厚生労働省と観光庁が今後の民泊の制度設計について検討を進める「民泊のサービスのあり方に関する検討会」で、現行旅館業法の罰則強化に関する検討をはじめる。
個人宅の空き部屋に旅行者を泊める民泊が全国的に広がりをみせており、最大手のAirbnbでは日本国内で3万件を超える物件数が登録。
民泊サービスを反復継続して対価を受けて行う場合、旅館業法に基づく許可の取得が必要だが大半の物件が必要な許可を得ていない無許可営業と見られている。
無許可営業が広がっている理由の一つとして「懲役6ヶ月以下あるいは罰金3万円」という旅館業法の罰則のゆるさが挙げられていた。
旅館業法違反による摘発事例
国内の民泊物件の増加に合わせるように旅館業法違反による摘発事例は年々増加。保健所による指導件数も年々増加している。
日付 | 場所 | 詳細 |
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2016年6月 | 東京 | P社子会社が運営支援を行っていた民泊ホストに対する旅館業法違反の被疑事件の一環で、同子会社にも警視庁による捜査が入る。この事件によりP社は民泊事業からの撤退を表明した。 |
2016年4月 | 大阪 | 大阪市で旅館業法の許可を得ずに旅行者を泊めた疑いで、女性と夫婦の計3人が旅館業法違反の疑いで書類送検。 |
2015年11月 | 京都 | 京都市右京区の賃貸マンションの44室中34室で、旅館業法の許可を得ずに観光客約300人を有料で宿泊させ、旅館業を営んだ疑いで書類送検。 |
2014年5月 | 東京 | 木造3階建ての自宅の1~2階部分にある3室(24.9m2)を1泊1人2,500~5,000円程度で旅行者に提供していた英国人男性(28)が旅館業法違反で逮捕、略式命令(罰金3万円)を受けた。 |
「民泊は旅館業法の許可が必要」要請文送付へ
国土交通省と厚生労働省は、「民泊」の仲介企業に対して、旅館業法の許可を得ない民泊の実施を取り扱わないよう要請する文書を送付。また厚生労働省は従来の旅館業法に関するQ&Aを改訂し「民泊サービスと旅館業法に関するQ&A」と題した資料を公開している。
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