大阪府 特区民泊(特定認定)の審査基準

大阪府は、2016年4月よりスタートする国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業(以下、特区民泊)の特定認定に係る審査基準を発表しました。

特区民泊は1月29日にスタートし全国初の民泊解禁地域となった東京都大田区に次ぐ2例目。3月29日には民泊の説明会が予定されていますが、募集開始から終日で満員となるほどの盛況ぶりです。

 

大阪府 特区民泊の審査基準

国家戦略特別区域法(平成 25 年法律第 107 号。以下「法」という。)第 13 条第 1 項に規定する国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業(以下「事業」という。) の特定認定に係る審査基準

契約方法

民泊ホストとゲストの間で結ぶ賃貸借契約に基づき、部屋を使用させる必要があります。

1 事業の用に供する施設(以下「施設」という。)であって賃貸借契約及びこれに付随する契約に基づき使用させるものであること。

実施地域

大阪府で民泊条例がスタートするという報道をそのまま受けると、大阪府の全域で民泊ができると思われる方もいらっしゃいますが、実際は、民泊ができる地域とできない地域があるため注意が必要です。

2 施設の所在地が、法第 13 条第 1 項に規定する国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業を定めた区域計画に記載されている実施地域に含まれること。

滞在期間

大田区の特区民泊同様、大阪府の特区民泊にも滞在期間の条件が定められており、施設を使用させる期間は、6泊7日以上である必要があります。

3 施設を使用させる期間が7日以上であること。

居室

大前提としては、床面積は25平方メートル以上である必要があります。他にも滞在に必要な設備(以下に記載してあるもの)が必要です。

4 各居室は、次のいずれにも該当すること。

(1) 一居室の床面積(建築基準法施行令(昭和 25 年政令第 338 号)第2条 第1項第3号に規定する床面積(壁心により測定したもの)をいう。)が、25 平方メートル以上であること。
(2) 出入口及び窓は、鍵をかけることができるものであること。
(3) 出入口及び窓を除き、居室と他の居室、廊下等の境は、壁造りであるこ と。
(4) 適当な換気、採光、照明、防湿、排水、暖房及び冷房の設備を有してお り、暖房及び冷房の設備については、エアコン、ストーブなど室温を調整できる機器であること。
(5) 台所、浴室、便所及び洗面設備を有しており、台所は、流水設備を備え た流し台及び調理用の台があること。浴室は、浴槽を有すること。洗面設備には流水設備を有しており、台所と別に設けること。
(6) 寝具、テーブル、椅子、収納家具、調理のために必要な器具又は設備及 び清掃のために必要な器具を有しており、調理器具は、電子レンジ、コンロなど加温できるものであること。清掃器具として、掃除機、雑巾、ごみ 箱を有していること。

清潔な居室

基本ではありますが、ゲストがチェックアウトした際には、寝具は清潔なシーツに取り換え、ごみ出しを行うなど基本的な清掃を行う必要があります。清掃方法に関しては、ホストご自身で清掃する方法やAirbnbの清掃代行会社に代行する2種類の方法があります。

5 施設の使用の開始時に清潔な居室を提供するため、次の措置が確実に講じ られるよう体制が整えられていること。

(1) 寝具は清潔なシーツに取り換えられていること。
(2) ごみがないこと。
(3) ねずみ族、昆虫等の発生がないこと。
(4) 居室内(寝室、台所、浴室、便所及び洗面設備等)の清掃がなされて いること。

外国人旅客の滞在に必要なサービス

大阪府の特区民泊では審査基準の中で、訪日外国人観光客向けに提供する必要なサービスが定められていきます。

対応言語の掲載

民泊事業者が対応できる言語をホームページに掲載する必要があります。

6 施設の使用方法に関する外国語を用いた案内、緊急時における外国語を用 いた情報提供その他の外国人旅客(以下「滞在者」という。)の滞在に必要な 役務の提供は、次のとおり行われること。

(1) 認定事業者(法第 13 条第4項に規定する認定事業者をいう。)が対応できる言語を事業者のホームページに掲載していること。

施設の使用方法

(2) 滞在に必要な役務の提供について、口頭、文書の交付、映像(例えばテレビ電話等による方法)等その他滞在者本人に直接説明するための体制を 整えていること。
(3) 居室内に施設の使用方法に関する案内(利用案内書等)を備え付けること。 また、施設内の非常口、駐車場、廃棄物集積所、フロントなどに、これ らの名称、必要に応じて使用に当たっての注意事項などの表示を行うこと。
(4) 台所及び洗面所において水道水以外の水を用水として使用する場合にあって、当該水道水以外の水が水質基準に関する省令(平成 15 年厚生労働省令 第 101 号)に規定する基準に適合しない場合は、飲用不可の表示がされていること。

廃棄物の処理方法

(5) 廃棄物の処理体制を次のとおり整えていること。

ア 施設が所在する市町村が定める廃棄物処理に関する条例、規則等に基づき 適切に処理するための体制を整えていること。
イ 廃棄物集積所を確保し、廃棄物集積所を周知するための立札、看板等により表示すること。

