所定の物件・運用方法であれば旅館業法の許可を受ける義務を負わないことを確認する行政訴訟「民泊訴訟」が、12月6日マンションオーナーの弁護士によって提起された。
「民泊」はテレビドラマでも放映されるなど注目を集めている。民泊ブームのきっかけになったのが米国発のマッチングサービズAirbnb(エアービーアンドビー)だ。Airbnbとは、空き部屋を貸したい人(ホスト)と部屋を借りたい旅人(ゲスト)とをつなぐWebサービス。
すでに日本を含む世界190ヶ国34,000以上の都市で利用されており、日本でも3万件以上の物件がAirbnbに掲載されている。
しかし民泊は、民泊条例を制定した東京都大田区や大阪府大阪市など一部の自治体以外では、旅館業法に基づいた許可を得ることが必要で、Airbnbなどの民泊仲介サイトを利用した「無許可民泊」が広がっているのが現状だ。
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Airbnb訪日客300万人を突破も
無許可民泊が広がっている現状はあるが、民泊世界最大手のAirbnbを利用した訪日外国人数は非常に大きい規模にまで拡大している。Airbnbは2016年1~10月の累計Airbnb利用者が300万人を超えたことを発表。
10月末で訪日外国人観光客の数は2,000万人を突破しており、約10%がAirbnbのサービスを使って日本に滞在していたことになる。
2015年の年間での利用者は約130万人であり、2016年10月現時点で既に前年比2.3倍の水準を記録。法律上の課題は抱えている一方で、Airbnbの利用者は急成長を遂げ多くの旅行者に受け入れられている状況が伺える。
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民泊は、旅館業法上の許可が必要?
厚生労働省の民泊サービスと旅館業法に関するQ&Aによると、「人が自宅や空き家の一部を利用して行う場合(民泊サービス)であっても、『宿泊料を受けて人を宿泊させる営業』に当たる場合には、旅館業法上の許可が必要」だと記載されている。
実際に無許可民泊に対する規制を強化する京都市では、旅館業法の許可を取得せずに民泊の営業を行っていた148件の民泊施設に営業中止などの指導も行われてる。
会見の中で、石原弁護士は「規制が適用されるべき民泊と、そうでないものがあるのではないか」という考えを持ち、保健所に相談に行ったところ、旅館業法の許可が必要だと言われ、民泊訴訟の提起に至ったという。
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民泊サービスと旅館業法に関するQ&A
解釈見直しにつながる可能性も?
政府は、シェアリングエコノミーの特性にあわせた「民泊営業」を規定する新しい法律「民泊新法」を2017年通常国会に提出する方針だ。
また国家戦略特別区域法に基づく旅館業法の特例制度を活用した特区民泊も2016年にスタートし、広がりを見せる民泊に対する法整備が進む。
昨今、民泊=違法というレッテルが貼られがちであるが、民泊訴訟を機に解釈の見直しにつながる可能性もあり今後の動向から目が離せない。