東京都大田区は、個人宅や空き部屋を旅行者に対して貸し出すAirbnbなどの「民泊」を認める民泊条例を制定することを先日明らかにしましたが、イマイチよくわかっていない方もいらっしゃるのではないでしょうか?
大田区で民泊条例が制定されれば、大田区であれば自由勝手に民泊をやってもよいと思っていらっしゃる方もいるかもしれません。
今回は、東京大田区で制定されることになった民泊条例とはなんなのか、そのメリットとデメリット、そして気をつけるべきことについてご紹介をしていきます。
民泊とAirbnbとは?
民泊とは、個人宅や空き部屋を旅行者に対して貸し出すことで、特に世界的に有名なサービスとしては「Airbnb」があります。
Airbnbは日本ではまだまだ全然普及していませんが、創業の地であるアメリカを中心に世界190ヶ国34,000以上の都市で利用され、通算のゲスト数は4,000万人を超えるほどのマンモスサイトです。
日本においては2013年に開始された日本語化とともに口コミでも徐々にユーザーに受け入れられ、今では1万6千軒以上のお部屋が登録されています。
昨今の円安により日本人を訪れる訪日外国人は急激に増えており、大田区の2014年のホテル稼働率は91%とほぼ満室。
当然、連休ともなると、東京のホテルはほぼまったく取れないという状態にまで逼迫しています。
2020年の東京五輪を控えて、さらに訪日外国人が増えることが予想される中で、宿泊施設の不足という問題は、非常に大きな課題となっていました。
東京都大田区の民泊条例とは?
今後予想される宿泊施設の不足という大きな課題に対する対策として、個人宅や空き部屋を宿泊施設として活用する「民泊」を一定の条件下で認める民泊条例を東京都大田区が制定する方針であることを発表しました。
「民泊」、特にAirbnbは日本国内ですでに1万6千軒以上の物件登録もされ、Airbnb日本法人も設立され事業を始めていますが、法的問題(主に旅館業法)が完全にクリアされているかというとそうではありません。
旅館業法では、「(1)宿泊料を受けて、(2)人を宿泊させる(3)営業」のことを「旅館業」と定義しています。
「(1)宿泊料を受けて、(2)人を宿泊させる」という観点では、Airbnbは、ゲストから宿泊料を受けて、寝具を提供してゲストを宿泊させることから該当せざるをえないでしょう。
しかし、Airbnbの場合、個人が個人宅を貸し出していることもあり、ただちに(3)営業活動に該当するかというと非常にグレーです。
そこで政府は、2014年4月に、「国家戦略特区」で個人宅や空き部屋を旅館業法の適用除外対象として訪日外国人向けに貸し出すことが可能になる「特区」を設定することになりました。
「特区」の対象は「東京圏」(東京都、神奈川県、千葉県成田市)と「関西圏」(大阪府、兵庫県、京都府)、沖縄県、兵庫県養父市、福岡県福岡市 で、詳細な規定については自治体ごとに条例を制定する必要があります。
しかし実際に条例が成立した自治体はなく、国家戦略特区が活用されない状態が続いていました。
このような状況下で登場したのが、今回の民泊条例制定の件なのです。
では大田区で日本発となる民泊条例が制定された場合、大田区であれば、「民泊」を好き勝手やってよいかというとそういう意味ではないので、注意が必要です。
大田区全域で「民泊」ができるわけではない
ニュースを見る限り、大田区全域で「民泊ができる」と誤解しそうな表記になっていますが、実際は異なります。
旅館業法の特例を受けて事業をしてもよいと定める地域は、以下の外国人滞在施設経営事業の実施可能地域のみに限られます。
つまりこの区域外で「民泊」を実施した場合は違法行為となります。
旅館業法の適用除外条件がある
国家戦略特別区域法では、すべての物件が申請さえすれば旅館業法の適用除外になるとはしておらず、以下に記載した基本条件をすべて満たしている物件に限り、旅館業法の適用除外申請を行うことで、旅館業法の特例を受けることができるようになります。
ただし、先ほどもお伝えしたとおり詳細規定は条例で制定されることになっており、原則これらの基本条件に追加で各自治体ごとのローカルルールが上乗せされる見込みとなります。
ただ、7日以上の宿泊期間が必要な点であるなどは、実際に即していない面もこちらは、各自治体ごとに制定される条例の中で緩和処置を検討してもらいたいものです。
民泊条例のメリットとデメリットとは
では民泊条例は結局のところメリットなのかデメリットなのか?につきると思います。
★メリット
・グレーゾーンではなくホワイトに事業ができる
・訪日外国人急増による宿泊需要を一気にカバーできるようになる
★デメリット
・国家戦略特別区域法の適用除外条件の一部が実態に即していない
・外国人滞在施設経営事業の実施可能地域以外では事業ができなくなる点
結局のところ、まだ条例が制定されたわけではないので、なんともいえません。
ただ今の流れとしては「民泊」はすべて旅館業法に沿った営業を行う必要があるといった最悪なケースにはなりそうにはなく、適用除外として認める方針であるという方向性で進んでいる点については非常によい流れになっているのではないでしょうか?
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