大阪のミナミで、無断で民泊の運営をしていた会社が、その部屋の所有者から訴えられていた問題で、和解が成立したことが産経新聞の取材で1日明らかになった。部屋の所有者である男性は当初、自分が所有している部屋で民泊が無断運営されていることを知らず、騒音問題で隣人が退去せざるを得ない状況にまで進展。
民泊の影響で隣人が退去せざるを得なくなったとして、貸借人側に隣人の引っ越し費用など約140万円の損害賠償を求めていた。大阪地裁は、賃借人側に解決金70万円を支払うように命じ、5月26日付で和解が成立した。
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訴状などによると、原告の男性は、平成28年2月、大阪市浪速区に所有するマンションの一室(約41㎡)を京都市の飲食店経営会社に月10万5千円で貸し出し。賃貸借契約では、その部屋の使用目的を住居に限定しており、又貸しを禁止する旨も明示されていた。
それにもかかわらず、飲食店経営者は、男性や大阪市にも無断で、この部屋を民泊用の部屋として使用。騒音問題が明るみに出て、男性から民泊目的での利用をやめるように求められても、既に民泊利用者の予約が入っているという理由で、所有者の男性の言葉に耳を貸さず、営業を継続した。その後、賃借人は、問題が発覚した翌月に退去したという。
原告の男性は、隣人の引っ越し費用だけでなく、被告側に床の修繕費用についても支払いを求めた。また、突然空室になったことによって途絶えた家賃収入に関しても、損害賠償を請求していた。裁判で被告は、民泊用に無断利用していたことは認めたが、床についた傷の損害については責任を否定した。
大阪市では、国家特別戦略区域に指定されており、昨年10月に民泊条例を施行。特区民泊の認定を取得する、もしくは旅館業法に基づく許可を取得すると、民泊として自己が所有する部屋を民泊として運営できる。
しかし、利用許可を得ないで、部屋を勝手に貸し出して利益を得る無許可民泊は大阪でも多数存在しており、大阪市は対策を強めている。