京都市は2015年からスタートしていた「京都市民泊施設実態調査」の調査結果を発表。この調査結果の中で、民泊の無許可営業が把握できた施設に対しては「旅館業法,消防法,建築基準法上の観点から,適正化に向け強力に指導」するとしている。
京都市は、2015年11月に、観光や衛生、消防などの担当職員で構成された「民泊」対策に特化したプロジェクトチーム(「民泊」対策PT)を発足。4月には産業観光局と保健福祉局のそれぞれに宿泊環境整備や民泊対策を担当する課長,係長を新設し体制を強化し、実態調査を行っていた。
2016年1月の「民泊」実態調査の中間報告では、最大手の民泊仲介サイトである「Airbnb(エアービーアンドビー)」に2,542件(宿泊可能人数1万428人)が登録され、うち54%はマンションの一室を貸す「貸切」タイプで提供されているなどの中間報告が発表されていた。
全体のうち68%が無許可営業
京都市が発表した調査結果によると、市内には2,702件の民泊施設があり、無許可と思われる施設は1,847件(68.4%)と推測されるとしている。所在地の特定ができた施設のうち,旅館業の許可が確認できたものは189件(7%)であり、最大で93%が無許可営業であるとみられる。
ほぼ半数の所在地を特定
調査結果では、2,702件の全施設のうち、46.6%にあたる1,260件の無許可民泊の所在地を特定したと発表。無許可営業が把握できた施設に対しては、「旅館業法,消防法,建築基準法上の観点から,適正化に向け強力に指導」するとみられる。
また本調査で所在地が特定できなかった施設についても、民泊仲介サイト運営事業者に対し情報提供を求める要請文書を市長名で出す(Airbnb Japan株式会社に対し,平成28年4月22日送付済み。)など、引き続き所在地の特定を進めるようだ。
京都市での無許可民泊は限界へ
以前から指摘されているように、京都市は全国で唯一、民泊対策チームを立ち上げて無許可の民泊営業に目を光らせている。今回所在地が特定されてない1,400件の民泊施設に関しても、非常に厳しい環境下に置かれていることは間違いない状況だ。
一部のインターネットサイトでは、京都市の無許可民泊の譲渡案件の募集も行わるなど自主的に撤退するホストも増えているようだ。一方で、京都市は訪日外国人から人気の高いエリアであり、ホテルも少ないことから需要は高い。今後民泊への参入を検討している事業者は、旅館業法の許可を取得して運営するのが得策と言える。
なお、無許可営業の把握方法としてもっとも多いのは、近隣住民あるいは宿泊者からの通報となっている点も見逃せない。
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