3月10日に政府が閣議決定した住宅宿泊事業法案(民泊新法案)について、京都市の門川大作市長は15日、市議会予算特別委員会で「集合住宅で管理組合が許可しない民泊は、京都の街になじまない。条例をつくる場合には工夫が要る」と述べた。マンションなどの集合住宅では民泊物件が増えすぎないよう、規制を慎重に決定する必要がある考えを示した。
民泊新法案では、住宅を貸し出したいと考えるホストは届出を行うだけで民泊の営業が可能となる。しかしあくまでも「住宅」としての位置づけになるため年間の上限日数は180日となる上に、地域の実情にあわせた形で実施が制限させる可能性も高い。
つまり条例によって30日や60日といった形に日数制限することも可能とはなるが、国交省は「ゼロ日」というような事実上民泊を締め出す条例は認めない方向性とはなっている。
門川市長は民泊新法案について「無許可営業の施設への立ち入り検査や営業停止命令の権限が入ったことは前進である」と評価した一方「住民と旅行者、双方の安心安全という面では、まだまだ課題が残る」と明確にすべき課題が多いことを強調した。
具体例としてマンションなどの集合住宅を挙げ「本人確認などの業務を担う人がいない民泊物件では、住居として価値を下げる可能性がある」などと指摘。規制の更なる強化が必要である考えを示した。
現段階で近隣トラブルが多数起きていることもあり、藤田裕之副市長は「近所に迷惑がかからないようなルールは定着させる必要がある。要綱、条例に明記したい」と述べた。
これまでも京都市は、民泊に関して慎重な構えをとってきた。無許可民泊が市内でも広がっていることを受けて、京都市は全国に先駆けて民泊実態調査を実施し無許可施設に対しては営業中止を指導するなど厳しく対処。
さらに全国で初めて民泊に関する相談や苦情を一元的に受け付ける「民泊通報・相談窓口」を開設するなど無許可民泊のあぶり出しに力を入れている。
民泊新法については、騒音問題やゴミ問題による観光地としての価値低下を懸念し、厚生労働省に営業場所や日時を自治体が独自に規制がとれるよう、要望書を提出。
国の方針では「住宅専用地域」での開設可否のみを地域の判断に委ねるというものになっていたが、民泊に関わる制度全体について地域の実状に応じた民泊の運用を認めてほしいとしていた。
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