「お寺ステイ」を運営するシェアウィングは7月10日、岐阜県の高山善光寺を利用した「TEMPLE HOTEL 高山善光寺」をプレオープンした。社寺とベンチャー企業がコラボした新しい形態の宿泊スタイルで、インバウンド(訪日外国人)らの需要を見込む。
日本の歴史や文化の象徴・社寺を利用し、あらためて日本の魅力を伝える体験・滞在サービスになる。シェアウィングは、高山善光寺から運営支援業務の委託を受けて、サービスを展開していく。日本文化に強い関心を持つインバウンドにとって、神社仏閣への探求心が強い。実際に宿泊し、社寺での作業や所作などの体験をすることによって、満足度が高まる。まさに、体験型宿泊の典型的なサービスだ。
【TEMPLE HOTEL 高山善光寺の概要】
宿坊名称:TEMPLE HOTEL 高山善光寺
住 所:岐阜県高山市天満町4-3
宗 派:浄土宗
アクセス:JR東海・高山線の高山駅から徒歩7分
H P :https://takayamazenkoji.jp/
高山善光寺はかつて、地域から親しまれるコミュニティだった。遠方からの参拝者のため、宿坊も併設。世界中から観光客が訪れる高山にとって、日本文化を体験できる貴重な宿としての役割を果たしてきた。しかし、近年は社会的背景などの変化によって、地域コミュニティとしての役割が希薄になっていた。そこで、シェアウィングによる宿坊再生プロジェクトの第1弾となった。
高山善光寺での宿泊は、心と体を鍛えることを意味する以下の「セルフクレンズ」をコンセプトに掲げている。
STAY①宿泊「SPACE」=立ち止まる時間
STAY②お寺・日本文化体験「CLEANSE」=清める(9月以降にサービス提供開始予定)
STAY③地域交流・文化発信・「MEET」=出会う、つながる、知る
日本人参拝客減少をよそに急増する外国人参拝客
最近の社寺の傾向は、檀家の高齢化や少子化の影響によって、参拝客の減少などの問題に直面している。その一方でインバウンドによる参拝者が急増している。特にインバウンドが強く関心を持っているのが、「朝のお勤め」や「座禅」。このため、寺の案内看板を外国語表記にするなど、外国人向けの瞑(めい)体験を実施する寺も増えている。
みずほ総合研究所がまとめた宿泊施設不足に関する調査報告書によるとオリンピックが東京で開催される2020年時点で関東6,400室、近畿20,000室が不足するとされ、シェアウィングでは宿坊で補うことも当面の目標にしている。
高山市はインバウンドの受け入れに積極的で、2016年に訪れた観光客は前年比約4%増の約450万人。インバウンドの宿泊数が26%増の46万人で、いずれも過去最高を記録した。アジア圏意外にも、フランス、スペイン、イスラエルからの観光客が多い。特に夏は欧州からの観光客の割合が高くなり、今回の高山善光寺がまさに「旬」を迎える時期といえる。