民泊の逮捕事例と多数発生する民泊の退去事例とは?

日本国内の民泊の物件数は3万件を突破するほどの人気を博しているが、厚生労働省が公開している「民泊サービスと旅館業法に関するQ&A」で記載のある通り、個人宅の空き部屋に旅行者を泊める民泊は「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」に当たる場合には、旅館業法上の許可が必要だ。

2016年に入り無許可民泊に続々と捜査のメスが入っている。今回は、民泊関連の摘発事例をご紹介する。

無許可民泊の摘発事例まとめ

日付場所詳細
2017年5月札幌無許可営業の民泊を行っていたとして、札幌市が開設する「民泊サービス通報窓口」に寄せられた情報をもとに722施設に対して営業中止を指導。
2017年5月大阪無許可営業の民泊を行っていたとして、大阪市が開設する「民泊サービス通報窓口」に寄せられた情報をもとに13施設に対して営業中止を指導。
2016年7月東京個人宅の空き部屋に旅行者を泊める「民泊」を旅館業法の許可を取得せずに営業したとして、旅館業法違反の疑いでP社(東京都港区)と同社子会社(同)の2社と、両社の役員ら男女6人が書類送検されたことがわかった。
2016年6月東京P社の子会社が運営支援を行っていた民泊ホストに対する旅館業法違反の被疑事件の一環で、同子会社にも警視庁による捜査が入る。この事件によりP社は民泊事業からの撤退を表明した。
2016年4月大阪大阪市で旅館業法の許可を得ずに旅行者を泊めた疑いで、女性と夫婦の計3人が旅館業法違反の疑いで書類送検。
2015年11月京都京都市右京区の賃貸マンションの44室中34室で、旅館業法の許可を得ずに観光客約300人を有料で宿泊させ、旅館業を営んだ疑いで書類送検。
2014年5月東京木造3階建ての自宅の1~2階部分にある3室(24.9m2)を1泊1人2,500~5,000円程度で旅行者に提供していた英国人男性(28)が旅館業法違反で逮捕、略式命令(罰金3万円)を受けた。

 

2017年5月 大阪市で722施設に営業中止を指導

大阪市は、今年3月末までに無許可民泊を行っていた722施設に営業を停止するよう指導したことがわかった。大阪市では民泊条例により昨年10月に民泊を解禁しているが認定件数は250室あまりで無許可民泊が多数を占めていた。

条例にあわせ民泊通報窓口を開設したほか、民泊の認定担当職員を2人から22人に増強しており、特区民泊の運用開始とともに無許可民泊の対策強化を行うことで合法化を促す。

《関連記事》大阪市、無許可民泊722施設に営業停止指導

 

2017年5月 北海道札幌市で13施設に営業中止を指導

民泊に関する苦情や相談を一元的に受け付ける「民泊サービス通報窓口」に寄せられた情報をもとに、同市は旅館業法の許可を得ず民泊の営業を行っていたとして13施設に対して営業中止の行政指導をした。

札幌市は4月から担当を増員しており、窓口に寄せられた情報をもとに今後は無許可民泊に対してさらに厳しい対応を行っていくものとみられる。

《関連記事》札幌市、無許可民泊13件に営業中止を指導

 

2016年7月 東京都台東区で民泊無許可営業の6名書類送検

個人宅の空き部屋に旅行者を泊める「民泊」を旅館業法の許可を取得せずに営業したとして、旅館業法違反の疑いでP社(東京都港区)と同社子会社(同)の2社と、両社の役員ら男女6人が書類送検されたことがわかった。

P社は2月16 日に民泊ビジネスへの参入を表明し、大阪府や東京都大田区で民泊条例が制定されたことを受けて、特区民泊の認定物件を利用した民泊の運用やリノベーションの提案業務、また民泊運営希望者へのオペレーション業務や清掃メンテナンス業務、運営代行業務などに取り組むことを発表していた。

《関連記事》東京台東区で民泊無許可営業の6名書類送検

 

2016年6月 上場企業が民泊撤退

2016年2月に民泊事業への参入を発表していたP社は、同社子会社が行う民泊関連事業に関する取組みから撤退することを発表。

民泊事業参入時には「法令に適合した民泊サービスの事業開発」として特区民泊の認定物件を利用した民泊の運用やリノベーションの提案業務、また「民泊関連サービスの開発」として民泊運営希望者へのオペレーション業務や清掃メンテナンス業務、運営代行業務など法令を遵守したサービス展開を目指していた。

撤退の理由として同社のプレスリリースでは、「2016年6月2日に、同子会社が運営支援等を行っていた運営者に対する旅館業法違反の被疑事件の一環で同子会社に対して警視庁による捜査(捜索・差押)が実施された」ためとしていた。

 

2016年4月 大阪市の民泊ホスト書類送検

個人宅の空き部屋などを旅行者に貸し出す「民泊」を無許可で営業したとして、大阪府警は4月26日大阪市の民泊ホスト3人(女・夫婦)を旅館業法違反の疑いで書類送検した。

女は2015年1月〜2016年2月まで、夫婦は2015年6月〜2016年2月まで、最大手民泊サイトを介して宿泊させていたとみられる。民泊の営業で、女は約450組から約840万円、夫婦は約300組から約450万円を売り上げていた。

うち1件は2階建ての一軒家の物件で、1階部分は、2段ベッド2台が設置されたドミトリーで、2階部分には個室の部屋4室がある。うち2階の個室3室には2段ベッドが1台ずつ設置されており、残りの1部屋はクイーンサイズのベッドが1台設置されていた。

《関連記事》【大阪市】民泊の無許可営業で摘発を受けた事例詳細

 

2015年11月 民泊業者が書類送検

2015年11月、京都府警生活経済課は旅館業法違反(無許可営業)の疑いで、東京都千代田区の旅行会社顧問の男性と、山形市の旅館業者役員の男性を書類送検する方針を固めた。

民泊に転用されていたマンションは全44室。そのうち36室について、山形市の旅行代理店が不動産管理会社と賃貸借契約を結んだ上で、上海の旅行会社が募集した中国人観光客2290人 の宿泊施設として利用していた。

7月に近隣住人から市に相談があり、市が旅行業者の役員の男性に説明を求めたものの「無料で貸している」と主張したとのこと。10月2日に行われたマンションの家宅捜索では計64人が宿泊しており、2人は市長の許可を得ずに、旅館を営んだ疑いが持たれている。

 

2014年5月 英国人男性が旅館業法違反で逮捕

2014年5月、木造3階建ての自宅の1~2階部分にある3室(24.9m2)を1泊1人2,500~5,000円程度で旅行者に提供していた英国人男性(28)が旅館業法違反で逮捕、略式命令(罰金3万円)を受けた。

この事例は、厳密にはAirbnbでの逮捕事例ではありません。男性は、Airbnbに登録していたわけではなく、物件の紹介サイトを運営。ホテル予約サイトにも登録し旅行者を集めていた。保健所は10回ほど男性宅を訪ね許可を取るよう求めたものの男性は従わず、その悪質性から逮捕に踏み切った。

 

Airbnbホストの民泊退去

国内物件数が3万件を超えるなど著しい成長を見せているAirbnbであるが、この数値は、あくまでも今現在の国内物件数だ。

Airbnbの認知度向上とともに近隣住人からの苦情通報が増えており、新宿保健所によると民泊に関する近隣住人からの苦情や通報を受けて調べた事例は、2014年に6年だったものが、2015年には22件まで増加している。(2015年10月までの数値)

 

Photo credit: Singing With Light via VisualHunt.com / CC BY-NC-ND



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