個人宅の空き部屋を旅行者に貸し出す民泊が全国で急増していることを受けて、政府は「旅館業法の一部を改正する法律案」を閣議決定した。無許可営業の罰金を現行の3万円から100万円へと引き上げるほか、これまで別々に取り扱っていたホテルと旅館の営業許可を一本化する。
罰則強化の背景には、すでに民泊が全国で急増している背景がある。民泊データ解析を手掛けるメトロエンジン株式会社の「メトロデータ」によると2016年1月に20,000件余りだった民泊施設は2017年1月には43,000件を突破。
民泊専門メディア Airstair の予測では、民泊物件は2017年5月に50,000件を突破し10月に60,000件を突破する見込みだ。
しかし、厚生労働省が昨年行った民泊実態調査では旅館業法の許可の取得が確認できた物件は全ての調査物件15,127件のうちわずか16%で、残りの84%については所在地不明あるいは無許可物件だ。
無許可物件が増えている背景には無許可営業者に対する罰金が最大3万円と低いことが影響しており、厚生労働省は改正旅館業法で無許可営業の罰金を現行の3万円から100万円へ引き上げる。
さらに、都道府県知事による立入検査を拒んだり虚偽の報告をした場合などの罰金額の上限も、現行の2万円から50万円に引き上げる。また都道府県知事による立入検査などの対象を無許可営業者にも拡大するなど無許可営業者等に対する規制はさらに強化される。
他にも、旅館業法の第2条で定められる「ホテル営業」「旅館営業」の営業許可も一本化される。これまで「ホテル営業」「旅館営業」と分けていた営業種別は「旅館・ホテル営業」に統合される。
民泊物件はまもなく5万件を越えようとしているが厚生労働省のデータからもわかるようにその大半が無許可営業とみられる。しかし、改正旅館業法で規制が強化されることで民泊合法化の流れはますます加速することになるだろう。