民泊マンション続々登場! シノケン、京王電鉄など

国家戦略特区を活用してマンションの空き部屋などに旅行者を宿泊させる特区民泊の開始から1年。ここにきて1棟まるごと民泊に対応させる民泊対応マンションが増えてきた。

マンションの空き部屋などに旅行者を宿泊させる特区民泊は、2016年1月29日に東京都大田区で全国で初めてスタートし、10月には大阪市で開始。大阪府の一部、北九州市も含めると全国での認定件数は200室を超える。

2017年2月に京王電鉄が鉄道業界で初めて民泊マンションの営業を開始。3月には不動産管理会社の宅都ホールディングスが賃貸マンションとして建築された不動産をコンドミニアム型ホテルとして運用をスタート。4月にはシノケングループが民泊に対応した投資用アパート、投資用マンションの分譲を開始した。

全国的に民泊を解禁する民泊新法を来年に控えるが、大手企業は現時点でも合法的に民泊を運営できる特区民泊や簡易宿所などで民泊対応を加速する。

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シノケン、民泊専用マンションの販売開始

アパート・マンションの販売事業や不動産賃貸管理事業を手がける株式会社シノケングループは4月、民泊に対応した投資用アパート、投資用マンションの分譲を開始したことを発表した。

シノケンは、おもに個人投資家向けにコンパクトでハイクオリティな投資⽤マンション販売を主力事業としてきたが、昨今の民泊需要の高まりを受けて民泊に適合した民泊対応物件の開発を進めており、早くて5月から民泊の営業が行われる予定だ。

シノケングループが販売する民泊対応物件はこの特区民泊を活用した合法民泊物件となるため、民泊対応物件の所在地は東京都大田区と大阪市となる。

特区民泊は、2016年1月29日に東京都大田区で全国で初めてスタートし、10月には大阪市で開始。大阪市は、開始当初こそ伸び悩んだがその後は月間二桁ペースで認定件数を増やしその数は約100室に達した。

民泊新法では年間の営業日数は180日以外に限られるが特区民泊であればその心配はなく1年中貸し出すことができる。シノケングループは本プロジェクトを横展開させる形で民泊対応物件を増やすと見られる。

 

京王電鉄、民泊マンション「KARIO KAMATA」

京王電鉄株式会社は、2月より大田区蒲田で一棟まるごと民泊マンション「KARIO KAMATA」をオープンし、民泊事業に参入することを発表した。この民泊は特区民泊として大田区から認定を受けて行う合法的な民泊事業で、鉄道業界初の取り組みとなる。

合法な民泊サービスを展開する株式会社百戦錬磨と資本提携し、京王グループの不動産・ホテル事業のノウハウと百戦錬磨の子会社(とまれる株式会社)が運営する民泊の予約仲介サイト「STAY JAPAN」など相互の民泊関連業務の強みを活かしながら、年々増加傾向にある訪日外国人や国内の多様化する宿泊ニーズに対応していくという。

「KARIO KAMATA」は、地下1階地上6階建ての全14室で”1K(¥11,000/泊)”、”1LDK(¥20,000/泊)”、”2DK(¥21,000/泊)”の3タイプからなり、6泊7日以上の中長期滞在者向けのファミリー層やグループ利用など、多くのニーズに対応した施設となっている。立地も京急蒲田駅から徒歩4分、JR蒲田駅から徒歩7分で羽田空港や品川駅へのアクセスも良く利便性にも定評がある。

将来的には沿線活性化の手助けとなる事業と位置づけ、今後も民泊マンションを核とした民泊のエリア展開を進め、京王沿線における空き家対策やまち づくりにも活用し、沿線のさらなる活性化を図っていくという。

 

不動産管理会社がホテル・民泊事業に参入

東京と大阪を中心に不動産の募集と管理を手掛ける宅都ホールディングスは賃貸マンションとして建てた不動産をコンバージョンしコンドミニアム型ホテルとして運用を開始すると発表した。計画中のものも含めると6箇所で宿泊施設を運営する計画で、特区民泊だけではなくホテル・簡易宿所の許可を取得した上で民泊の運営を行う。

なお1棟目となるのはもともと居住用として建てられた全42戸15階建てのマンション(大阪市天王寺)。全室にキッチンや洗濯機を備えていることから民泊として貸し出す。

民泊運営に必要な清掃やゲスト対応などの運用・マネジメントはすべて同社が行う予定で、民泊やホテルの運営を通じて蓄積したノウハウと運用実績をもとに投資家そしてオーナー向けのコンサルティングや管理代行事業を行っていくという。

 

民泊マンションと管理規約

自分や家族しか住まない戸建てとは異なり、マンションでは年齢や職業、習慣や価値観が異なる人が何人も住んでいる。何もルールを設けなければ夜中に大きな音を出したり、犬などのペットを飼育するなどして近隣トラブルが起きてしまう。

マンションに住んでいる人全員が快適かつ安全に生活できるように、ルールを定めたのが「マンション管理規約」である。

民泊では不特定多数の人が出入りすることから不安に思う人も多く、東京や大阪などの大都市を中心に管理規約で民泊を禁止するところも増えてきている。一方で、民泊専用マンションであれば、民泊専用に貸し出されていることから近隣トラブルが発生する可能性はゼロではないが非常に少ない。

集合マンションのうち一部を民泊で運用することも不可能ではないが近隣住民にはメリットがないため理解を得るのは難しい。その一方で、1棟まるごと民泊のみの民泊専用マンションであればその心配はなく1棟タイプでの民泊マンションは今後もさらに増えていくと予想される。



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