千葉市2区で「特区民泊」、早くて年内スタート

国家戦略特区に指定されている千葉市が、2017年中に「特区民泊」を利用した宿泊営業を検討していることが6月27日、分かった。市では滞在型観光の拡充を進めるため、特区を活用してマンションやアパートなどの空き部屋を積極的に活用していく。

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千葉市によると、「特区民泊」は同市の若葉区と緑区の2区のみを対象にする方針。同市は政令指定都市でありながら、両区に限ってホテルや旅館などの宿泊施設が手薄だ。両区は千葉県の名産品である落花生、サツマイモの収穫が盛んな地域で、収穫体験や作物を利用した加工品作りなどの体験型観光を展開している。現状では宿泊施設不足とあって、滞在型観光に限界があるのが実情だ。

市では若葉区と緑区のアパートやマンションなどの空き部屋の活用に着目。観光客らを滞在させることによって、地元への経済効果も期待もされる。「特区民泊」を利用できれば、自然や農業に親しむための滞在型観光を国内外へさらにアピールできる好機になる。

市では6月26日までに民泊ができるよう条例案をまとめた。市によると、7月3日から千葉市のホームページなどで、まとめた条例案を閲覧できるようにする。8月4日まで市民から意見を募りその結果を踏まえて、市議議会の9月定例会で条例案の審議に入る。順調に進めば、早くて2017年中にも「特区民泊」がスタートできる予定だ。

【特区民泊の主な制度】
・宿泊日数の最低は2泊3日から
・居室の床面面積は25㎡以上を確保できること
・台所、トイレ、浴室、洗面所などの生活できる設備があること

特区の場合、6月9に成立した住宅宿泊事業法(民泊新法)で定めている年間180日以内という宿泊上限の適用を受けない。事業ペースでの民泊はもちろん、通年での利用が可能になることから、さまざまな用途に利用できるメリットがある。

2020年には東京五輪・パラリンピックが開催され、インバウンド(訪日外国人)も増加の一途をたどる。しかし、都内や近隣自治体を含めて深刻な宿泊施設不足が挙げられている。千葉市は都内からのアクセスも悪くなく、JRや私鉄、地下鉄などで約1時間圏内の立地だ。

今回の「特区民泊」が利用できると、千葉県全体の活性化につながる可能性もある。県内には東京ディズニーリゾート(浦安市)、日本最大級のコンベンション施設・幕張メッセ(千葉市美浜区)もある。両施設の来場者による「特区民泊」の利用も想定され、波及効果にも期待がもたれる。

《関連サイト》(仮称)千葉市国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に関する条例(案)の概要について



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