【福岡市】改正条例による玄関帳場代替措置の内容とは

福岡市は12月1日に改正旅館業法施行条例を施行し、民泊に関わる規制を緩和した。

国は2016年4月に旅館業法の運用緩和(旅館業法施行令の一部改正、簡易宿所営業における玄関帳場に関する通知の見直し)を実施。

しかし多くの自治体では上乗せ条例でフロントの設置などが義務付けられており、民泊の規制緩和に対して消極的な自治体が多かった。

一方で、福岡市は旅館業法施行条例の改正で市内マンション等を活用した簡易宿所型民泊の実施が可能になる。

 

改正の概要

福岡市旅館業法施行条例の改正内容

簡易宿所営業施設における玄関帳場の設置及び位置に関する規定に例外を追加

簡易宿所営業施設における玄関帳場の設置及び位置に関する規定について,宿泊者の定員数を 10 人未満とする施設であって規則に定める要件を満たしている場合の例外規定を追加。

(福岡市旅館業法施行条例第5条第2号及び第3号)

福岡市旅館業法施行細則の改正内容

玄関帳場の設置及び位置に関する例外を認める要件

(1) 帳場の機能を代替する設備が設けられ,かつ,善良の風俗の保持を図るための措置が講じられていること。
(2) 事故が発生した場合その他緊急を要する場合に迅速に対応することができる体制が整備されていること。

上記の設備,措置及び体制の内容その他必要な事項は,市長が別に定める。
=担当部局が定める運用基準・審査事項によって規定される。

(福岡市旅館業法施行細則第5条)

「市長が別に定める設備,措置及び体制」の内容

「帳場の機能を代替する設備が設けられ,かつ,善良の風俗の保持を図るための措置が講じられていること」の内容

「帳場の機能を代替する設備が設けられ,かつ,善良の風俗の保持を図るための措置が講じられていること」とは,具体的には以下①から③の状態を指すこと。

① ビデオカメラ等を設置することにより,宿泊者の出入りの状況が確認できること。
② 事故が発生した場合その他緊急を要する場合の対応等を行う管理事務所を設けること。
③ 施設,管理事務所又はその他の場所において宿泊者との面接を行い,宿泊者名簿の記載を行うこと。また建物の管理取扱責任について,宿泊者の署名を取ること。

③-1 施設で面接等を行う場合は,従業者等が解錠のうえ,宿泊者に鍵を 引き渡すとともに,管理事務所の所在場所を書面で説明すること。
③-2 管理事務所で面接等を行う場合は,施設まで従業者等が宿泊者に付き添って案内し,従業者等が解錠のうえ,宿泊者に鍵を引き渡すこと。
ただし,次の事項をすべて満たす場合はこの限りでない。
・施設に旅館業の営業施設である旨が掲示されること。
・管理事務所において施設の所在場所を書面で宿泊者に説明する こと。
・鍵の取扱い方法について宿泊者に説明後,鍵の引き渡しが行われ ること。
③-3 その他の場所で面接等を行う場合は,施設まで従業者等が宿泊者に 付き添って案内し,従業者等が解錠のうえ,宿泊者に鍵を引き渡すこと。また,管理事務所の所在場所を書面で説明すること。
ただし,次の事項をすべて満たす場合はこの限りでない。
・施設に旅館業の営業施設である旨が掲示されること。
・その他の場所において施設及び管理事務所の所在場所を書面で宿泊者に説明すること。
・鍵の取扱い方法について宿泊者に説明後,鍵の引き渡しが行われること。

「事故が発生した場合その他緊急を要する場合に迅速に対応することができる 体制が整備されていること」の内容

「事故が発生した場合その他緊急を要する場合に迅速に対応することができる体制が整備されていること」とは,具体的には以下①から③の状態を指すこと。

① 施設と管理事務所との間に通話機器が設置されていること。
② 施設が管理事務所から速やかに駆けつけることができる範囲であること。
③ 宿泊者の安全等を確保するためのマニュアルを整備すること。

