新型コロナウイルスワクチン 2 回目の接種完了者の割合が全国民の 5 割を超えるなどワクチン接種が急速に進む中、「ワクチン・検査パッケージ」等を活用した「行動制限の緩和」に向けた検討が進んでいます。

ワクチン・検査パッケージとは、ワクチン接種歴又は PCR 検査等により、緩和措置の対象とするプログラムです。

政府は、ワクチン・検査パッケージを活用することで宣言の対象地域でも、様々な行動制限の縮小・見直しを進めていく方針です。今回は、「日常生活回復に向けた考え方」を基に、行動制限の緩和、ワクチン・検査パッケージとは何かを整理します。

 

ワクチン・検査パッケージとは

現在、ワクチン接種が急速に進んでいることから 11 月頃には希望者へのワクチン接種が完了する見通しとなっています。

これを受けて政府は、「ワクチン・検査パッケージ」を活用し、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置下でも日常生活の制限の緩和をしていく考えを示しました。

ワクチン・検査パッケージとは、ワクチン接種歴又は PCR 検査等により、緩和措置の対象とするプログラムです。

今後は、ワクチン・検査パッケージを活用し、酒類提供やグループ会食、県をまたぐ旅行や出張、大規模なイベント、大学等の部活動や課外活動等で行動制限を緩和し、感染対策と日常生活の再開を両立させる考えです。

ワクチン接種歴 ワクチン接種歴
ワクチン接種完了者であるか、2 回接種した際の予防接種済証(将来的には電子化も視野)で確認。
PCR 検査等(自費) PCR 検査等(自費)
主に PCR を推奨とするが抗原定性検査も対象。PCR は 72 時間以内、抗原定性検査は 24 時間以内の検査結果で確認。民間検査機関での受診も対象。

 

旅行における行動制限の緩和

緊急事態措置区域等では旅行や出張などの県をまたぐ移動に対して自粛を要請されていましたが、ワクチン・検査を受けた人は、原則として、県をまたぐ移動が可能となります。

また、感染対策と経済の回復を両立させる観点から、感染状況を十分に考慮しつつ、ワクチン・検査パッケージも活用した観光振興策の実施が検討されます。

GoToトラベルは、現在事業を一時停止していますが、西村経済再生担当大臣は、再開時の条件として、陰性証明書の提示またはワクチン接種済みの方を対象とする可能性があるとの考えを示しています。

 

飲食における行動制限の緩和

緊急事態宣言下等では、飲食店の営業時間を午後 8 時までとする時短営業やビールやワインなどの酒類の提供が終日停止されています。

飲食店等についてはワクチン・検査パッケージや第三者認証等を組み合わせることで、緊急事態宣言下等でも、営業時間、酒類提供、会食等の制限を現在よりも緩和する方針です。

なお、飲食店は多くの人が日常的に利用するものであることから、ワクチン接種者、未接種者が分け隔てなく利用できるよう、技術実証を行いつつ、ワクチン・検査パッケージや第三者認証の活用方法の検討を実施するとしています。

 

イベントにおける行動制限の緩和

緊急事態宣言下では、都道府県が設定する人数上限 5,000 人かつ収容率 50% などの規模要件に沿った開催が要請されています。

イベント等の催事についても、ワクチン・検査パッケージの活用により、緊急事態宣言地域外では人数制限の緩和や撤廃、緊急事態宣言下でも人数制限の緩和の検討を実施します。

なお、行動制限の緩和に際しては、安全計画(マスク着用、大声の制限などの感染対策や直行・直帰の徹底など感染防止策をパッケージで記載した計画)の策定、QR コードによる感染経路の追跡などの手法の活用を含む包括的感染対策の実施が前提となります。

 

海外でも進むワクチン接種確認プログラム

日本では、希望者へのワクチン接種完了を見据え、「ワクチン・検査パッケージ」の検討が進んでいますが、海外では、すでに同様のワクチン接種確認プログラムが続々と開始されています。

ニューヨークでは、ワクチン接種証明書の提示を義務化する「Key to NYC」が 8 月中旬よりスタート。レストランやジム、映画館、劇場などのインドアアクティビティを利用する際にはワクチン接種証明書の提示を義務化。

フランスでも 8 月から、カフェ、レストラン、ショッピングセンター、病院、飛行機、電車、長 距離バスの利用時にパス・サニテール(衛生パス)の提示が義務化されました。

同様の動きは中東地域の主要国でも広がりをみせており、アラブ首長国連邦では 8 月以降、政府機関への訪問に際し、ワクチン接種証明書の提示または PCR 検査の陰性証明書の提示が必須となっています。



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