那須塩原市、入湯税の段階的引き上げ決定 宿泊施設の従業員に対するPCR検査実施のため

栃木県那須塩原市は、市内の宿泊施設の従業員を対象に PCR 検査を定期的に実施することになったことを受けて、その財源として入湯税を引き上げる条例改正案が市議会で可決された。

市は当初、入湯税を一律で 200 円を引き上げる方針だったが、宿泊事業者からは客離れを懸念する声が上がったことを受けて、宿泊料金に応じた段階的な引き上げに修正された。

改正案では宿泊料金が 1 万円以下の場合は 50 円、1 万円以上 2 万円以下では 100 円、2 万円以上では 200 円をそれぞれ上乗せする。税率の引上げは期間を限定した特例措置であり、2020 年 12 月 1 日から 2022 年 3 月 31 日までとなる。

市は、独自の「コロナ禍における観光のあり方」における「信頼」の観点から、旅館・ホテル等の宿泊施設従事者の PCR 検査を実施し、観光客並びに宿泊施設従事者の「安心・安全」を担保する考え。

また、観光客にも一定の責任を求めるという「責任ある観光」(レスポンシブル・ツーリズム)を推進するため、事業費用の財源負担を入湯税の引き上げとして観光客に求める。

入湯税は、地方税法に基づき、環境衛生施設、消防施設の整備に要する費用などに充てるために、鉱泉浴場(温泉施設)への入浴客に対して課税する目的税。

入湯税の納税義務者は温泉施設の入湯客となるが、各自治体が入湯客から直接徴収せず、宿泊施設らが入湯税を徴収し各自治体へ申告納入する「特別徴収制度」をとなっている。

ホテルや旅館などの宿泊施設の従業員を対象に定期的に PCR 検査を行う取り組みは全国的には珍しい。



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