民泊仲介サイト世界大手のAirbnb(エアービーアンドビー)は、昨今ホテル事業を強化する中、インド発のホテル・不動産ベンチャーの「オヨ(OYO)」に1~2億ドル(約110~221億円)の投資を行うことが海外メディアの報道により明らかになった。
Airbnbは、OYOのシリーズEの投資ラウンドに参加するだけではなく、戦略的パートナーシップも締結。OYOに掲載されている物件は、Airbnbのプラットフォームにも掲載される予定だ。
Airbnbは3月上旬、ホテル予約アプリ「HotelTonight」を4億ドル(約440億円)で買収したことが明らかになった。そのわずか数週間後に持ち上がったのは、昨今注目を集めるホテル・不動産ユニコーンのOYOへの出資検討のニュースだ。
投資が合意に至れば、AirbnbはOYOに近ごろ10億ドル(約1,100億円)を投資したソフトバンクや米セコイア・キャピタル、滴滴出行などの投資家と名前を並べることになる。
Airbnb共同創業者のネイサン・ブレチャージク(Nathan Blecharczyk)氏は「我々はそれぞれにマーケットへのアプローチ法があり、互いに忠実で相当数の利用者がいる」と2019年2月にETtechのインタビューで回答。
OYOの広報担当者は、「Airbnbやそのほかさまざまな地域のグローバルプレーヤーと提携しており、そうした関係はいずれも基本的に排他的なものではない」と話していた。
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Airbnb、IPOに向けて買収や投資を拡大
Airbnbは、昨年末にネット通販最大手のAmazon(アマゾン)幹部のデーブ・スティーブンソン(Dave Stephenson)氏を最高財務責任者(CFO)として迎え入れ、2019年から2020年に予定する新規株式上場(IPO)に向けた準備を加速している。
Airbnbは昨年末に、フランスの民泊運営代行サービス「Lucky Homes」を買収。2019年1月にはスペース予約サイトの「Gaest」を買収し、その直後の3月にはホテル予約アプリ「HotelTonight」を買収。
また、Airbnbがベンチャーに対して行った投資は、女性を対象したコワーキングスペースの運営を行うスタートアップ企業の「The Wing(ザ・ウィング)」に対するもので、約83億円(7,500万米ドル)を調達したシリーズ C ラウンドに参加している。
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Airbnbが、OYO への出資を検討するワケとは
インドやアジア等での成長が目覚ましいOYOへの出資は、Airbnbが昨今強化しているアジアにおける成長を手助けすることになる。
Airbnbが発表したレポートによると、インドにおけるリスティング数は2018年に52%増加、中国では106%の増加となっており、両国でAirbnbは急拡大している。
一方のOYOは、2013年にインドで創業したホテル・不動産ユニコーンで、世界全体で46万室ほどの客室数を有する。インドでは、40,000件のリスティングのAirbnbに対して、OYOは8,700以上の物件で17万室を提供。
さらに、OYOは2019年1月の時点で、中国の280都市に5千軒以上の物件で26万室を提供している。インドや中国でも急成長しているAirbnbではあるが、同社を上回るスピードでアジアを中心に急拡大しているのがOYOなのだ。
IPOを前に、ホテル関連事業や周辺サービスの買収や出資を増やすAirbnb。アジアで特に成長が目覚ましいインドと中国での物件拡大ノウハウを有するOYOに出資するメリットはAirbnbにとって大きいと言えそうだ。
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