東京都中央区、区内全域で民泊営業を土日営業のみに制限

東京都中央区は12月25日、住宅に旅行者を泊める「民泊」の営業を規制する民泊条例案を明らかにした。住居専用地域だけにとどまらず区内全域を制限区域とし土曜日正午のチェックインから、月曜日正午のチェックアウトの宿泊のみを認める。

同区は12月26日から1月17日まで骨子案に関する意見(パブリックコメント)を募集。来年2月に区議会に同条例案を提出し、同6月の条例施行を目指す。

来年6月に施行される住宅宿泊事業法を前に、中央区以外にも多くの自治体で独自条例を制定する動きが加速しているが、その制限区域は住居専用地域とするものが大半。中央区の素案では住居専用地域にとどまらず区内全域で制限をかける。

その理由について区は約15%を占める住居地域だけでなく、商業地域(約78%)や準工業地域(約7%)にも住宅があるためとする。

また、民泊事業者に対しては届出の7日前までに、説明会の開催等により周辺地域の区民に民泊事業の開始に関する周知が求められるほか、トラブル発生時に緊急駆けつけできる体制確保も求める。

《関連サイト》中央区住宅宿泊事業の実施に関する条例(素案)

 

民泊物件数 都内8位の中央区、区内全域で民泊規制

民泊のデータ調査を手掛けるメトロエンジン株式会社によると、中央区には東京23区内ランキングで8位にあたる約600件の民泊物件が掲載されている。ただ民泊物件数は前年同期比で5%減となっており、前年同期比30%増で約4,200件となる新宿区とは対照的な結果となった。

中央区はタワーマンションが多く乱立し一時期はマンション内で民泊の運営が行われることもあった。タワーマンションの民泊は訪日外国人の人気も高く一時期は増えたが、近隣住民とのトラブルもあり、ブリリアマーレ有明をはじめとするタワーマンションで民泊を禁止する管理規約の改正が進められていた。

中央区では区内全域で民泊の営業が土日に制限されることから、年間の宿泊可能な日数は、104日程度となる。住宅宿泊事業法では年間の半分となる180日までの営業が認められるが、中央区では約3か月のみの営業しかできない。

急増する訪日外国人客を背景に、政府は民泊を規定する新しい法律で昨今注目を集める民泊の拡大を狙ったが、中央区のように独自条例でさらに厳しい制限をかける自治体が多く骨抜きになりつつある。



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