 

具体的な審査事項等

「帳場の機能を代替する設備が設けられ,かつ,善良の風俗の保持を図るための措置が講じられていること」の各要件

ア ビデオカメラ等の設置

(ア) ビデオカメラ等とは,ビデオカメラ及びビデオカメラで撮影した映像を表示するために必要なモニターその他の設備をいう。なお,ビデオカメラ等以外の設備であっても,ビデオカメラ等と同等の機能を有する場合は認めて差し支えない。

(イ) ビデオカメラの設置場所は,次のとおりとする。

a 宿泊者が施設を出入りする映像が映る位置であること。 なお,施設が共同住宅の場合は部屋(例 101号室など)の玄関前,戸建住宅の場合は,建物の玄関前にビデオカメラを設置するこ と。
b 出入りする宿泊者の顔が認識できる位置であること。

(ウ) ビデオカメラ等は撮影した映像を 72 時間以上保存できるものであ ること。

(エ) モニターの設置場所は,管理事務所であって,かつ,営業者又はその代理人,使用人その他の従業者(以下,「従業者等」という。)が常時監視できる位置であること。

イ 管理事務所の設置

管理事務所は専用の事務所である必要はないが,車等移動可能なものは認め られないこと。

ウ 面接及び管理取扱責任者の署名

(ア) 宿泊者との面接,宿泊者名簿の記載(外国人旅行者の場合は旅券等の確認・写しの保存を含む。)及び建物の管理取扱責任に関する署名は,施設, 管理事務所又はその他の場所(駅や空港等の場所を想定)において直接対 面して行うこと。

(イ) 建物の管理取扱責任についての署名は,次のとおり取扱うこと。 緊急時の連絡方法,火気使用機器の取扱い,火災発生時の初期対応,施設の施錠管理,ごみの処理等,建物の管理取扱責任について宿泊者に説明 のうえ,宿泊者の署名を取ること。

ウ‐1 施設で面接等を行う場合

施設で面接等を行う場合は,従業者等が解錠のうえ,宿泊者に鍵を引き渡す とともに,管理事務所の所在場所を地図や管理事務所の外観写真等を用いて説 明すること。

ウ‐2 管理事務所で面接等を行う場合

管理事務所で面接等を行う場合は,施設まで従業者等が宿泊者に付き添って 案内し,従業者等が解錠のうえ,宿泊者に鍵を引き渡すこと。
ただし,次の事項をすべて満たす場合はこの限りでない。

・施設に旅館業の営業施設である旨が掲示されること。
・管理事務所において施設の所在場所を地図や外観写真等を用いて宿泊者に 説明すること。
・鍵の取扱い方法について宿泊者に説明後,鍵の引き渡しが行われること。

ウ‐3 その他の場所で面接等を行う場合

その他の場所(駅,空港等)で宿泊者と面接等を行う場合は,施設まで従業者 等が宿泊者に付き添って案内し,従業者等が解錠のうえ,宿泊者に鍵を引き渡す こと。また,管理事務所の所在場所を地図や管理事務所の外観写真等を用いて説 明すること。
ただし,次の事項をすべて満たす場合はこの限りでない。

・施設に旅館業の営業施設である旨が掲示されること。
・その他の場所において施設及び管理事務所の所在場所を地図や外観写真等を 用いて宿泊者に説明すること。
・鍵の取扱い方法について宿泊者に説明後,鍵の引き渡しが行われること。

 

「事故が発生した場合その他緊急を要する場合に迅速に対応することができる体制が整備されていること」に関する要件

ア 通話機器の設置

通話機器は固定電話のほか,携帯電話,スマートフォン,タブレット端末, インターフォン等が考えられること。

イ 管理事務所の位置

「施設が管理事務所から速やかに駆けつけることができる範囲」とは10分以 内に駆けつけることができる範囲であること。 審査に当たっては管理事務所から施設までの実測距離と交通手段から以下を 参考に設置場所の妥当性を判断すること。

