東京都内の主要18ホテルの6月の平均客室稼働率が、78.9%と前年同月比で1.9ポイント下落したと、8月29日付の日本経済新聞が報じた。2カ月連続で前年水準を下回り、理由として民泊の増加などが挙げられる。
日本経済新聞によると、稼働率80%以上のラインは、ほぼ満室状態で予約を取るのが難しい数値。今回の調査では主要ホテル18施設中10施設で、80%を切る平均客室稼働率になったという。観光庁の2017年6月の宿泊旅行統計調査によると、都内のシティホテルの客室稼働率は79.7%で、こちらも満室基準の80%を下回っている。インバウンド(訪日外国人)は引き続き、高水準で推移している。
ホテルオークラ東京(港区)は80.7%だったが、前年同月比で1.3ポイント下がった。京王プラザホテル(新宿区)は75.9%で同4.2ポイント、品川プリンスホテル(港区)が84.1%で同3.7ポイント、ロイヤルパークホテル(中央区)が77.7%で同1.4ポイントそれぞれマイナスとなった。
民泊の稼働率は70%を超える
ホテルが苦戦する中、着実に成長しているのが民泊業界だ。民泊のビックデータを扱うメトロエンジン株式会社によると、6月の都内の民泊施設の平均稼働率は70.9%※(メトロデータ)という。都内の民泊施設も急激な増加を見せている。2015年に6,000件だった民泊施設は2年で→2016年で16,000件※を超えるまでに成長した。(※稼働していない物件を除外した実稼働ベースの物件数)
2018年6月をめどに住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行される。このため、民泊参入がさらに加速し2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて、さらに物件数が増加すると予想する民泊関係者も多い。
政府もインバウンドのさらなる獲得に向けて積極的だ。2016年のインバウンドが過去最多の2,400万人を突破したことを受け、20年が4,000万人、30年が6,000万人と目標を大幅に上方修正している。
都内のホテルは、需要に合わせた料金変動でインバウンド客を中心とした繁忙期や大イベント時に、宿泊料金が数倍にもはね上がるなど、使いづらい側面もある。民泊はホテルに比べてリーズナブルな料金に加え、ホテル並みに設備やアメニティも充実してきたほか、大人数で宿泊できるなどのメリットも多いことが人気の一つだ。