしており、「民泊条例」への早期成立の期待が高まっているところでした。
今回、大阪府で民泊条例が制定されるとどうなるのか。それは、特定の条件下において特定の手続きを行った民泊は旅館業法の適用除外となるため「グレー」ではなく「合法」になります。
一方で条例が定める規定を無視した外国人滞在施設経営事業を行えば、条例違反になってしまうため注意が必要です。
大阪府国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に関する条例制定の件
国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業について、国家戦略特別区域法施行令第12条第2号の規定に基づき同号の条例で定める最低滞在期間を定め、併せて立入調査や認定等に係る手数料など、必要な事項を定める。
施行日:規則で定める日
大阪府民泊条例の要点とは
・立ち入り検査の実施
・滞在者名簿の義務化
・罰則規定はなし
最低滞在期間は「7日」
「期間は、公衆衛生等を踏まえ、地域のホテル旅館との役割分担、主として外国人の1施設における滞在期間から総合的に考慮して7日」にするとしてます。
つまり、6日以下の「民泊」は明確に禁止となります。
訪日外国人旅行者滞在日数の分布をみると、6日間以内の短期滞在者が約 6 割を占めるという状況※であり、「7日」以上とするのは実態に即していないという面もあります。(※訪日外国人消費動向調査「平成27年7月~9月期」)
立ち入り検査の実施
行政の関与による「安心、安全面での不安」解消のため、立入権限を規定しています。
滞在者名簿の義務化
「外国人滞在施設経営事業の円滑な実施を図るための留意事項について」にもあるとおり、認定事業者は滞在者名簿を用意することが義務付けられることになります。
罰則規定はなし
民泊許可の特定認定の申請を行い「外国人滞在施設経営事業」の認定事業者となり、その後認定事業者が施行令で定める要件に該当しなくなった場合や、認定要件が守られていない場合には認定を取りけることができるとしている。
しかし、罰則規定はないため、機能するかは不透明である。
府条例が適用されるのは大阪府全域ではない
今回可決成立となった民泊条例ですが、大阪府全域で適用とはならない点に注意が必要です。
というのも大阪市や堺市等の政令指定都市や東大阪市などの中核市は独自に保健所を持つためそれぞれ条例を制定する必要があるからです。
そのため今回の民泊条例の適用対象となる市町村は、37市町村に限られます。
なお大阪市は外国人に人気のエリアで宿泊需要も高く9月議会に提出されているという状態ではあります。
大阪府の民泊条例の適用外市町村
大阪府の民泊条例適用外市町村 | |
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政令指定都市 | 大阪市 堺市 |
中核市 | 豊中市 高槻市 枚方市 東大阪市 |