4月22日に開催された「民泊サービス」のあり方に関する検討会の中で、無許可営業の把握件数が前年の7倍に急増していることがわかった。
個人宅の空き部屋などを旅行者に貸し出す「民泊」は非常に広がりを見せており、民泊仲介サイト最大手のAirbnbでは国内で現在3万件(2016年3月時点)以上の部屋が貸し出されている。
しかし個人宅を活用する場合であっても、宿泊料とみなすことができる対価を得て人を宿泊させる業を営む者については、旅館業法第3条の許可を取得する必要があり、周知の徹底が急がれていた。
無許可営業の事案把握方法としては、「近隣住民・宿泊者等からの通報」434件(44%)がもっとも多く「保健所における巡回指導等」342 件(34%)が次に続く。
無許可営業の事案把握件数が急増した理由としては、「民泊」の件数が増加しているのに加え、昨今「民泊」が連日テレビや雑誌などで取り上げられ認知されてきたことが影響していると考えられる。
指導状況では、「営業を取りやめた」354件(36%)がもっとも多く、指導後に撤退している。一方で、「営業許可を取得した」のは35件(4%)にとどまり、営業許可取得のハードルの高さを反映する結果になった。
無許可営業の特定が困難な理由
指導状況のうち全体の22%(220件)を占めているのが「調査中(所在地や営業者が不明であるもの及び営業者と連絡が取れないもの含む)」だ。このように「民泊」の実態調査を難しくしている理由の一つにあるのが、民泊施設の特定が困難であることが挙げられる。
ホテルや旅館などの宿泊施設の場合、住所を記載し宿泊者を募ることが一般的なのに対して、民泊施設が掲載されている民泊仲介サイトには各民泊施設の住所が公開されていない。
上図は、民泊仲介サイト最大手Airbnbで公開されている新宿エリアに存在するある部屋の所在地を表した地図であるが、ご覧になると分かる通り、おおよその場所の表示にとどまっている。
正確な住所は、支払いが済んだあとにゲストに通知される仕様になっており、これが特定を困難にする一つの理由になっている。
Photo via Visual Hunt