不動産賃貸管理会社のシノケングループは7月5日、ブロックチェーン技術を活用したシステム開発会社のチェーントープ社と資本業務提携をすると発表した。同技術を生かし、画期的な民泊などの不動産関連サービスを共同開発していく。
ブロックチェーンは仮想通貨の「ビットコイン」の根幹技術で、分散型データベースとも呼ばれる。従来のような管理者がいないため、データベースの参加者が、相互に信頼性や安全性を担保できるのが利点だ。不正使用が困難なため、権利(民泊では鍵の開錠権)の証明や権利の移転(民泊ではゲスト間の鍵の開錠権)に優れている。このため、金融業界の決済をはじめ、流通、契約まわりの分野でもブロックチェーンを活用する動きが出ている。
シノケングループは民泊マンションの分譲を開始するなど早くから民泊市場に新サービスを投入しているが、本業務提携によりブロックチェーンと民泊を組み合わせた新しい取り組みをスタートさせる。民泊物件とインバウンド利用者らをブロックチェーンでつなぎ、民泊物件のloT化を進めていく。
・民泊物件の鍵の開閉錠をするため、スマートキー化に対応
・民泊物件の検索・申し込み・滞在・利用終了までの流れを自動化
ブロックチェーンで民泊は更に躍進するのか
ブロックチェーン技術を駆使し、民泊物件のloT化を推進していけば、効率的な民泊運営につながるメリットがある。従来のようなフロントでの鍵の受け渡しの煩雑さがなくなるほか、loT化によって物件の利用申込・滞在・利用終了までの流れをすべて自動化できるようになる。
6月9日には住宅宿泊事業法(民泊新法)が成立し、2018年1月をめどに施行される見通し。シノケングループは、今後のさらなる民泊市場の成長を見据え、ホストとゲストにとって利便性の高いサービスを導入した。ホストにとって高稼働率を達成し、利益拡大の好機として捉えている。シノケングループでは、管理している約25,000戸のアパート・マンションを対象とし、オーナーに了承をもとにサービスの提供をしていく。
今後の民泊事業は、システム開発などに資金的な体力のある事業者と個人事業者で2極化される可能性が高い。アパマンやホームズなどの不動産会社をはじめ、異業種からも民泊参入が相次ぐ。2020年東京五輪・パラリンピックも控え、各自治体では、適法民泊業者に補助金を出すなど、今後の淘汰(とうた)が進みそうだ。民泊業界は戦国時代の様相を呈してきた。