東北初、新型コロナウイルスの影響で旅館倒産 福島県の田村屋旅館が民事再生法申請

福島県猪苗代町の沼尻温泉にある田村屋旅館が3月6日に、福島地裁会津若松支部へ民事再生法の適用を申請し、同日保全・監督命令を受けた。帝国データバンクによると、負債総額は4億 2000 万円で、新型コロナウイルスの影響による東北地方初の倒産となる。

田村屋旅館は、1886 年(明治 19 年)3月に創業した老舗旅館で、1964年(昭和39年)4月に法人改組。鉄筋コンクリート4階建、客室 40 室、宿泊人員 250 名の旅館で、400 名を収容できる会議室もあり、沼尻温泉内の宿泊施設としては最大規模を誇っていた。

同旅館は、2011 年 3 月 11 日に発生した東日本大震災と福島第一原発事故の影響により、震災前まで利用が多かった学生団体や近年力を入れていた外国人観光客が激減。売上高は震災前の半分以下まで減少していたという。

インターネットでの集客への注力や日帰り入浴客のリピート利用の増加に取り組んだが、客足は回復せず、2019 年 6 月期の売上高はピーク時の約3分の1まで減少。

さらに、暖冬によるスキー客の減少に加えて新型コロナウイルスによる感染症が蔓延したことで訪日客や利用客が大幅に減少し、事業継続と借入返済を同時並行で行うことができないと判断し、今回の措置となった。

新型コロナウイルス感染症によるホテルや旅館業界の倒産は、今後も増えていく可能性がある。今年2月には愛知県の西浦温泉にある旅館「冨士見荘」を運営する株式会社冨士見荘が事業を停止。

同旅館は、中国人向けツアーの受け入れに注力していたたが、新型コロナウイルスの影響で中国政府が団体旅行を禁止したことで、中国の団体ツアーを中心にキャンセルが相次ぎ、事業継続を断念していた。



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