京都市は、市議会くらし環境委員会の質疑で、個人宅の空き部屋を旅行者に貸し出す「民泊」について民泊事業者(民泊ホスト)の責任で「事業ごみ」として処理すべきだとの考えを示した。事業者を特定できれば、「事業ごみ」として処理するよう指導するという。
民泊から排出されたごみは事業ごみであり、有料指定袋を使用したとしても,資源物であったとしても,「家庭ごみ」として京都市の収集に出すことはできない。施設に自己搬入するか,一般廃棄物の許可業者に収集を運搬を依頼するなどして,適切に処理する必要がある。
基準に違反し、ごみをみだりに投棄すると「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(第25条)」の規定により、5年以下の懲役、若しくは1,000万円以下の罰金又は併料に処せられる。旅館業法違反の罰則は懲役6か月以下or罰金3万円以下であるのと比べると非常に重い。
事業ごみと家庭ごみ
「事業ごみ」とはあまり聞いたことがない方も多いのではないだろうか。「ごみ」は家庭から生じるごみ(家庭系廃棄物)と事業から生じるごみ(事業系廃棄物)に区分される。さらに、事業系廃棄物は、「一般廃棄物」と「産業廃棄物」に分かれ、産業廃棄物は、法令により20種類が指定され、一般廃棄物は、「産業廃棄物以外のもの」をいう。
民泊は対価を得て宿泊サービスを提供していることから、京都市は民泊から排出されるごみを「事業ごみ」として適切に処理するよう指導する。
【参考】民泊事業を始める前に要確認!ごみの処理についてのポイントまとめ
無許可業者への委託で逮捕の事例も
京都府警は同志社大(京都市上京区)のごみ収集を無許可の業者に委託したとして、同志社の幹部らを廃棄物処理法の疑いで逮捕した。
この事件では、同志社大の幹部らが京都市の許可を得ていないことを知りながら、無許可業者とのごみ収集業務の委託契約を締結。学内の紙くずなど廃棄物約900キロの処理を約200万円で委託した疑いがもたれている。
廃棄物処理法違反に問われる可能性も
日本国内には4万件(2017年現在)以上の民泊があると言われており、その多くが旅館業法の許可を得ずに運営されている。無許可営業の罰則は、懲役6か月以下or罰金3万円以下(旅館業法10条1項)であり、その罰則の軽さから安易に始める人も多い。
しかし、前述の通り、民泊から排出されるごみは事業ごみであり許可業者に委託する必要がある。民泊事業者(民泊ホスト)も無許可業者への委託は禁止されておりその罰則規定は、旅館業法に比べると非常に重く5年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金またはこの併科が課される。