シンガポールのホテルがシンガポール入国管理局と連携し、顔認識技術を使って宿泊客のチェックイン時間を短縮させるとともに、ホテルスタッフの生産性を向上させる試みをスタートさせた。現在は限られたホテルでのトライアルとなるが、順番待ちや宿泊名簿の記入に必要な時間が短縮されるなど利便性の向上が期待される。
シンガポール観光局と地元のホテル協会が出した声明では、11 月上旬から始まった新しいシステムでは、旅行者はセルフチェックイン機や携帯電話を使って身分を確認できるため、ホテルスタッフによるマニュアルチェックインの手間を省くことができると述べている。
新システムでは、業務効率化によりチェックイン時間を最大で70%短縮できるといい、同国情報通信省のチー・ホン・タット上級国務大臣も、新システムの活用によって大規模ホテルでは年間で 11,000 時間以上短縮できると試算している。
シンガポール当局は、労働の効率性を高めるとともに、高齢化する労働力の負担軽減などを目的に、自動化の促進や労働生産性の向上を期待できる方法を常に模索している。国内総生産(GDP)の約4%を占める観光業も例外ではない。
11月上旬から3ホテルで試行開始
「E-Visitor Authentication(旅行者電子認証)」と呼ばれる顔認識システムでは、パスポートをスキャンし撮影した写真と一緒にデータをシンガポール入国管理局に送り、滞在の有効性の有無を確認。これを終えると、ゲストにルームキーが貸与される。
地元紙の「the Straits Times(ザ・ストレーツ・タイムズ)」によると、新システムの試験運用は現在、「Ascott Orchard(アスコットオーチャード)」「Swissotel the Stamford(スイソテル・ザ・スタンフォード)」「Grand Park City Hall(グランド・パーク・シティー・ホール)」の3つのホテルで行われている。
その1つ、グランド・パーク・シティー・ホールでは新システムの導入で、ゲストのチェックインにかかる時間が5分から1分に短縮されたといい、ゼネラルマネージャーのJohn Kockan(ジョン・コッカン)氏は「お客様の利便性が向上した」と述べている。
一方、スイソテル・ザ・スタンフォードでもチェックインに3分程度、チェックアウトに30秒以内の所要時間となり、ゼネラルマネージャー、Marcus Hanna(マーカス・ハンナ)氏は、新システムが大量の書類処理を削減し、生産性や効率性を向上させたと話している。