民泊に代表されるシェアリングエコノミーに関して、政府が課税を強化する方針であることを9月9日付の朝日新聞が報じた。民泊では仲介業者に対し、取引情報の提供を義務付けることなどを検討。個人間のやり取りで把握しづらい収入の流れを明確にする。
朝日新聞によると、9月下旬に開かれる政府税制調査会で議題に挙げ、有識者らによる議論を深めていくという。2018年4月以降の税制改正で導入する方向で調整している。
課税強化の背景には、2018年6月をめどに住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行されることがある。現状でも個人・法人を含めた民泊事業の参入が増加しているが、大幅な規制緩和となる民泊新法の施行に合わせ、さらに多くの個人・法人が事業に参入することが想定される。政府では民泊新法施行前に、課税に対する基本スキームを策定し、税金を収納できるシステムを構築することを狙うとみられる。
民泊の場合では、宿泊料金のやり取りは民泊仲介サイトを介して行われるため、ゲストとホストが直接、やり取りを行うケースはない(民泊仲介サイトの多くが直接取引を禁じている)。このため、民泊事業者の収入の流れを政府や行政機関が正確に把握しづらいのが実情だ。
民泊など個人の副業的な収入は、20万円未満なら確定申告の必要がなく納税義務は生じないが、20万円を超える場合は副業の場合でも確定申告を行う必要がある。また課税売上が1000万円を超えると、消費税の納付義務が生じる。しかし民泊サービスの提供は民泊仲介サイトを介して個人間で行われるため、収入の流れをつかむのは困難だった。
Airbnbは、「ホストの責任」内で「売上にかかる所得税および消費税など、都市によっては宿泊税等について、予めご確認いただくとともに、納税(確定申告を含む。)について十分な確認をしてください。」とホストに対して確定申告の必要性についての注意を促している。
民泊ホストの間でも確定申告の必要性に関する認知は広がっており正しく確定申告を行うホストもいる一方で、確定申告に対する認識が甘いホストも一定数はいるとみられる。
民泊新法の施行で民泊の物件数は今後さらに増加すると予想されるが、法体系や課税基準に関する今後の明確なルールづくりと周知が、健全な民泊運営に不可欠になってきそうだ。