緊急事態の対応

(6) 滞在者の病気、事故、事件、火災等の緊急事態に備え、滞在者が認定事業者と常に連絡できる体制を整えていること。

注意事項の説明

(7) 滞在者に対し、ア~オに掲げる施設使用の際の注意事項を、使用開始時 に、6(2)に掲げる方法で説明するための体制を整えているとともに、6(3) の居室内に備え付ける施設の使用方法に関する案内(利用案内書等)に当該 注意事項を記載すること。

ア 施設に備え付けられた設備の使用方法
イ 滞在者が居室のごみを排出する場合には、廃棄物集積所の場所、廃棄 物集積所に排出することができる日時などの処理方法
ウ 騒音を発生させない等近隣住民の生活環境の保全への配慮
エ 火災等の緊急事態が発生した場合の通報先(消防署、警察署、医療機 関及び認定事業者等の電話番号)及び初期対応の方法(防火、防災設備 の使用方法等)
オ 滞在者が、消防署、警察署、認定事業者等に情報提供を求める際の連絡方法

滞在者の確認

(8) テロ並びに感染症対策及び違法薬物の使用、売春等の施設における違法 行為を防止することで、施設の滞在者の平穏な滞在環境を確保するために、 次のア~オの措置を講じていること。

ア 厚生労働省関係国家戦略特別区域法施行規則(平成 26 年厚生労働省 令第 33 号。以下「省令」という。)第 11 条第 5 号の滞在者名簿(滞在期間、滞在者の氏名、住所及び職業並びにその国籍及び旅券番号を記載し たもの)を作成し、3 年以上保管するための体制を整えていること。
イ 滞在者名簿の記載方法、保管方法等を、あらかじめ取決めておくこと。
ウ 省令第 12 条第9号に規定する確認方法は、滞在者に旅券の呈示を求 め、複写し、保管する方法とする。
エ 滞在者が施設の使用を開始する時及び終了する時にあたっては、対面又 は滞在者が実際に施設に所在することが映像等により確実に確認できる方法により、滞在者名簿に記載されている者と実際に使用する者が同一 人であることを確認するための体制を整えていること。
契約期間の中間時点で少なくとも 1 回は、滞在者本人が適切に施設を使用しているかどうかについて状況の確認を行うとともに、挙動に不審な 点がみられる場合や違法薬物の使用や売春などの法令に違反する行為が 疑われる場合には、速やかに最寄りの警察署に通報するための体制を整 えていること。

近隣住民への周知

民泊運営の中でもっとも大事といってもいいほど過言ではないのが近隣住民への周知です。

近隣住民の範囲

(9) 近隣住民の不安を除去することで、施設の滞在者の平穏な滞在環境を確 保するため、次のア及びイの措置を講じること。

ア 施設が当該事業の用に供されることについて、あらかじめ、次に掲げる者に対して説明していること。

(ア) 施設内に、特定認定(法第 13 条第1項の特定認定をいう。以下同 じ。)を受けようとする事業の用に供する居室以外の居室が存する場合にあっては、当該居室の使用者
(イ) 次の①又は②に掲げる建物(施設の外壁から水平距離で20 メート ルを超える場合を除く。)の使用者

① 施設の存する敷地の境界線に接する敷地に存する建物
② 施設の敷地の境界線から道路、公園等の敷地を挟んで隣接す る建物の敷地境界線までの水平距離が10メートル以下である当該建物の使用者

近隣住民への説明事項

なお、具体的な説明事項は次のとおりとする。

① 特定認定を受けようとする者の氏名(法人にあっては、その 名称及び代表者の氏名)
② 施設の名称及び所在地
③ 事業の概要
④ 苦情等の窓口の責任者の所在地、氏名、連絡先
⑤ 廃棄物の処理方法
⑥ 火災等の緊急事態が生じた場合の対応方法

近隣住民からの苦情窓口

また近隣住民からの苦情に24時間対応するための窓口の設置し、連絡先を掲示する必要があります。

イ 近隣住民からの苦情等に、24 時間適切に対応できるよう、窓口を設置 するとともに、その連絡先(責任者の氏名、電話番号等)を施設内の掲示等により周知していること。なお、アに掲げる者には連絡先(責任者の氏 名、電話番号等)を記載した文書を配布していること。

消防法令

(10) 施設の滞在者の平穏な滞在環境を確保するため、施設が消防法令に適合 していること。

規約の確認

(11) 施設が建物の区分所有等に関する法律第2条第1項に規定する区分所有権の目的であるものである場合にあっては、同法第 30 条第1項に規定する規約に違反しないと認められること。 特定認定を受けようとする者が特定認定に係る事業の用に供する居室 の賃借人又は転借人の場合にあっては、当該居室の所有者及び当該居室に 係る全ての賃貸人が当該居室を事業の用に供することについて承諾しているとともに、当該居室に係る全ての賃貸借契約において事業の用に供する ことが禁じられていないこと。

Photo credit: arcreyes [-ratamahatta-] via VisualHunt / CC BY-NC-SA



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