【特集】宿泊界の巨人Airbnb、世界の常識を覆す「宿泊税回収」の新たなアプローチ

東京都や大阪府で宿泊する際に課される「宿泊税」、世界でも「滞在税」「客室税」など様々な名目で課されています。大阪府では2017年7月から特区民泊も課税の対象となりました。

日本での宿泊税の徴収は特別徴収制度が採られており、ホテル又は旅館の経営者が宿泊者から税金を預かりまとめて納入する必要があります。一方で民泊はもともとCtoCのサービスということもあり経理担当や財務部門を抱える組織であることは多くなく、特別徴収制度は民泊ホストにとって手間のかかる仕事になってしまっています。

そんな課題の解決に向けてAirbnbが推し進めるのが「税金の自主回収に関する契約」(Voluntary Collection Agreement、以下VCA)です。国や都市がAirbnbのVCAに合意すると、Airbnbが宿泊税を予約取引の一部として回収して、税当局に代理納付してくれます。

VCAにより、Airbnbホストは従来の納税プロセスから解放されるとともに、国や都市も税金の徴収にかかる負担を削減することができるのです。VCAはすでに世界200超の国や都市で合意されこれまで約120億円(1億1千万ドル)の税収入を回収し代理納付していることを発表しています。

 

「宿泊税」はAirbnbでどのように表示されるのか

さて、ここまでの記事がAirbnbがゲストから直接宿泊税を回収するプロセスについてご理解いただけたかと思いますが、実際のAirbnb上ではどのように表示され、どのように回収されるのかが気になるところです。

アムステルダム、ポートランド、サンフランシスコ、シカゴなど一部地域では、実際にAirbnbがホストの代理でゲストから宿泊税を自動的に回収し、税務署に納付しています。代理納付を行っているこれらの地域のリスティングページには「宿泊税」の項目が追加され、ホストの代わりにAirbnbが自動的に宿泊税を回収していることがわかります。

Airbnbによる宿泊税の代理回収が行われていない日本のリスティングでは、「宿泊税」の項目は表示されません。ただ、日本でも大阪府が日本で初めて特区民泊に宿泊税の課税を始めたほか、京都市も民泊への宿泊税導入の検討が進んでおり、近い将来日本でもVCAによる代理回収が行われる可能性もゼロではないでしょう。

 

地域社会に貢献するAirbnbの仕組み

AirbnbのVCAは宿泊事業者と地方自治体の双方にとって労力や費用を削減できるツールですが、ハワイやニューヨークなどの一部の地域ではAirbnbと税務当局がVCAを締結することを制限する法律が存在しています。

その一方で、シカゴやロサンゼルスではAirbnbによってもたらされた新しい税収の一部をアフォーダブル住宅(低家賃住宅)やホームレスの援助のために使用されることが決まっているほか、フランスやフロリダではディスティネーションマーケティングなど観光産業の促進支援に充てられているといいます。

Airbnbがはじめた宿泊税回収の新しいアプローチが世界中に広まり、たんに税収に貢献するだけではなく観光産業の促進など様々な支援に使用されることで、民泊はより人々に受け入れられるものになるかもしれません。