新宿区で無許可民泊にメス 40件の民泊施設を指導

新宿区は、旅館業法の許可を取得せずに民泊の運営をしていたとして少なくとも40件の民泊施設を指導していることがわかった。

これは、都市型民泊に関して新宿区にふさわしい適正なルールづくりを行うことを目的に開催された「新宿区民泊問題対応検討会議」で明らかになったもの。

2015年4月から2016年9月までの間に合計210件の相談が寄せられ、うち40件の施設について法に基づき指導を行っているという。なお苦情施設の類型では、共同住宅が164件(78%)と最多で、マンションなどで近隣トラブルなどが発生している状況がうかがえる。

新宿区に寄せられる主な苦情内容として以下の4つが挙げられており、「セキュリティ問題」や「騒音問題」、「ゴミ問題」などが問題になっているようだ。

・見知らぬ外国人が、短期に出入りし、常に不安である。
・深夜のドア開閉や共用部分での雑談など、昼夜を問わず騒音が絶えない。
・本人居住の入居契約や住居目的以外は禁止の管理組合の規定に違反している。
・ゴミ分別せず退出日に出すことや、どこでも喫煙するなどの生活ルール違反。

株式会社オスカーが運営する民泊の匿名通報サービス「民泊ポリス」で発表されている民泊苦情ランキングでも、「セキュリティ問題」や「騒音問題」、「ゴミ問題」が問題となっており、これらの問題は新宿以外の都市でも十分に起こりうる問題だと言える。

《関連サイト》
民泊の苦情・相談内容について

 

新宿区は、民泊物件数がもっとも多い

メトロデータによると、新宿区は東京23区内でもっとも多くの民泊物件を抱えている。その件数は2,800件を超えており渋谷区(2,178件)や台東区(1,151件)、港区(1,082件)を押さえて一位だ。

新宿区は国家戦略特区には指定されているが民泊条例の制定を行っていないことから、大田区や大阪府の一部、大阪市で可能な特区民泊制度を活用することはできない。

以上から新宿区で民泊を合法的に運営する場合、簡易宿所の営業許可を取得する必要がある。しかし新宿区旅館業法施行条例で、フロントについて、「宿泊者の利用しやすい位置に、受付等の事務に適した広さを有する玄関帳場を設置すること」が定められている。

また、建築基準法や消防法など関係法令にも適合させる必要があるほか、共同住宅の管理規約や賃貸借契約に反していないことや、近隣住民に迷惑をかけないためのルールの遵守が求められており、マンションの一室で簡易宿所の許可を取得することは事実上不可能だと言える。

《関連サイト》
無許可の宿泊営業は旅館業法違反です



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