2016年7月、有志Airbnbホストによるホームシェアリングクラブ(Home Sharing Club)が東京で設立された。ホームシェアリングクラブとは有志ホストが団結し、地域社会に奉仕し、公正なホームシェアリング関連法の整備を推進するグループとなる。(詳細はこちら)
日本では、民泊新法で180日以下の営業日数上限が設定される見通しであるなど民泊に対する逆風が強まっており、このような動きに対して有志ホストが団結し現実的なルール作りを目指す運動を起こしていくものと見られる。
日本語化3年で日本国内物件数3万件へ
急成長を遂げる「民泊」、その火付け役ともなったのが「Airbnb(エアービーアンドビー)」だ。Airbnb(エアービーアンドビー)は、空き部屋を貸したい人(ホスト)と部屋を借りたい旅人(ゲスト)とをつなぐ。すでに世界190ヶ国34,000以上の都市で利用され、通算のゲスト数は4,000万人を超える。
Airbnb自体は2008年からサービスを開始しているが、日本語版の提供開始は2013年だ(写真は日本語開始当初のもの)。当時は日本国内でAIrbnbを知っている人はほとんどおらず、物件数も非常に少なかった。それからたった3年でAirbnbは東京都内で1万件、日本全国で3万件を突破するまでに成長した。
大半の掲載施設が無許可営業とも
個人宅の空き部屋であっても寝具を提供し宿泊料を受けて人を宿泊させる営業は、旅館業法の適用を受ける必要がある。旅館業を営む場合、旅館行法施行令で定める構造設備基準、都道府県の条例で定める衛生基準に従い、都道府県知事(保健所設置市または特別区にあっては、市長又は区長)の許可を得なければならない。
3万件を超える民泊が公開されているAirbnbであるが、その大半が旅館業法の必要な許可を得ずに営業されていると言われている。近隣住民などから保健所への問い合わせも増えており、保健所のチェックが入った段階で営業を中止するホストが後を絶たない状態だ。
「旅館業法順守に関する通知に係るフォローアップ調査結果の概要(厚生労働省)」によると保健所が行政指導した場合、「営業を取りやめた」354件(36%)がもっとも多く、多くの民泊物件が指導後に撤退する状況がうかがえる。
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Airbnbの正念場はここからか
日本では民泊の無許可営業が問題となっているが、世界ではホームシェアリングに対する規制強化を進める動きが出てきている。
Airbnbの地元であるサンフランシスコではAirbnbやHomeaway、VRBOなどの、短期貸し出しを行うサービスを規制する条例を6月に可決。
未登録で貸し出しを行ったホストの物件を掲載していた場合、違反物件1件につき最高1000ドル(10万円)の罰金が民泊サイトに科されることになる。この条例の施行に対し、Airbnbは通信品位法(CDA)の一部に違反しているとして市を提訴した。
日本では、民泊の新制度として民泊新法の検討が進んでいるが「180日以下」という年間営業日数上限が規定されるなど、民泊に対して逆風が吹き始めた。日本を含む世界で、民泊に対する規制強化の波が来ており、Airbnbは正念場を迎えている。
日本初のホームシェアリングクラブ設立
2016年7月、有志Airbnbホストによる「Home Sharing Club」が東京で設立された。Tokyo Home Sharing Clubとは、有志のAirbnbホストが集まり、公平でシンプル、現実的なルールづくりを目指す運動を起こしていくグループとなる。
Home Sharing Club自体は、ロンドンやサンフランシスコなど一部の地域ですでに始まっているグループであるが、東京でのグループ設立は、アジア初の取り組みになる。
Airbnbも世界各地で行政や自治体に対してホームシェアリングの必要性を訴えているが、ホスト自身がホームシェアリングの魅力を伝え、ホームシェアリングの未来を作る活動が日本でも始まった。