徒歩………………1分80メートル
自転車……………1分180メートル(目安)
バイク・自動車…1分250メートル(目安)

ウ マニュアルの整備

次の事項等が記載されたマニュアルが客室ごとに設置されていること。

(ア) 管理事務所,警察署,消防署,医療機関等の連絡先(施設から管理事 務所までの経路が示された地図を含む)
(イ) 消火器等消防設備の設置場所及び使用方法
(ウ) 火気使用機器の使用方法及び注意事項等
(エ) ごみの処理方法
(オ) 建物の使用ルール
(カ) 避難経路
(キ) 災害時の避難場所(施設から避難場所までの経路が示された地図等) また,外国人宿泊者向けに外国語で記載されたもの(医療機関については外 国人の受診が可能な医療機関が記載されたもの)を整備するよう助言すること。

 

要件疎明資料(添付書類)

ビデオカメラ等に関する要件

ア 通話機器の設置

○ ビデオカメラ等の型式,録画機能(録画したデータが 72 時間以上保存できるもの)(例 ビデオカメラ等のカタログ)

○ 施設及び管理事務所でのビデオカメラ等の設置場所

管理事務所等に関する要件

○ 施設と管理事務所までの距離・位置関係(例 地図に距離を記入する など)

○ 管理事務所から施設へ駆けつけるために使用する交通用具及び経路・時間

その他の要件

○ 宿泊者の署名を取る建物の管理取扱責任に関する内容

○ 施設,管理事務所又はその他の場所において行う業務を第三者へ委託する場合は当該内容(事業者名,所在地,連絡先,委託内容)

○ 施設及び管理事務所での通話機器の設置場所

○ 宿泊者の安全等を確保するためのマニュアル

 

トラブル防止施策

近隣住民への周知

○共同住宅を活用した施設における近隣住民への周知
〔周知時期及び期間〕
許可申請予定日の3週間前から1週間前までの2週間

〔周知方法〕
対面又はポスティング

〔周知の範囲〕
当該共同住宅(棟)の全ての居住者やテナント

〔周知内容〕
・ 申請者氏名・連絡先(法人の場合は法人名及び代表者役職・氏名)
・ 旅館業を行う旨
・ 施設の部屋号数
・ 営業を開始する時期(予定)
・ 営業開始後の緊急連絡先

〇戸建住宅を活用した施設における近隣住民への周知
上記の共同住宅の場合に準じて周知に努めること。

施設の掲示

〔掲示内容〕
・旅館業の営業許可施設である旨
・施設名(屋号)
・緊急連絡先
・責任者

〔掲示場所〕
【共同住宅の場合】 施設の玄関付近及び郵便受け
【戸建住宅の場合】 敷地の出入口付近
【管理事務所の場合】 事務所の玄関付近

〔掲示方法〕
・識別しやすい文字の色で表示
・鮮明に表示

〔文字の大きさ〕
90ポイント(おおむね縦横30mm)以上の大きさの文字
共同住宅の郵便受けに掲示する場合は,30ポイント(おおむね縦横10mm)以上の大きさの文字

苦情時の対応

近隣住民からの苦情等に対しては速やかかつ適切に対応を行うこと。

 

 







ABOUTこの記事をかいた人

行政書士 戸川大冊 先生

民泊許可.comを運営する、民泊許可業務の第一人者。累計1,000名以上動員する大人気セミナー「民泊許可セミナー」の講師を務める。
民泊を推進する日本全国の自治体政治家にネットワークを持つ、日本で唯一の行政書士。
NHK「おはよう日本」、テレビ東京「ワールド・ビジネス・サテライト」、TBS「ニュース23」、テレビ朝日「ビートたけしのTVタックル」など多数のテレビ番組に取り上げられている。朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、産経新聞、東京新聞、週刊誌などでも掲載多数。