住宅宿泊事業法(民泊新法)が 2018 年 6 月に施行されて以降、毎月増加を続けてきた民泊(住宅宿泊事業)が 2020 年 6 月も純減となり、初めて 2 か月連続の減少に転じたことが観光庁の公表資料で明らかになった。感染拡大による影響が民泊市場にも深刻な影響を与えている。
届出件数から事業廃止件数を除いた民泊住宅数は、5 月 11 日時点で 20,766 件で、5 月 11 日時点の 21,176 件から比べると約1%減少した。事業廃止の届け出はこの 1 カ月で 15% 増の 5,458 件に上っており、増加スピードは速まっている。
民泊は、個人が旅行者らに貸し出すもので、インバウンド市場の成長を追い風にAirbnb(エアービーアンドビー)などの民泊仲介サイトが市場の成長を牽引してきた。
2018 年 6 月に住宅宿泊事業法が施行されたあとは、年間最大 180 日という上限はありつつも自治体に届出を行うことで民泊営業が可能になったことに加えて、訪日客の増加も相まって法人・個人を問わず民泊の届出数は毎月増加。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、2020 年 4 月の訪日外国人客数は前年同月比 99.9% 減の 2900 人にまで減少。また、政府による緊急事態宣言の発令を受けて、国内旅行も減少したことで、民泊市場も大きな影響を受けた。
都道府県別では、北海道で大幅に減少 38都府県は横ばいか増加
全国の民泊(住宅宿泊事業)は、2020 年 4 月をピークに 2 か月連続の純減に転じているが、都道府県別では違った状況が見えてくる。届出住宅数がピークだった 4 月時点と比べて減少率が大きかったのは、14% の北海道で 2,991(2020 年 4 月)から2,616(2020 年6 月)にまで減少した。
届出住宅数が最も多い東京都(2020 年 6 月:7,518)は、1.4% 減にとどまった。届出住宅数が全国 3 番目に多い大阪府(2020 年 6 月:2,498)は、8.8% 減だった。
一方で、全国 38 都府県では、届出住宅数が横ばいか増加しており、北海道や大阪府での減少が全国の数字を押し下げている実態が明らかになった。