国際ビジネス旅行協会(Global Business Travel Association)による最新の調査で、新型コロナウイルス感染症が世界でビジネス関連の旅行に影響を及ぼしており、会議や出張旅行のキャンセルが激増していることが明らかになった。
GBTAは、新型コロナウイルス感染症がビジネス関連旅行に与える影響を把握するため、3月上旬に会員企業にアンケートを実施、1千社以上から回答を得た。
調査結果によると、新型コロナウイルス感染症による出張の中止、または延期は、アジア諸国への影響が最も大きく、全体の3/4以上の企業が「すべて」または「大半」のアジアへの出張を中止したという。国別の割合は中国 95%、香港 87%、台湾 79%、その他(日本、韓国、マレーシア等;77%)。
この傾向は2月 24 日の前回調査から顕著に増加し、中止や延期は香港で 19%、台湾 46%、その他のアジア太平洋諸国71%と、それぞれ大幅増加した。
アジア以外での地域への出張の中止や延期も急増。企業が「全部」または「大半」を中止か延期した出張先は、欧州が 51%(前回調査8%)、北米は 18%(同2%)、南米 30%(同3%)、中東 47%(同8%)となった。
企業の 41% は地域を問わず、すべての海外への旅行を中止か延期したと回答しており、前回調査の7%から大幅に増加。国内の出張に関しても同様の傾向で、13%(前回調査2%)が全面的に中止または延期したと回答した。企業が3月に予定していた出張(世界の全エリア)の、新型コロナウイルス感染症による平均キャンセル率は 43% だった。
企業の会議やイベントは中止か延期相次ぐ
調査結果によると、新型コロナウイルス感染症により企業は予定された会議やイベント、カンファレンス等を新しい会場に移すのではなく、開催自体をキャンセルまたは延期することを決定しているようだ。
企業の 73% はイベント等の開催を「少し」中止したと回答し、30% は「多く」中止したと回答した。イベントを延期したかどうかでは、74% の企業が「少し」延期したと回答し、「多く」と回答したのは 26%、「ある程度」は 27% で、会議などの会場地を変更した企業は 29% にとどまった。
GBTA会員企業、特に航空会社やホテルなどでは、新型コロナウイルス感染症によって収益への影響を直に受けている。59% のサプライヤーは収益に「重大な」影響を、27% が「ほどほどの」影響があったと回答した。
また、新型コロナウイルス感染症を理由に出張方針を変更する企業も増えている。55%(前回調査43%)は新規に出張の承認手順を導入したと回答。さらに、62%(前回調査51%)が出張の安全性とセキュリティの方針を変更した。
「新型コロナウイルス感染症はビジネス旅行業界の収益に大きな影響を与えている。ウイルスは世界に広がり続け、出張は驚くべきペースで減少している。旅行業界および経済全体への影響は過小評価できない」と、GBTAのCOO、スコット・ソロンブリノ(Scott Solombrino)氏は述べている。