京都市、2017年度から無許可民泊の指導迅速化へ

京都市は無許可民泊への指導を2017年度から迅速化することを発表した。

民泊については、インターネット仲介業者を経由しハンドルネームでのやりとりが主流になっていることもあり、営業者の特定が難しく特定作業は難航しているのが現状だ。そこで京都市は、既に調査ノウハウを持つ民間業者に調査を委託することで特定作業の効率化を図り、市職員には営業の許可や停止命令といった本来の業務に特化できるようにする。

住宅を宿泊施設として利用する「民泊」は、すでに日本国内に48,000件以上の物件数があり訪日外国人の宿泊先として注目されている一方、騒音問題やゴミ問題を孕んでおり、既に多くの近隣トラブルが発生している。

特に京都市は以前から無許可民泊問題を重く見ており、無許可の民泊業者が横行することによる騒音問題やゴミ問題の発生について難色を示していた。日本有数の観光地として、イメージを損ねる恐れがあるとし、厚生労働省に営業場所や日時を自治体が独自に規制できるよう要望書を提出している。

今回京都市は、民間業者への調査委託費として1880万円を2017年度予算案に計上した。5月には調査を委託する民間業者の公募にて決定し、年間約2700件の施設を調査予定だ。またインターネット上だけの調査ではなく、実際に現場に出向くことで営業者の特定につなげる。

また今回の迅速化に伴い、11区役所に分かれて配置されていた旅館業法に基づいた指導が行える市職員90人を、4月から市役所本庁舎近くの民間ビル一箇所に集約させる。民泊の特性上、市の中心部や観光地近くに偏在していることから、無許可民泊施設がより集中するエリアを把握し、重点的に指導していく目的だ。

民泊のデータ解析を手掛けるメトロデータ(メトロエンジン株式会社)によると、2017年1月時点で京都市内には3,920件の民泊施設があり、行政区別では下京区で936件、次いで中京区655件、東山区596件、左京区370件と続く。

すでに京都市では民泊に関する苦情・通報などを受け付ける「民泊通報・相談窓口」に寄せられた976件の通報に基づき、延べ1,127回の現地調査を実施。うち148施設について、営業を中止させるなどの厳正な対応を行ったことを発表していた。無許可民泊の指導迅速化により京都市の無許可民泊はさらに厳しい状況に置かれることになりそうだ。

今国会に提出された「民泊新法」(住宅宿泊事業法)と改正旅館業法の法案では、民間業者には事前にトラブル防止策の義務付けるとともに、各都道府県と政令市には立ち入り検査や営業停止処分命令の権限が付与される予定となっている。

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