【日本初】京都市、全ての宿泊施設にバリアフリー化を義務付ける方針を発表 「悪い施設の抑制」狙う

京都市は、全国で初めて市内で新設されるホテルまたは旅館業等の宿泊施設に対して、原則バリアフリー化を義務付ける方針を明らかにした。

京都市では訪日外国人観光客の急増で交通渋滞が慢性化するなど「観光公害」(オーバーツーリズム)が問題となっているが、市民生活との調和を最重要視した持続可能な観光都市の実現に向けた新たな取り組みを行う。

地域との調和に向けた取り組みとして、現行の手続きよりも早い段階からホテル事業者と地域とがお互いに意見や考えを伝え合い、協議を行う仕組みを構築。全ての宿泊施設を対象に、宿泊施設の急増等により地域との調和が課題となるエリアで運用する。

宿泊施設が集中する東山区や下京区などのエリアでは、現在でも建物の高さや床面積に応じて、営業許可や建築確認の申請前に住民説明の実施が必要だが、新制度では施設の構想段階での住民説明を義務付け、事業者と地域住民とのあつれきが生じるのを防ぐ。

宿泊施設の質の向上に向けた取り組みとして行うのが、バリアフリー化のさらなる充実化だ。京都市では、京都市建築物等のバリアフリーの促進に関する条例において、宿泊施設に対して道路から全ての客室の入口までのバリアフリー化を求めるバリアフリー基準を定めている。

これまでの基準では、ホテルの入口や廊下、共用の便所や浴室など宿泊客が共通して利用する場所が主な対象となっていたが、新制度では一般客室に入ってベッドに行くまでの間の通路についても車イスや介助者の方が通れる幅を確保するなど、一般客室の内側(通路,トイレ,バスルームの扉など)にまで踏み込んだ新たな基準を定める。

また、全国発となる全ての宿泊施設を対象にしたうえで,和室・洋室・和洋室などの特性に応じた基準を設けるなど京都ならではの運用も行う。

住宅宿泊事業法に基づく民泊は、年間上限 180 日の営業日数制限のもとでの住宅用途としての使用されるものであり、かつ、京都の厳しい独自ルールが適用されていることから、新制度の対象からは外し、建築基準法の建物用途のうちホテル又は旅館を対象とする。

門川大作市長は1月6日の記者会見で「条件の悪い施設の抑制につながる」と新制度について述べた。今回の新ルールについては 2020 年度に制度設計し、条例改正などを踏まえて 2021 年度中の実施を目指す。

宿泊施設のバリアフリー化の充実(イメージ)



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